実施 2025.10 ・ 更新 2026.09.22
京王電鉄が身だしなみ評価に生成AI、管理職の約8割が肯定し全駅へ展開
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 身だしなみの注意がしづらい
- 基準が人によってバラバラ
- 現場ごとの品質のばらつきが見えない
どのようなAIの取り組み?
生成AIによる画像認識で駅係員・乗務員の身だしなみを評価し、属人的だった判断基準の共通化に取り組んだAI取り組み
業種
鉄道(運輸・物流)
取り組み領域
駅・乗務員の身だしなみ評価/指導
使ったAI
生成AIによる画像認識評価システム
主な成果
実証実験で管理職の約8割が肯定的評価、全駅・全乗務区へ本格導入
京王電鉄では、駅係員や乗務員の身だしなみについて、スマートフォンなどで撮影した画像を生成AIが判定する仕組みが使われています。項目ごとの評価と総合スコア、改善点を書いたフィードバックコメントがその場で返り、本人のセルフチェックにも管理職の指導にも利用できます。開発を担ったのは、同社のオープンイノベーションプログラム「JISOU」の協業プロジェクトに参加したCodeCompleteです。2025年10月の実証実験で管理職から評価を集め、その内容をもとに判定精度や処理時間、現場での操作性に手を入れたうえで、8月1日から京王線・井の頭線の全駅・全乗務区での本格導入に移っています。
出典:「AI身だしなみ評価システム」が京王線・井の頭線の全駅・全乗務区へ本格導入開始 #生成AI #画像認識 - CodeComplete 発行元:CodeComplete
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
制服の着方、頭髪、制帽のかぶり方。鉄道の現場で日々確認されてきたこうした項目は、これまで見る人の感覚に委ねられていました。何をもって整っているとするかが人によって揺れ、指摘する側も踏み込みにくい。実証実験でわざわざ「指摘のしやすさの変化」が調査項目に立てられていたことからも、現場が抱えていた重さは基準の中身そのものより、基準を口に出す場面のほうにあったと読み取れます。
編集部の見立てでは、この種の困りごとの本質は、指摘が「個人の好み」と受け取られかねない点にあります。同じ髪型でも上司によって言われたり言われなかったりすれば、指導は納得を得にくく、言う側の気も重くなる。基準が存在しないことではなく、基準を全員で共有できていない状態こそが、現場の負担を生んでいたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
画像から項目別の評価、総合スコア、具体的なフィードバックコメントまでを一度に返す設計が、この仕組みの中心にあります。点数だけを示す評価は、なぜその点になったのかが分からず、直し方には結び付きません。どこがどう基準から外れているのかを言葉で返すところまで含めたことで、評価が指導の材料へと変わったと考えられます。指摘の根拠が文章として画面に残るぶん、言う側が自分の主観を背負わずに済む効果も小さくないはずです。
同じ仕組みをセルフチェックと管理者による指導の双方に載せた点も効いています。本人が事前に自分で確認して直せるなら、そもそも指摘という場面自体が減っていく。管理職の役割を「見つけて注意する」から「基準に照らして確認する」へずらす設計が、上下関係に持ち込まれやすい話題を扱いやすくしたと見ています。
実証実験の後に、AIの判定精度だけでなく処理時間の短縮と現場での操作性にまで手を入れている点は見逃せません。出勤前の限られた時間に使う道具は、判定が正しくても待たされれば使われなくなります。さらに評価結果を継続的に蓄積・可視化して現場や組織ごとの傾向分析につなげる構成まで組み込まれており、個人への指導で完結させず、どの職場でどの項目がずれやすいかという管理の材料へ広げる狙いが読み取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年10月の実証実験では、管理職向けアンケートで本システムの総合評価と指摘のしやすさの変化について、肯定的な意見が約8割を占めました。特に制服の着用方、頭髪、制帽の着用方に関する指摘のしやすさが向上し、これまで属人的だった評価基準の共通化と、セルフチェックの習慣化を促す効果が確認されています。この結果を踏まえて本格導入が決まり、8月1日から京王線・井の頭線の全駅・全乗務区で運用されています。
うちでも使える?
応用が利くのは、判断の基準を文章やチェック項目の形で書き下せる業務です。身だしなみのように、基準自体は社内に存在するのに運用が人によってぶれている領域なら、画像とAIを挟むだけで判断のばらつきを縮められる余地があります。接客や現場管理のように、外から見える状態がそのまま品質の一部になっている仕事とは相性がよいでしょう。
一方で、同じ手が効きにくい場面もあります。声の調子や立ち居振る舞いの間合いなど、写真に写らない要素が評価の中心を占める業務では、画像だけを入力にする限り評価の射程は限られます。人の外見をAIが採点する仕組みである以上、何を撮り、どこまで保存し、誰が結果を見るのかを先に決めておかなければ、現場の抵抗感のほうが先に立つ点にも注意が要ります。
手始めとしては、自社の基準書のうち解釈が人によって割れる項目を一つだけ選び、その一項目に限ってAIに判定させてみるのが現実的です。対象を絞るほど、基準の書き方そのものが曖昧だった箇所も同時に見えてきます。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
CodeComplete
京王電鉄のオープンイノベーションプログラム「JISOU」での協業プロジェクトを通じ、生成AIを活用した画像認識による身だしなみ評価システムを開発。汎用版ソリューションを「AWS Marketplace」で販売・提供している。
京王電鉄株式会社
出典・参考情報
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