実施 2026.03 ・ 更新 2026.09.21
近畿日本鉄道の踏切をAIカメラで見守り、取り残された人を検知して列車へ通報
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- カメラ映像を人が見きれない
- 危険への気づきが遅れないか不安
- 異常の通報が人任せになっている
どのようなAIの取り組み?
カメラ映像のAI画像解析で踏切に取り残された人を検知し、既存の保安装置を作動させて列車や関係部署へ異常を伝える仕組みを本格運用に移した事例
業種
鉄道(運輸・物流)
取り組み領域
踏切・駅構内踏切の安全監視
使ったAI
AI画像解析(カメラ映像の異常検知)
主な成果
導入試験を経て2つの踏切で本格運用を開始
丸紅I-DIGIOグループの丸紅ネットワークソリューションズが、近畿日本鉄道に踏切道歩行者見守りシステムを納入しました。踏切道や駅の構内踏切に設置したカメラの映像をAIが解析し、列車が接近している状況で踏切内に人が取り残されていると判断した場合に、押ボタン式踏切支障報知装置または非常通報装置を作動させ、列車や関係部署へ異常を伝えます。押ボタン式踏切支障報知装置は踏切内の異常を周囲の列車に知らせる装置、非常通報装置はホームからの転落時などに乗務員へ異常を知らせる装置です。2025年4月に始まった近畿日本鉄道での導入試験を経て、京都線の山田川駅構内踏切は2026年3月26日、奈良線の瓢箪山第2号踏切道は3月28日の初列車から本格運用に入ります。
出典:近畿日本鉄道にAI画像解析を活用した「踏切道歩行者見守りシステム」を納入 | ニュース | 丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社 発行元:丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
踏切で異常が起きたとき、それを列車に伝えてきたのは押ボタン式踏切支障報知装置であり、駅のホームでは非常通報装置が同じ役割を担ってきました。どちらも、人が押して初めて働く装置です。
編集部の見立てでは、この取り組みが向き合った課題の本質は、装置の性能そのものではなく、その起点が人の気づきに委ねられている点にあります。危険の渦中にいる当事者が、落ち着いてボタンの位置を探せるとは限りません。周囲に誰もいない時間帯であれば、押す人自体が存在しないという事態も起こりえます。列車接近という時間の限られた場面で、「気づく」という最初の一歩だけが自動化されていなかった。AI画像解析が差し込まれたのは、この空白にあたる部分だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
注目したいのは、AIが検知した異常を、新設の通知ルートではなく、押ボタン式踏切支障報知装置や非常通報装置という既存の保安装置を動作させる形で流している点です。鉄道の現場では、異常が知らされたあとに列車や関係部署がどう動くかという手順がすでに固まっており、その出口を変えずに入口だけを付け替えたことになります。AI側の役割を「ボタンを押す人の代わり」に限定したこの切り分けは、現場の運用ルールや訓練を組み替えずに済ませる効果を持ち、導入のハードルを下げたのではないでしょうか。
検知の条件を、列車が接近している場面での取り残しに絞り込んだことも、実運用を成り立たせる判断だったと見ています。踏切は本来、人が通り抜けるための場所であり、人が映っていること自体は異常ではありません。危険とみなす状況を「列車が近づいている」という時間軸と組み合わせて定義したことで、AIが向き合う問題は、通行人をどう扱うかという曖昧な判断から、限られた瞬間の状態判定へと狭まります。
対象地点の選び方にも、段階を踏む発想が見て取れます。2025年4月に始まった導入試験を経てから本格運用へ移し、しかも道路上の踏切道と駅構内の踏切という、カメラの映り方も通行の性格も異なる2種類の場所を対象にしました。条件の違う現場で同じ仕組みを動かす進め方は、一箇所の結果をそのまま横展開する場合に比べ、環境差による見落としを早い段階で拾える余地を残します。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入試験を経て、京都線の山田川駅構内踏切では2026年3月26日、奈良線の瓢箪山第2号踏切道では同月28日の初列車から本格運用が開始されます。検知の精度や事故件数の変化といった数値は公表されておらず、現時点で確認できるのは、試験の段階を抜けて日々の運行に組み込まれるところまで進んだという事実です。安全にかかわる仕組みでは、この「常時動かす段階に入った」こと自体が重い意味を持ちます。
うちでも使える?
応用できるかどうかを分けるのは、「危険な状態」を映像の中で言葉にできるかどうかです。カメラの画角が固定され、危険とみなす条件(近づいている、その範囲に人が残っている)をはっきり定義でき、さらに異常を知らせたあとの動き方が決まっている領域であれば、工場の立入禁止区域や施設の危険箇所にも同じ組み立て方を移しやすいはずです。
反対に、危険かどうかが周囲の状況や当事者の意図によって変わる場所には、この形をそのまま持ち込めません。人がいること自体は正常で、何をしているかまで読み取らないと判断できない場面では、検知条件を一行で書き切れないからです。通報を受けたあとに誰がどう動くかが未整理のままなら、検知だけが先行して現場に判断の負担を残すことにもなります。
まずは、自社の設備の中で「人が気づいてボタンを押す、レバーを引く」ことを前提にしている安全装置を一つ思い浮かべてみてください。その瞬間にカメラへ何が映っていれば機械でも同じ判断ができるのか、現場の担当者と言葉にしてみるところから。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
丸紅ネットワークソリューションズ株式会社
丸紅株式会社のICT領域の事業会社グループである丸紅I-DIGIOグループに属し、IT基盤サービスセグメント(IT基盤領域の設計・構築・運用)を担う企業。AIやネットワーク技術を活用したソリューションを提供している。代表取締役社長は佐藤由浩氏。
近畿日本鉄道株式会社
出典・参考情報
近畿日本鉄道にAI画像解析を活用した「踏切道歩行者見守りシステム」を納入 | ニュース | 丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社
発行元:丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
