実施 2026.03 ・ 更新 2026.09.21
タクシーの電話配車をAIが応対、取り逃し3割から受電率100%へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話が鳴り続けて取りきれない
- 人手不足で受付に人を割けない
- 電話での受付を自動化したい
どのようなAIの取り組み?
AIが電話に応対して配車システムへの登録まで完結させる仕組みで、タクシー配車センターの受電率100%を達成したAI取り組み
業種
タクシー事業(運輸・物流)
取り組み領域
配車センター/電話受付・配車手配
使ったAI
AI音声配車システム「maido」(音声AI)
主な成果
受電率100%を達成し、着信の45.5%をAIのみで配車完結
大阪で1,000台以上のタクシーを運行するnewmoグループでは、未来都をはじめとするグループ3社分の電話を受ける配車センターに日々数百件の着信があり、人手が足りず、そのうち約3割は応答できないままになっていました。配車アプリが広がってもなお電話による無線配車の需要は根強く、約4分の1は医療機関や福祉施設への送迎という、生活に直結する用途が占めています。開発を担ったnewmoは、AIが電話に出て迎車地や名前を聞き取り、そのまま配車システムへの登録と配車までを終わらせるAI音声配車システム「maido」をつくり、ユーザー企業である未来都の現場へ導入しました。現在は大阪エリアの配車センターで24時間365日の実運用に入っており、この取り組みは経済産業省とNEDOが主催する「GENIAC-PRIZE」のカスタマーサポート部門で1位に選ばれています。
出典:newmoと未来都、「タクシー配車業務のAI音声対応」が経産省・NEDO主催「GENIAC-PRIZE」で優勝 | newmo株式会社のプレスリリース 発行元:newmo株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
配車センターには毎日数百件の電話が入り、その約3割が応答されないまま切れていました。アプリでの配車が広がっても電話の需要は残り、しかも約4分の1は医療機関や福祉施設への送迎という、代わりの手段を見つけにくい移動です。
ここで失われていたのは、売上の機会だけではありません。編集部の見立てでは、困りごとの本質は「着信の本数に人員が追いつかない」という量の問題ではなく、取りきれなかった電話の向こう側に、待っていても他の手段に切り替えられない利用者が混じっていたことにあります。人を増やして処理量を積み増す発想では、波の大きい着信に、生活の必要へ応えられる水準で張り付き続けるのは難しい。電話という窓口そのものを別の仕組みで支え直す必要があった、と読み取れます。
どうやって、うまくいったのか
AIが受けた電話を聞き取りで終わらせず、配車システムへの登録と手配の確定まで一続きで処理する設計になっている点が、この取り組みの中核です。電話応対を自動化する仕組みは、AIが聞いた内容を人が別画面へ入力し直す運用になりがちで、そうなると受付の口は広がっても後工程で詰まります。基幹の配車システムまでAIの処理を届かせたことで、着信から手配までが一つの流れとして閉じ、人を介さずに完了できる範囲が生まれました。
どの窓口を残すかという判断も効いています。アプリ配車が伸びる局面では電話受付を縮小する選択もありえますが、ここでは自社の利用実態を確認したうえで、医療・福祉機関への送迎を含む電話利用を維持すべき需要と位置づけ、そこにAIを充てています。用途の見極めを先に済ませてから技術を当てるという順番が、開発の成果を実務へ直結させたと考えられます。
開発を担うnewmoと、実際に配車を回す未来都が同じグループ内で役割を分けた体制も、設計と現場の距離を縮めました。24時間365日止められない業務にAIを載せる以上、事前の検証だけで作り切るのは現実的ではなく、動かしながら直す前提が要ります。グループ内での運用を通じて改善を重ね、そのうえで同業他社への展開を視野に入れるという段取りは、現場で使える状態を先につくってから広げる進め方として筋が通っています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
これまで取り逃していた電話がなくなり、受電率100%を達成しました。着信全体の45.5%はAIだけで配車まで完結しており、オペレーターは人にしかできない判断や対応へ時間を回せるようになっています。経済産業省とNEDOによる「GENIAC-PRIZE」のカスタマーサポート部門では、56社の応募から選ばれた8件による最終審査を経て1位となり、完成度の高さ、実際に現場で使われている点、社会的なニーズの高さが評価点として挙げられました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、電話で聞き取る項目がある程度決まっていて、その内容を書き込む先のシステムが既にある業務です。迎車地と名前を確認して手配する配車のように、確認事項が固定されていれば、AIに任せる範囲を線引きしやすくなります。反対に、料金の交渉や事情の込み入った相談のように、会話の流れ次第で必要な情報が変わる電話は、自動で完結させる対象には向きません。受け手のシステム側にAIから登録する口がなく、結局人が転記するのであれば、効果は一次受付どまりにとどまります。
もう一つ見落とされやすいのが、止められない業務に載せるための備えです。夜間も動く窓口で使うなら、AIが処理しきれなかった通話を人へ渡す道筋を、先に決めておく必要があります。まずは、つながらなかった電話がどの時間帯に集中し、どんな用件だったのかを、折り返しの記録から一週間分だけ拾ってみてはいかがでしょうか。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
newmo株式会社
「移動で地域をカラフルに」をミッションに掲げ、タクシー事業・人材事業・自動運転タクシー事業等を手がける企業。グループ傘下に大阪のタクシー事業会社を持ち、AI音声配車システム「maido」を開発している。
株式会社未来都
出典・参考情報
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