実施 2026.02 ・ 更新 2026.09.20
関西国際空港リムジンバス乗り場、AI音声で日英中韓4カ国語の案内放送を自動化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 外国人の利用者に言葉で案内できない
- 決まった時間の放送に人手を取られる
- 広い施設の隅まで案内が届かない
どのようなAIの取り組み?
テキスト入力から4カ国語のアナウンス音源を作るAI音声システムと高性能スピーカーにより、空港リムジンバス乗り場の案内放送を多言語化・自動化したAI取り組み
業種
空港リムジンバス運営(運輸・物流)
取り組み領域
バス乗り場の案内放送/旅客案内
使ったAI
アナウンスクリエーター(AI音声合成による多言語アナウンス作成)
主な成果
日英中韓4カ国語の案内放送を自動化
関西国際空港でリムジンバスの運営を担う「関西国際空港リムジンバス等運営協議会」(事務局は関西空港交通株式会社)の事例です。乗り場や時刻の案内は開港以来、係員の肉声による日本語のみで行われていました。老朽化に伴う設備入れ替えの計画に合わせ、TOA株式会社の「アナウンスクリエーター」を採用し、PCでテキストを入力するだけで日本語・英語・中国語・韓国語のアナウンス音声をAIが作成する形に切り替えています。再生ソフトウェアのスケジュール機能で定時の案内を自動放送し、併せて遠くまで音を届ける高性能スピーカーと非常用放送設備も設置されました。元請会社はジャトー株式会社で、費用は「交通DX・GXによる経営改善支援事業」の補助金を活用し、券売機や乗り場の表示器を含むシステム全体が同時に更新されています。納入時期は2026年2月です。
出典:関西国際空港リムジンバス等運営協議会 様 | 駅・空港・交通施設 | 納入事例 | TOA株式会社 発行元:TOA株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
関西国際空港では2025年度の利用者が過去最高を記録し、外国人旅客数は初めて2,000万人を超えました。にもかかわらず、リムジンバス乗り場の案内放送は開港以来日本語のみで、海外からの利用者に十分な案内ができていない状態が続いていました。乗り場では5〜10分間隔でバスが出発し、多いときには同じ時刻に5カ所ほどの行き先へ向かう便が重なります。係員は対面で客に応対している最中でも、時間が来れば持ち場を離れてアナウンスを入れる必要がありました。第2ターミナルでは出発到着ロビーと乗り場が離れており、そもそも放送が届かないケースもありました。
困りごとの本質は、対応言語が1つしかなかったことよりも、案内という業務が人の口に固定されていた点にあったと考えられます。放送が人に紐づいている限り、言語を増やすことも、音量や言い回しをそろえることも、目の前の利用者への応対と両立させることも、すべて係員の余力の奪い合いになってしまいます。
どうやって、うまくいったのか
多言語化を進めるうえで効いたのは、音源を作る手順そのものを軽くした設計です。PCでテキストを入力すれば日英中韓4カ国語の音声がAIによって用意され、乗り場や行き先といった可変部分だけを差し替えて即座にカスタマイズできる画面が備わっています。翻訳と収録を都度外部に依頼する形だと、案内文を一つ直すだけでも時間と費用が発生し、現場の都合に合わせた更新は現実的でなくなります。音源づくりの主導権を運用側に置いた構成が、多言語対応を一度きりの整備ではなく日々続けられる運用へと性格を変えたのではないでしょうか。
次に注目したいのは、すべてを自動放送に寄せなかった運用の切り分けです。定時の時刻・乗り場案内はスケジュールに沿った自動放送に任せ、緊急性の高い案内はマイクによる肉声で行うという役割分担が、現場の判断で組み立てられています。自動放送はスケジュールどおりに流れる反面、状況に応じた柔軟な対応は苦手だという性質を、現場は運用の前提として引き受けたわけです。自動音声と肉声では聞こえ方が異なるという差を、放送の性格を伝え分ける手がかりとして使っている点も見どころ。
音源の多言語化と同時に、音が届く範囲まで設計の対象に含めた点も見落とせません。指向制御を行うラインアレイ技術のスピーカーにより、近くではやさしく、遠くでははっきり聞こえる状態を少ない台数でつくっています。どれほど丁寧な4カ国語の案内を用意しても、乗り場から離れたロビーに音が届かなければ利用者にとっては存在しないのと同じで、ソフトと機器を切り離さずに更新したことが実効性を左右したと見ています。さらに、老朽更新と補助金の機会に合わせて券売機や表示器まで同時に入れ替える進め方を取ったことで、案内の自動化が放送設備単体の話に閉じずに済んでいます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
4カ国語の安定した案内放送が流れるようになり、係員ごとにばらついていた音量や内容も統一されました。出発到着ロビーから離れた第2ターミナルの乗り場にも案内が届くようになり、日本人・外国人を問わず「間に合ってよかった」という反応が利用者から寄せられています。時間が来るたびに接客を中断する必要がなくなったことで、対面でしかできない対応に集中でき、気持ちに余裕を持って働けるという声も現場から挙がっています。今後の課題としては、同時刻に出発する複数の便のうち1路線だけが運休した場合の個別案内や、緊急放送を遠隔で操作する仕組みの構築が検討されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、案内する内容が定型で、変わるのは時刻や行き先といった一部の項目に限られる業務です。駅や商業施設、大きな施設の呼び出し案内のように、同じ文言を人が一日に何度も繰り返している現場であれば、テキストから音声を作る仕組みは素直に効きます。
一方で、この形がそのまま当てはまらない場面もあります。スケジュールに沿って流れる自動放送は、運休や遅延のように状況が刻々と変わる案内を扱いにくく、実際この現場でも1路線だけの運休案内は現状のシステムでは対応できていません。また、音が届かない場所がある場合は、音源を多言語化するだけでは解決せず、スピーカーの配置や性能にも手を入れる必要があります。ソフトウェアだけの検討で止めると、期待した効果が出ない可能性があります。
検討の糸口としては、設備の老朽更新や補助金の予定を先に確認し、その更新計画の中に案内の自動化を組み込めないかを見ておく方法があります。放送機器だけを単独で入れ替えるより、社内の判断も予算も通しやすくなるはずです。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
関西国際空港リムジンバス等運営協議会
出典・参考情報
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