実施 2025.12 ・ 更新 2026.09.19
日本郵船が全社1,500人にCopilot導入、3か月前倒しを支えた進め方
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内の資料がすぐ見つからない
- 議事録づくりに時間を取られている
- 生成AIを入れても使われない
どのようなAIの取り組み?
Microsoft 365 Copilot を全社員約1,500人へ展開し、計画より約3か月前倒しで導入を完了したAI取り組み
業種
海運・総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
全社の社内業務/DX推進
使ったAI
Microsoft 365 Copilot(生成AI)
主な成果
全社導入を計画より約3か月前倒しで完了し、アクティブ ユーザー率80〜90%を維持
総合物流を手がける日本郵船は、2025年度から Microsoft 365 Copilot の導入準備に着手し、同年12月に全社員向けとなる約1,500ライセンスの展開を完了しました。同社は IT 子会社の NYK Business Systems と共同で社内向け生成 AI 基盤を開発し、2024年4月から活用を始めていましたが、社内文書やメール、会議情報と連動した検索・要約の精度が改善したことを受けて Copilot の採用へ踏み切ります。当初はコストとリスクを考慮した段階的な導入を想定していたものの、部長以上を対象としたセッションを経て役員側から全社導入の提案が出たことで方針が変わりました。端末の更新運用といった課題には、日本マイクロソフトのエンタープライズ向けサポート サービス Microsoft Unified の指定エンジニアリング サービスを活用しています。
出典:Microsoft Unified を活用して短期間での Microsoft 365 Copilot 全社導入を実現。AI エージェント活用も視野に入れる日本郵船の、未来を拓く AI 戦略 | Microsoft Customer Stories 発行元:日本マイクロソフト株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
日本郵船が Copilot の採用に慎重だったのは、AI そのものを疑っていたからではありません。2023年のリリース段階では社内の情報を検索してもほしい資料が引っかかってこず、2024年の比較・検証の時点でも、他社から勧められた生成 AI ツールのほうが使いやすいという評価でした。従来の生成 AI 活用では、チャットツールで作った文章や要約を Outlook や Teams に貼り付ける手間も残っていました。全社に広げるとなればまとまった予算が要り、生成 AI が社内情報へどこまでアクセスできるのか、既存の情報管理ルールとどう整合を取るのかという線引きの問題も控えていました。
編集部の見立てでは、この会社の困りごとの本質は「AI が賢いかどうか」ではなく、AI が日々の業務の文脈と地続きになっているかどうかにありました。2017年頃には機械学習による予知保全システムを実用化し、自前の生成 AI 基盤まで持っていた組織です。道具が一つ増えること自体には価値を感じにくい。業務文脈を理解した回答が返るようになり、しかも普段開いている画面の中でそのまま生成・編集まで完結する。この二つが揃って初めて、本格導入を検討する意味が生まれたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
最初の一手を経営層の理解促進に置き、部長以上を対象としたエグゼクティブ セッションと、擬似的な AI エージェントを動かす役員向けプレゼンを組み合わせたやり方が、全社展開を押し上げました。資料で説明するだけでなく、役員自身が試用ライセンスで触れる状態をつくったことで、判断の材料が「他社の話」から「自分が使ってみた感触」へ移ります。全社導入という決断が推進側ではなく役員側から出てきたのは、この順番によるところが大きいのではないでしょうか。予算と情報アクセスの線引きという、現場の判断だけでは動かしにくい論点を抱えていたからこそ、決裁する側を最初に巻き込む設計が効いたと考えられます。
導入初期の難所を AI の性能ではなく端末運用のルールとして切り分けた判断も見逃せません。更新プログラム チャネルを半年に一度から月次へ移すという要件に対し、人手を増やして乗り切るのではなく、リモートでの更新に置き換えた解き方は、既存の運用ルールやセキュリティ方針を崩さずに前へ進めるための現実解でした。社内で抱え込まず、外部のサポート サービスを通じて技術と運用の両面から手当てしたことが、社内調整に配慮するあまりプロジェクトが膠着する時間を減らしたと見ています。
普及・定着の施策を導入作業の後工程にせず、並行して走らせた組み立ても要因の一つです。ライセンス保有者向けのワークショップに加え、新機能や活用事例をラジオ形式で届ける社内番組や他社との情報交換会を用意し、情報が一方通行にならない場をつくりました。利用頻度の低い層に対して「使い方を教える」のではなく「何に使えるのか」を具体的に示すという方針も、操作を覚えさせる発想から離れている点で理にかなっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入は当初計画から約3か月前倒しとなり、2025年12月に全社での展開が完了しました。運用が始まったあともアクティブ ユーザー率は80〜90%を維持し、Teams 会議の議事録作成や英文の翻訳、リサーチ ツールを使ったマーケティング調査といった使い方が広がっています。過去の経営会議の議事録を読み込ませ、役員ならどのような指摘をするかを事前に想定する“壁打ち役”のエージェントを自作する部門も出てきました。同社はグループ会社への展開や、船舶での AI 活用も視野に入れています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、Microsoft 365 のような業務基盤がすでに全社で使われ、会議・文書・メールが同じ環境に集まっている組織です。この事例で効いたのは新しい AI を持ち込んだことよりも、毎日開いている画面の中に AI が入ったことでした。逆に、部門ごとに別々のツールや共有サーバーへ情報が散らばっている状態では、検索や要約の精度が上がりにくく、同じ手応えは得にくいと考えられます。端末の更新頻度を上げられない運用や、社内情報の閲覧権限の整理が追いついていない状況も、広げる前に見極めておきたい条件です。
進め方の面では、推進部門が積み上げて説得する形を取る前に、決裁する側が自分で触る機会を先につくれるかどうかが分かれ目になりそうです。まず試すなら、全社展開の可否を議論するより、役員や部門長が自分の会議1本分の議事録を AI に任せてみるところから。使い方の説明より、自分の仕事で何が減ったかという実感のほうが、次の判断を動かします。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日本マイクロソフト株式会社
Microsoft 365 Copilot をはじめとする製品群と、エンタープライズ向けサポート サービス Microsoft Unified(指定エンジニアリング サービス、強化指定エンジニアリング サービス)を提供している。
日本郵船株式会社
出典・参考情報
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