更新 2026.09.19
AIドラレコの運転スコアを人事評価に反映、事故を減らした物流企業の安全運転管理
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社用車の事故がなかなか減らない
- 安全運転の指導が精神論で止まっている
- 運転中の電話をやめさせたい
どのようなAIの取り組み?
AI搭載ドライブレコーダーの運転スコアを人事評価制度に組み込み、全社で交通事故の削減に取り組んだAI取り組み
業種
運送・配送(運輸・物流)
取り組み領域
安全運転管理/車両・ドライバー管理
使ったAI
次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』(映像解析AI)
主な成果
交通事故件数が着実に減少し、危険運転の指摘も大幅に改善
丸尾興商は交通安全を全社の最優先課題に据え、走行映像から危険な運転の兆候を捉える次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』を運転管理に用いています。特徴的なのは、AIが算出する運転スコアを人事評価制度に組み込んだ点です。あわせて社長号令のもとで、ハンズフリー通話を含む運転中の携帯電話使用を全面禁止とし、社内ポータルでは社長と安全管理責任者が継続的に呼びかけを行っています。独自の標語「シゴト<イノチ」を掲げた車両ステッカーや、取引先向けに作成したチラシによって、社内だけでなく社外にもルールの理解を求める働きかけが続けられています。
出典:交通安全の取り組み|丸尾興商株式会社 発行元:丸尾興商株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
公開されている情報からは、運転中の携帯電話への対応が取り組みの中心に据えられていることが読み取れます。ハンズフリー通話まで含めて全面禁止とし、さらに取引先に対してもチラシで理解を求めているという事実は、社内のルール整備だけでは解決しきれない問題があったことを示しています。
編集部の見立てでは、困りごとの本質はドライバー個人の注意力ではなく、「運転中でも連絡がつくのが当たり前」という仕事の進め方そのものにあったのではないでしょうか。電話に出ないという選択がドライバー個人の判断に委ねられている限り、相手を待たせる気まずさが安全より優先されてしまいます。事故を減らしたいという課題は、突き詰めれば「危険な運転をした人を指導する」ことではなく、危険な運転が起きやすい状況を業務の側から取り除けるかどうかという問題に行き着きます。
どうやって、うまくいったのか
AIが算出した運転スコアを人事評価制度に接続したことが、この取り組みの中核にあると考えられます。走行映像を解析してリスクの高い運転を可視化する仕組みは、それ自体では「データが出ているだけ」の状態で終わりがちです。出てきたスコアを評価という、社員全員が自分ごととして受け止める土俵に載せた設計が、計測を行動の変化へつなげる回路になったのではないでしょうか。
もう一つ注目したいのは、ルールを守る責任をドライバーだけに背負わせなかった点です。「運転中は電話に出ない」という方針を取引先向けのチラシで社外にも伝えるやり方は、電話をかける側の期待値そのものを動かそうとする働きかけにあたります。社内の禁止事項として通達するだけなら、かかってきた電話に出ない判断は現場の個人に委ねられたままですが、相手にあらかじめ理解を得ておけば、出ないことが失礼にあたらない状態を業務の外側につくれます。
トップの号令と、日常の目に触れる接点を組み合わせた点も見逃せません。社長号令という強い意思表示で方針を確定させたうえで、社内ポータルでの継続的な呼びかけと、「シゴト<イノチ」という独自の標語を貼った車両ステッカーによって、方針が運転席の目の前に置かれ続けます。一度の通達で終わらせず、評価制度・社外への説明・日々の掲示という複数の経路で同じメッセージを重ねた構成が、安全意識の定着を支えていると読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
これらの継続的な取り組みにより、交通事故件数は着実に減少し、危険運転に関する指摘も大幅に改善しています。外部からの評価としては、走行距離1,000kmあたりのリスク運転数が少ない企業として『DRIVE CHART』導入企業のなかから「DRIVE CHART Award 2025」物流部門の上位10社に選出され、これは2024年に続く選出です。また「Safety Driving Award 2025」の営業車部門でも優秀賞を受けています。単年の結果ではなく複数年にわたって水準が保たれている点が、この成果の意味を示していると考えられます。
うちでも使える?
社用車や配送車を抱え、運転の安全が経営課題になっている企業であれば、考え方は応用しやすいはずです。ポイントはAIドラレコそのものではなく、出てきたスコアを何に接続するかという設計にあります。評価制度や日々の面談など、社員が自分の行動として受け止める仕組みにつなげられるかどうかが分かれ目になります。
一方で、そのまま真似るのが難しい条件もあります。運転業務を協力会社や個人事業主のドライバーに委ねている場合、スコアを自社の人事評価に組み込むことはできませんし、緊急の連絡が業務上どうしても必要な業態では、電話の全面禁止は現実的でないこともあります。取引先との力関係によっては、「運転中は出ません」と伝えること自体が簡単ではないでしょう。
まず試すなら、自社の車両で先月何件の危険挙動や小さな接触があったのかを、担当者の記憶ではなく記録として並べてみるところから。そのうえで、取引先に渡す一枚のチラシに書ける文面を考えてみると、自社にとって現実的な線引きが見えてきます。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:動画AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
丸尾興商株式会社
交通安全を全社の最優先課題として位置づけ、次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』を活用した安全運転管理に取り組む企業。「DRIVE CHART Award 2025」物流部門で上位10社に選出され、「Safety Driving Award 2025」営業車部門で優秀賞を受けている。
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