実施 2020.08 ・ 更新 2026.09.19
サカイ引越センター、年78万枚の紙帳票をAI-OCRで順次データ化
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 紙やFAXの書類入力に追われている
- 手書き書類の入力を自動化したい
- 人手不足で現場の負担が重い
どのようなAIの取り組み?
手書き文字も読み取れるAI-OCRを使い、全国6,000人規模の社員が抱えていた紙帳票の入力作業をデータ処理に置き換えていったAI取り組み
業種
引越業(運輸・物流)
取り組み領域
総務・経営企画/帳票のデータ入力
使ったAI
AI-OCR「DX Suite」(画像AI・文字認識)
主な成果
紙帳票の手入力が大幅に減少(時間の定量集計はなし)
引越業界大手のサカイ引越センターは、全国の営業所に紙のまま流れ込む帳票の入力作業を、AI-OCR(手書きを含む紙の文字をAIが読み取る仕組み)でデータ化する取り組みを進めています。対象となるのは法人向けの見積依頼書や顧客アンケートのハガキに加え、所属長の押印が必要な出張申請書、ドライバーの運転記録証明書といった社内帳票です。採用したのはNTTビジネスアソシエ西日本の紹介で知ったAI-OCRサービス「DX Suite」で、導入前には複数のOCRサービスをトライアルして比較しています。重視したのは手書き文字の読み取り精度と、実際に操作する事務員やパート社員にとっての扱いやすさ、そして設定変更の柔軟さでした。2020年8月時点で導入から8ヶ月ほどが経過し、大きな営業所本部を中心に活用が広がっています。
出典:紙文化が残る業界で劇的な変化!AI-OCR導入でデジタル化を加速 | DX Suite | AI-OCR市場シェアNO.1のDX Suite 発行元:DX Suite
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
引越の現場では、電話とファックスを軸にした受注の慣習が長く続いてきました。繁忙期の2月から3月には、一つの営業所に1日300枚、多いときは500枚もの見積依頼書がファックスで届き、机の上に紙の山ができます。対象となる帳票は年間でおよそ78万枚。ドライバーの不足が業界全体の課題となるなかで、この入力作業をマンパワーで支え続けることは難しくなっていました。
編集部の見立てでは、この会社の困りごとの核心は枚数の多さそのものではなく、帳票をまとめて処理する部署が存在せず、入力作業がドライバーや営業職を含む6,000人規模の従業員に薄く広く分散していた点にあります。一人ひとりの負担は「少し手間がかかる作業」に見えても、全社で足し合わせれば膨大な時間になる。しかも分散しているがゆえに、どこにどれだけの時間が消えているのかが誰にも見えにくい。集約されていない非効率は、改善の対象として認識されにくいという難しさを抱えています。
どうやって、うまくいったのか
選定の物差しを、導入を決める管理部門ではなく、実際に伝票を打ち込む現場社員の手触りに置いたことが、この取り組みの出発点になっています。比較検討で重視されたのは手書き文字の読み取り精度に加えて、設定を簡単に変更できる柔軟さと、ITに詳しくない事務員やパート社員でも迷わず扱える分かりやすさでした。先に一部で使っていた別のツールが、応用が利かずマニュアルを読んでも操作が分からないという壁に突き当たっていた経緯を踏まえると、この基準設定は「賢いか」ではなく「誰でも設定を変えられるか」へ軸足を移した判断だったと読めます。入力の担い手が全国に散らばる体制では、設定を変えるたびに本社の詳しい人が出向く仕組みでは回りません。
浸透のさせ方も、言葉ではなく実演に寄せた点に特徴があります。経営企画部が月に一度は全国の本部へ足を運び、目の前で行われている業務を把握したうえで、「その業務にはこのツールが使える」とその場で動かして見せる。ツールの機能を説明する研修ではなく、担当者自身の仕事に当てはめた状態を見せるやり方で、使い始めるまでの心理的な距離を縮めています。仕組みづくりで前に出る経営企画と、手作業のシステム化を足元で担う総務という役割分担が、この動きを支える土台になっていると考えられます。
用途を一つに固定しないまま走らせたことも、活用が広がった要因でしょう。当初の狙いは顧客からの見積依頼へ迅速に対応することでしたが、実際に大きく変わったのは手入力に頼っていたアンケートハガキの処理で、寄せられた顧客の声をデータとして品質向上に生かす方向へ重心が移っています。「こんなことにも使える」という認知が現場を伝って広がる余地を残した設計が、導入側が想定していなかった使い道を呼び込んだ形です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
業務時間がどれだけ減ったかの集計は行われていませんが、現場からは「本当に劇的に業務が減りました」という反応が返っています。本社では便利さの認知が広がるにつれて処理枚数が一気に増え、業務が集約しやすい北日本・東日本・中日本・西日本・九州の各営業所本部でも「使いやすい」という評価が出ています。一方で、全事業部への浸透は2020年8月時点でまだ途上です。数字で語られていない分、定着の度合いは現場の声と処理量の変化で確かめられている段階だと言えます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、決まった様式の紙が毎日一定量流れ込み、その入力が特定部署ではなく多くの拠点や担当者に分散している業務です。見積依頼、申請書、アンケートのように書式がある程度決まっていれば、読み取り結果の確認も短時間で済みます。逆に、書式が案件ごとにばらばらで、書かれた内容の意味を判断してから処理先を決めるような業務では、読み取れても人の確認が残り、効果は目減りします。
もう一つの分かれ目は、設定を誰が触れるかです。この事例では現場の事務員やパート社員が自分で設定を変えられることが選定条件になっていました。同じ発想で自社を見るなら、システム担当者に頼まないと様式を追加できないツールは、拠点が多い会社ほど使われなくなります。まずは繁忙期に紙が集中する部署を一つ選び、そこで実際に入力している人にトライアル版を触ってもらう。判断材料としては、その人が説明なしで一枚読み取らせられるかどうかが、机上の精度比較より雄弁です。
この事例は2020年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
DX Suite
手書き文字を含む帳票の読み取りに対応するAI-OCRサービス「DX Suite」の提供元。導入企業の見積依頼書や申請書、アンケートなどのデータ化に利用されている。
株式会社サカイ引越センター
出典・参考情報
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