実施 2026.05 ・ 更新 2026.09.18
再春館製薬所、搬送ロボットと集荷のデジタル化で当日出荷比率65%を見込む
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 人手不足で出荷が追いつかない
- 運搬や準備に時間を取られている
- 丁寧な対応をする余裕がない
どのようなAIの取り組み?
自律走行する搬送ロボットと集荷のデジタル化を掛け合わせ、発送センターの手作業オペレーションを刷新した物流の取り組み
業種
医薬品・化粧品製造(製造業)
取り組み領域
発送センターの搬送・集荷(物流)
使ったAI
自律走行型協働ロボット(AMR)+デジタルピッキングシステム(DPS)
主な成果
当日出荷比率53%から65%への向上を見込む
熊本県益城町に本社を置く再春館製薬所が、本社と工場が一体となった拠点「再春館ヒルトップ」内の発送センターで、自律走行型の協働ロボット(AMR)と、集荷作業をデジタル化するデジタルピッキングシステム(DPS)を組み合わせた仕組みを導入しました。漢方の理念に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品を製造販売する同社にとって、発送はお客様と接する最後の工程にあたります。長年続いてきた手作業中心のオペレーションを組み替え、資材の準備や荷物の搬送といった付随業務はロボットに任せ、丁寧な梱包やメッセージカードの封入、ギフトへの細やかな対応は人が担う形に整理しました。2032年の創業100周年を見据えた物流基盤づくりであり、省エネルギー化や当日出荷枠の拡大といった効果が見込まれています。
出典:再春館製薬所、「ロボット×新技術 デジタルピッキング」による次世代型物流システムを導入 | 株式会社再春館製薬所のプレスリリース 発行元:株式会社再春館製薬所
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
発送センターでは長年、手作業を前提としたオペレーションが続き、社員は荷物の搬送や資材の準備といった、商品そのものには触れない周辺の作業にも時間を割いていました。事業規模の拡大と、将来的な労働力不足の両方を見据えれば、この形のままでは一日に捌ける量に上限が生まれます。
ただ、編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは「人手が足りない」ことそのものではありません。運ぶ、用意するという、誰がやっても結果が大きく変わらない作業に人の時間が吸い取られ、丁寧な梱包や個別対応といった、人が担ってこそ差が出る作業に時間を回しきれない。その配分の偏りこそが、量と質の両方を同時に頭打ちにしていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
自動化の対象を「資材の準備」と「荷物の搬送」に限定した線引きが、この刷新の芯にあります。梱包の丁寧さ、メッセージカードの封入、ギフトごとの細かな対応は人の手に残し、移動や運搬という機械が得意な部分だけをロボットに渡す。工程を一律に機械化するのではなく、価値の源泉がどこにあるかで分けた設計だからこそ、現場が届けている品質を損なわずに置き換えが成立したと考えられます。
役割の違う二つの仕組みを掛け合わせた点も効いています。自律走行型の協働ロボット(AMR)が受け持つのはモノの移動、集荷をデジタル化するDPSが受け持つのは、どの商品をいくつ取るかという判断の支援です。人を丸ごと置き換える万能な一台を求めず、運ぶ機能と間違えないための仕組みを別々に用意したことで、人とロボットと表示装置が同じ床の上で並んで動ける構成になりました。搬送手段に従来型のベルトコンベアという固定設備ではなく自律走行を選んだ判断も、敷かれた設備に作業の流れを合わせるのではなく、作業の流れに機械のほうを合わせる発想の表れです。
稼働する現場を見学通路から見える設計にした運用は、広報上の工夫にとどまりません。ロボットと人が協働する様子を外部に開くことは、来場者の安心感や地域の学びの場という価値を生むと同時に、見られることを前提にした現場づくりを社内に課すことにもなります。地元熊本のDX(デジタル技術による業務や事業の作り替え)の先進事例として位置づける姿勢が、この取り組みを一度きりの設備投資で終わらせない力になっている面はありそうです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
電気使用量は、従来のベルトコンベアによる搬送システムと比べて約40%削減できる見込みで、これは同社の試算に基づく数値です。当日出荷比率は現在の53%から65%へと10%以上の向上が見込まれ、翌日に商品が届くエリアの拡大につながります。社員一人あたりの一日の梱包可能時間も従来の約2倍への拡大が見込まれており、集荷のデジタル化による精度向上と合わせて、量と正確さの両面に効く構えです。将来的には、高い配送品質を求める他社製品の出荷を請け負う事業への展開も視野に入れられています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、人が歩いて運ぶ距離が長く、同じ経路の往復が一日に何度も発生する現場です。そのうえで、梱包や同梱物の調整のように、人が手をかけるほど仕上がりの差が出る工程がはっきりしていれば、この事例と同じ「運搬は機械、判断と気配りは人」という線引きがそのまま当てはまります。
逆に、拠点が小さく移動距離がもともと短い場合や、扱う品物の形や置き場所が日ごとに変わって走行経路が定まらない場合は、ロボットを走らせる前提そのものが崩れます。現場を一般に開く運用も、拠点の立地や安全管理の体制が整って初めて選べる選択肢です。投資規模はこの事例では公表されていないため、同等の設備を前提に自社へ当てはめるのは早計でしょう。
まず試すなら、現場の誰か一人の動きを半日だけ追いかけ、商品に手をかけている時間と、ただ運んでいる時間を分けて数えてみること。後者が想像より長かったなら、この事例と同じ入り口に立っています。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社再春館製薬所
1932年に熊本で創業した「漢方の製薬会社」。「痛散湯」や「ドモホルンリンクル」をはじめ、漢方理念に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売を行う。「自然とつながり、人とつながる明日を」という企業理念のもと、サステナビリティ活動や本社を構える熊本県益城町への復興支援に取り組み、2032年の創業100周年に向けて「漢方発想のソリューション」を軸とした中長期の事業計画を推進している。資本金1億円、未上場。
出典・参考情報
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