実施 2026.03 ・ 更新 2026.09.18
出荷を止めずに3000㎡超の自動倉庫を三段階設置、稼働中センターの自動化計画
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 設備を刷新したいが出荷を止められない
- 倉庫が手狭で拠点を増やせない
- 人手が増えず出荷量を伸ばせない
どのようなAIの取り組み?
稼働中の大規模物流センターに、3,000㎡超の自在型自動倉庫を三段階に分けて設置する計画を採用したAI取り組み
業種
倉庫業(運輸・物流)
取り組み領域
物流センター/保管・出荷業務
使ったAI
自在型自動倉庫「ラピュタASRS」(倉庫ロボット)
主な成果
稼働を止めずに三段階で設置する計画を採用、保管効率は最大2.5倍の向上を見込む
物流向けロボティクスソリューションを手がけるラピュタロボティクス(東京都江東区)の自在型自動倉庫「ラピュタASRS」が、手原産業倉庫(滋賀県野洲市)の大阪市内にある大正センターで採用されました。設置面積は3,000㎡超と超大規模で、日々のオペレーションを止められない現場であることから、Phase1からPhase3までの三段階に分けて設置を進める計画が組まれています。背景にあるのは、2024年問題に象徴されるドライバー不足などの慢性的な人手不足と、EC市場の拡大や顧客ニーズの多様化によって倉庫現場に求められる柔軟性です。1階・2階に分かれていた在庫を2階へ集約して1階を新たに使える状態にし、荷主ごとに分散していた商品管理も一元化することで、拠点を増やさずに出荷量の上限を引き上げることを狙います。
出典:手原産業倉庫の大規模物流センターで3000㎡超の自在型自動倉庫「ラピュタASRS」が採用決定。人手不足時代に“スペース活用×出荷力向上”の実現を目指す。 | ラピュタロボティクス 発行元:ラピュタロボティクス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
手原産業倉庫が抱えていたのは、将来の事業拡大を見据えたときに、限られた倉庫スペースのままでは生産性を高めきれないという課題でした。加えて、20〜30年前に導入したパレット倉庫やケース倉庫といった大型の荷役設備が現場オペレーションに深く組み込まれており、刷新したくても出荷を止めるわけにはいかないというジレンマが長く続いていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質はスペースの広さではなく、設備更新の「止められなさ」にあったのではないでしょうか。稼働を止めれば荷主の出荷が止まる現場では、更新そのものの判断が先送りされ、古い設備に合わせた運用のほうが固定化していきます。人手不足やEC拡大によって現場に求められる柔軟性は年々増しているのに、設備の前提だけが数十年前のまま据え置かれる。この時間差こそが、実際に効いていた制約だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
採用の決め手として挙げられているのは、形状・規模・移設の自在性に加えて、独自のソフトウェア制御による「運用面での自在性」です。棚やロボットの構成を組み替えられたとしても、日々の出荷の波や荷主ごとの要件変化に追随できなければ、現場にとっては結局、動かしにくい固定設備と同じ扱いになってしまいます。制御ソフト側で運用条件を変えられるようにしておけば、業務が変わるたびにハードの再設置を求めずに済む。導入時点で将来の要件を確定しきれない現場ほど、この切り分けが効いてくるという判断が読み取れます。
次に効いたのが、アンカー工事を必要としないブロック構造を採り、設置を分割できる形にした設計です。床への大がかりな固定工事を前提にしないため、倉庫の一角ずつ、現場の形状に合わせて組み上げていくことができます。Phase1〜3という段階計画が稼働中の大規模倉庫で成り立ったのは、工事の単位を小さく割れる設計が先にあったからでしょう。投資と現場負荷を一度に背負わせない進め方は、止められない現場では導入の可否そのものを左右する条件です。
三つ目は、自動化を既存の置き場にそのまま重ねず、在庫の持ち方から組み替えた点にあります。1階と2階に分かれていた在庫を2階へ集約し、空いた1階を新たに活用できる基盤として捉え直したうえで、荷主ごとに分散していた商品管理も一元化する方向へ寄せました。自動倉庫を保管設備の置き換えとしてではなく、フロアの使い方と管理単位を見直す機会として設計に織り込んだ構えです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
現時点で公表されているのは採用の決定と段階設置の計画であり、稼働後の実績値はまだ示されていません。示されているのは、拠点を増やさずに出荷量の上限を引き上げ、1階のスペースを新たに活用できる基盤を整えるという見通しと、保管効率が最大2.5倍に向上するという製品特性への評価です。手原産業倉庫の代表は、既存倉庫の稼働を止めずに段階的に設置・増設できる点を最も評価しており、限られたフロア面積で垂直空間を使えることが物流コストの削減に直結するとの見方を示しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、出荷を止められない稼働中の現場で、設備更新が先送りされ続けているケースです。フロア面積が限られる一方で天井までの空間に余裕がある、複数フロアや複数荷主で在庫が分かれていて集約の余地がある、といった条件が重なるほど、段階設置という進め方の価値は大きくなります。
一方で、扱う荷物が大型・不定形でケース単位の自動保管になじまない場合や、繁閑差が極端で高密度保管を前提にしづらい場合は、同じ形は当てはまりません。床荷重や天井高の制約、そして複数フェーズにまたがる投資計画を社内で通せるかどうかも、実務では先に確かめておきたいところです。
まず手をつけるなら、自社の倉庫で「どのエリアなら数週間、出荷を迂回させられるか」をフロア図の上で区切ってみること。止められない現場かどうかは全体で語られがちですが、区画単位で見ると案外、先に手を入れられる場所が見つかるものです。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
ラピュタロボティクス株式会社
チューリッヒ工科大学(ETH Zürich)発のベンチャー企業。「ロボットを便利で身近に」をビジョンに掲げ、制御技術および人工知能技術を活用した次世代クラウドロボティクスプラットフォームの開発と、ロボットソリューションの開発・導入・運用支援を行う。世界30ヵ国以上から集まったエンジニア、ロボティクスに精通した営業チーム、カスタマーサクセスチームで物流向けソリューションを提供している。
株式会社手原産業倉庫
出典・参考情報
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