実施 2026.02 ・ 更新 2026.09.17
ゴンチャ ジャパン、貿易書類の目視照合をAIで自動化し工数約80%削減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 取引先とのメールと電話の往復が多い
- Excel更新と転送で情報が古くなる
- 書類の目視チェックに神経を使う
どのようなAIの取り組み?
AI-OCRによる書類照合とクラウド上への情報集約で、輸入業務の工数削減に取り組んだAI取り組み
業種
ティーカフェチェーン(飲食サービス)
取り組み領域
サプライチェーン/貿易・輸入業務
使ったAI
AI-OCRによる書類照合機能(クラウド型貿易管理サービス)
主な成果
書類照合が1件10分から2分に短縮、約80%の工数削減
グローバルティーカフェを展開するゴンチャ ジャパンのサプライチェーンマネジメント部は、国内約220店舗へ向けて茶葉やカップなどの資材を輸入し、店舗に届けるまでを一貫して担っています。導入前の進捗管理はExcelが中心で、船会社のサイトで調べた情報を更新しては倉庫や通関業者へ個別にメールで送り、急ぎの場合は電話で念を押す運用でした。発注書とインボイスの照合も、画面を2分割しての目視作業です。同部は2025年、Shippioが提供するクラウド型の貿易管理サービス「Shippio Cargo」の利用を決め、案件の進捗・貿易書類・関係者間のチャットをプラットフォーム上に集約しました。あわせて、AI-OCRを用いる「AIインボイス照合機能」で書類の突き合わせを自動化しています。
出典:導入事例|年30%超の急成長を支えるゴンチャ ジャパンの攻めのSCMとは? 発行元:Shippio
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前のサプライチェーンマネジメント部では、毎日のように船会社のWebサイトを開いて本船の動きを確認し、Excelを更新し、その結果を倉庫と通関業者へ個別に配る作業が繰り返されていました。急ぎの案件では電話での念押しも必要で、物量が増えるほど手が止まらなくなる構造です。発注書とインボイス、さらにパッキングリストの照合は、食品輸入の経験がものをいううえに見落としが許されず、集中力を削る作業でもありました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は作業量の多さそのものではなく、案件の「現在地」を関係者が同じ形で見られなかったことにあります。情報がExcel、メール、電話、紙に分かれていれば、最新の状態を把握している人は事実上一人に固定され、その人が伝え直すまで周囲は動けません。属人化は担当者が仕事を抱え込んだ結果ではなく、情報の置き場所が分かれていたことの帰結だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、案件情報の置き場所をひとつに決めたうえで、そこに社外の取引先まで同席させた設計です。Partner Connectという機能で倉庫と通関業者にも同じ画面を開いてもらい、進捗も貿易書類もチャットも同じ案件の下にぶら下げています。誰かが伝え直すことで成立していた情報共有が、各自が見に行く形へ置き換わったわけで、伝言ゲームが発生する余地を運用ではなく構造の側で消したと言えます。倉庫側がコンテナの遅延に気づくと入庫作業の順番変更などを自主的に進めてチャットで知らせる動きも生まれており、情報を配る側と受け取る側という関係が崩れたことの表れと読めます。
AIを当てる範囲を、判断ではなく突き合わせに絞った点も見逃せません。AI-OCRが担うのはインボイスとマスター、インボイスとパッキングリストという、正解が既存のデータ側にある照合工程です。食品輸入の経験値が要るのは「何をどう確認すべきか」を決める部分であり、決まった項目を一字一句合わせる作業までは人が抱える必要がない。この線引きが、精度への不安を机上の議論ではなく実務のなかで確かめられる範囲に収めたと考えられます。
選定の軸が機能比較だけに寄らなかったことも、定着を後押ししたはずです。抱えていた課題にワンストップで対応できる点に加え、多様な関係者とともに業界全体の理想を追うという方向性や、サービスを一緒に改良していこうという姿勢に共感して導入が決まっています。情報共有のためにクラウドサービスを使うのは部門として初めてでしたが、マニュアルを読み込まずに操作できる画面だったため、倉庫と通関業者への展開は一度一緒に使い方を確認しただけで完了しました。社内で慣れてから社外へ広げるのではなく、最初から取引先を含めて立ち上げられた点は、効果の出方を早めたと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
目視で行っていた照合作業は1件あたり10分から2分になり、約80%の工数削減につながりました。本船動静の確認とExcel更新、共有という一連の手作業はなくなり、案件の進捗も書類もログインすれば誰でも確認できます。電話やメールでのやり取りはほぼ発生していません。2025年12月に売上が前年同時期比で約50%増となりカップの追加確保を急いだ場面でも、該当コンテナの優先度を画面上で管理し、年末年始を挟んでもやり取りが埋もれずに対応。担当部門は納期を1〜2週間前倒しできたと受け止めており、空いた時間はフォーキャスティングや海外チームとの連携に向けられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、自社だけで完結せず、外部の事業者と同じ案件を追いかける業務です。倉庫や通関業者に限らず、協力会社や外注先を含めて関係者が三者以上になった時点で、伝えて確認して待つという往復のコストは急に増えます。照合作業についても、請求書と発注データのように突き合わせる相手がすでにデータとして存在し、確認すべき項目が決まっている業務であれば、同じ考え方が当てはまります。
一方で、取引先が自社の既存のやり方から動けない場合は、画面を共有しても片側だけが使う状態になり、電話とメールが残ります。書類の様式が案件ごとにばらばらで、どこを見るかを毎回人が決めているような業務も、そのままでは自動化の対象になりません。月に数件しか扱わないのであれば、共有の段取りにかかる手間のほうが上回ることもあります。まずは直近の一件で、書類の突き合わせに実際何分かかっているかを計ってみてはどうでしょうか。10分が2分になる価値があるかどうかは、その数字と月の件数の掛け算で見えてきます。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
Shippio
国際物流の可視化を実現するクラウドサービスを提供する企業。情報共有機能、貿易書類・請求書管理、納期調整の一元管理により、貿易業務の可視化と効率化を支援している。提供サービスには「Shippio Cargo」があり、倉庫や通関業者など社外の関係者と画面を共有するPartner Connect機能や、AI-OCRを用いるAIインボイス照合機能を備える。
株式会社ゴンチャ ジャパン
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