実施 2025.04 ・ 更新 2026.09.16
三井倉庫グループが化粧品のラベル貼付検査にAI画像検査機、目視の限界を補う設計
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 検査の判定が人によってばらつく
- 集中力の低下による見落としが不安
- 検査したことを後から示せない
どのようなAIの取り組み?
AI画像検査機により、化粧品の製造ラベル貼付チェックを目視から機械判定へ切り替えたAI取り組み
業種
総合物流・流通加工(運輸・物流)
取り組み領域
物流センターの化粧品製造・ラベル貼付検査工程
使ったAI
AI画像検査機(画像認識AI)
主な成果
目視検査から機械的な検査への移行により検査精度が向上
三井倉庫グループは、運営する物流センターで受託している化粧品製造業務に、カメラで撮像した画像からラベルの貼付状態を判定するAI画像検査機を導入し、運用を開始しました。対象は、化粧品本体と商品ケースの2カ所に製造ラベルを貼る工程で、SOP(標準作業手順書)の通りに貼られているかを、これまでは人の目で確認していた部分です。新しい仕組みでは、撮像した画像から対象物の位置や角度、形状、寸法、数量といった情報をAIが解析し、あらかじめ登録したデータと照合して合否を判定します。判定結果と証跡となる画像が記録されるため、個別の製品を後からさかのぼって確認することもできます。あわせて、製造と検査を1名が工程ごとに完結させるセル方式から、コンベアで商品を流しながら複数名で分担するライン方式へ、作業の組み方そのものも変更されています。
出典:三井倉庫グループ、「AI画像検査機」を導入、運用開始|三井倉庫グループ 発行元:三井倉庫ホールディングス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
製造ラベルが正しく貼られているかを目視で確認する作業では、スキルや経験による判定のばらつきと、集中力の低下から生じる人的ミスが課題になっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は検査の速さや人手の数ではなく、合否の判断基準が個々の作業者の頭の中にしか存在していなかった点にあります。同じ状態のラベルを見ても、どこまでのズレを許容するかは人によって揺れ、その差は本人にも自覚しにくい。さらに目視検査は、確認した瞬間に判断の痕跡が消えてしまうため、後から「あの製品は本当に確認されたのか」を裏づける手立てが残りません。他社から預かった製品を扱う受託業務では、精度そのものに加えて、この「検査したことを示せない」状態のほうが重く効いていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
ラベル貼付という工程を対象に選んだ切り分けが、機械判定を成立させる土台になっています。位置や角度、形状、寸法、数量のように、画像から数値として取り出せる特徴だけで合否が決まる作業であれば、AIに求められるのは良し悪しの感覚ではなく、事前に登録したデータとの照合にすぎません。SOPという形で正解が先に文書化されていた工程だったことも効いており、判定基準を機械に渡せる形へ翻訳する手間が最初から小さかったと考えられます。
検査の機械化を、作業レイアウトの変更とセットで進めた点も見逃せません。従来のセル方式は、開梱から商品取り出し、ラベル貼付、確認、梱包までを1名が通しで担う組み方で、そこに検査機を置くだけでは人の動線は変わらないままです。コンベアで商品を移動させるライン方式に切り替えたことで、製造と検査が順番待ちの関係から同時に流れる関係に変わり、検査機が持ち場に固定されて働き続けられる配置になりました。装置の性能を追うのではなく、装置が力を発揮できる流れをつくる方向に判断が向いています。
合否判定と同時に証跡画像を残す設計は、検査装置を品質記録の装置としても働かせています。検査は本来その場で完結してしまう行為ですが、判定した製造物の画像が残れば、後日の照会に対して個別にさかのぼれる。形状の異なる複数タイプの製品には検査機を複数台を併用する構成で応じており、1台で何でも見分ける万能機を目指すのではなく、扱う製品の幅に台数で対応する割り切りが見てとれます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
目視による確認からAIを活用した機械的な検査へ移行したことで、標準化された検査基準に沿った一貫性のある判定が得られ、検査精度の向上につながっています。合否判定した製造物を画像で記録するため、遡及調査への対応も可能になりました。作業面では、セル方式からコンベアを用いたライン方式への変更により製造と検査を同時に実施できる形になり、検査機を複数台併用することで形状の異なる複数タイプの製品にも対応できています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、正しい状態を写真で定義でき、しかも毎日同じ判断を繰り返している検査です。ラベルの有無や貼付位置、部品の個数、蓋の閉まり具合のように答えが一意に決まる項目なら、基準データを登録して照合する形に載せやすい。反対に、色味の微妙な差や質感、匂いや手触りといった画像に写らない要素で合否が分かれる検査は、この形にそのまま移すのは難しいはずです。
見落としやすいのは、扱う製品の種類が頻繁に入れ替わる現場です。この事例では形状の違いに検査機の台数で応じていますが、新しい製品が出るたびに基準データを登録し直す運用が回らなければ、装置のほうが先に止まります。まずは自社の検査項目を一つだけ取り上げ、その工程をスマートフォンで撮影して、写った画像だけで自分が合否を判断できるか試してみてはどうでしょうか。判断がつかないなら、それは画像検査より前に、基準を言葉にする段階の話です。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
三井倉庫ホールディングス株式会社
物流センターの運営を含む物流事業を手がける三井倉庫グループの持株会社。2021年に「三井倉庫グループDX戦略」を策定し、SCMにおけるデジタル化・見える化、最新テクノロジーやロボティクス・マテハン技術を活用した現場オペレーションの自動化・半自動化を進めている。グループの三井倉庫株式会社が化粧品製造業務を受託し、本事例のAI画像検査機を導入した。
出典・参考情報
三井倉庫グループ、「AI画像検査機」を導入、運用開始|三井倉庫グループ
発行元:三井倉庫ホールディングス株式会社
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