実施 2026.03 ・ 更新 2026.09.16
NTTロジスコが返却伝票をAIで読み取り、医療機器物流の受入作業を標準化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランしか読めない書類がある
- 手入力の打ち間違いが減らない
- 担当者が休むと作業が止まる
どのようなAIの取り組み?
送り状伝票の画像認識と、略称・手書き表記をAIで正式名称に変換する機能により、返却された医療機器の受入作業を標準化したAI取り組み
業種
医療機器物流(運輸・物流)
取り組み領域
物流センター/返却品の受入作業
使ったAI
返却AIシステム(画像認識・名称変換)
主な成果
熟練作業者に依存しない受入作業体制を確立
医療機器の販売には、メーカーがディーラーを介して医療機関に製品を預け、手術などで使われた時点で買い取りが成立する預託販売という商流があります。使われないまま数か月から数年後に物流センターへ戻ってくる製品も多く、NTTロジスコはこの返却品の受入作業を対象に「返却AIシステム」を自社のメディカルディストリビューションセンター東京へ導入しました。配送会社の送り状伝票をカメラで撮影し、そこに書かれた医療機関名とディーラー名を画像認識でデータ化したうえで、略称や手書きの表記から正式名称を導いて示す「あいまい検索表示機能」を備えています。同社は今後、預託販売形態を採用する取引先への展開も視野に入れています。
出典:医療機器物流における「返却AIシステム」の導入について | NTTロジスコ 発行元:株式会社NTTロジスコ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
返却品の受入では、製品に貼られた製品名やロット番号に加えて、送り状伝票のディーラー名・医療機関名を目視で確かめ、WMS(倉庫管理システム)に登録する必要がありました。ところが伝票の名称は正式名称で書かれていないことが多く、略称のままだったり手書きだったりします。名称を熟知した作業者でなければ判断がつかず、作業の属人化と入力ミスによる誤登録が課題として残っていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの正体は「文字が読めない」ことではなく、伝票上の表記と社内で管理する正式名称を結びつける照合の知識が、特定の人の頭の中にしか存在しなかった点にあります。紙をデータ化するだけでは解けず、かといって手順書に書き出そうにも、表記の揺れは数え切れません。人に張り付いた知識が、そのまま作業の詰まりどころになっていた構図です。
どうやって、うまくいったのか
伝票を撮影して文字をデータ化する工程と、その表記から正式名称を言い当てる工程を切り分けた設計が、この仕組みの土台になっています。前者は画像認識で機械的に処理できますが、後者は「この略称はあの医療機関を指す」という照合の判断であり、性質がまったく違います。読み取りと照合をひとつの処理としてまとめず、別々の課題として扱ったからこそ、略称や手書きという厄介な部分にAIの力を集中させられたと読み解けます。
AIの出した答えを自動で確定させるのではなく、あいまい検索の結果として画面に示す形をとった点も効いているのではないでしょうか。似た名前の医療機関が並ぶ場面では、正式名称への変換に取り違えのリスクがつきまといます。候補を絞り込むところまでをAIが担い、最終的な見極めは人の手元に残す。この配分であれば、誤登録を防ぐという当初の狙いと、現場が安心して使えることを両立させやすくなります。
適用範囲を返却品の受入という一工程に限定した判断も見逃せません。物流センターの業務は入荷から保管、出荷まで連なっていますが、熟練者の判断に依存していたのは伝票の名称照合という狭い部分でした。業務全体を作り替えるのではなく、詰まっている一点を特定してそこだけを置き換える進め方は、既存のWMSの処理の流れを保ったまま入れられる現実的な設計です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
NTTロジスコは導入の効果として、熟練作業者に依存しない作業体制の確立、手入力工程の自動化による入力ミスの防止と返却受入作業全体の効率化、そして再出荷可能な在庫とするまでのリードタイム短縮を挙げています。削減率などの数値は公表されていませんが、返却品が早く在庫として戻るということは、預託販売という商流のなかで製品が動かないまま眠る時間が短くなることを意味します。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、外部から届く紙の書類に書かれた名前や番号を、社内の正式なマスタと突き合わせて登録している業務です。取引先名、店舗名、品番——書き手によって表記がばらつき、正解のリストは社内にある。この構図が揃っていれば、読み取りと照合を分けるという考え方はそのまま持ち込めます。
一方で、社内の正式名称リスト自体が整っていなかったり、同じ呼び名が拠点ごとに別の対象を指していたりする場合は、AIが照合する先がないため同じようにはいきません。返却品の状態確認のように、書類ではなく現物を見て良否を判断する工程が主になっている業務も、この事例の射程からは外れます。
まず試すなら、直近に届いた伝票を数枚、入社間もない担当者に渡してみるのはどうでしょうか。どの項目で手が止まるのかが、AIに任せるべき照合の範囲を教えてくれます。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社NTTロジスコ
3.5PL事業者として、安全かつ最先端の物流サービスと、顧客のサプライチェーン最適化に貢献するソリューションを提供する物流企業。医療機器共同配送サービス「メディカルライナー」など、業界標準プラットフォームの構築にも取り組んでいる。
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