実施 2025.01 ・ 更新 2026.09.16
AIドラレコと安全運転手当でリスク運転を99.7%削減した九州の運送会社
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 若手ドライバーの事故が増えている
- 事故が起きてからの指導になりがち
- 安全の呼びかけが形だけになっている
どのようなAIの取り組み?
AIドライブレコーダーの検知データと安全運転手当を組み合わせ、リスク運転を1年で99.7%削減した物流会社のAI取り組み
業種
貨物自動車運送業(運輸・物流)
取り組み領域
配送ドライバーの安全運転管理
使ったAI
DRIVE CHART(AIドライブレコーダー/映像解析AI)
主な成果
リスク運転の検知件数を1年で99.7%削減
九州全域でサンゲツグループの内装材物流を担う株式会社クロス企画は、約45台の車両で福岡市内から九州各地への配送を行っています。若手や未経験者の採用を進めるなかで追突や後退時の接触といった事故が増えたことを受け、2025年1月にAIドライブレコーダーサービス「DRIVE CHART」を導入しました。車載カメラの映像をAIが解析し、車間距離や脇見、速度超過といったリスク運転8項目を100点満点でスコア化する仕組みです。同社はこの検知結果を使った個別指導に加え、経営層からの直接の発信と、2025年6月に始めた月次・日次の安全運転手当を重ねて運用しています。リスク運転の検知件数は導入1か月で88.3%、1年で99.7%減りました。
出典:現場の「プロ意識」を呼び覚ます!『DRIVE CHART』導入がドライバーの心と自覚を変えた 熱意と報酬制度が伝える「安全マネジメントの極意」とは?~DRIVE CHART STARS講演会レポート | DRIVE CHART(ドライブチャート)- 次世代AIドラレコサービス 発行元:DRIVE CHART(ドライブチャート)
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前の安全対策は、事故が起きた後にドライブレコーダーのSDカードを抜き、その映像をもとに指導するという流れが中心でした。適性検査の結果を伝えても「こういう傾向だからバック事故が多い、次から気を付けて」という抽象的なやり取りで終わり、朝礼で全体に安全運転を呼びかけても、ドライバーからは繰り返しの決まり文句として受け取られていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は現場の安全意識の低さではなく、指導する側の手元に「事故が起きた1件の映像」と「検査結果という漠然とした傾向」しか材料がなかったことにあります。事故という結果でしか運転を語れない状態では、指導は必然的に事後に回り、話は誰にでも当てはまる一般論の水準まで薄まってしまう。原因が分からない、行動が変わらない、同じ人が事故を繰り返すという悪循環は、その構造から生まれていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
リスク運転を8項目に分解し、100点満点のスコアとして提示する設計が、指導で使える言葉そのものを変えています。誰がどの癖を持っているかが指導の前に分かるため、Aさんには車間距離、Bさんには速度超過と、対象を一点に絞って伝えられる。ドライバー側からも「どの位置でマイナスになったか分かれば、そこで気を付けられる」という問いが出てきており、話題の焦点が人格や性格ではなく具体的な運転操作へ移ったことがうかがえます。
報酬制度の水準の置き方にも、行動を続けさせるための判断が表れています。月次の基準となる98点は、当時すでに約8割のドライバーが達成していた水準で、まず成功体験をつくることを優先した設定。そこへ8項目すべて満点の日に支給する日次の手当を重ね、毎日振り返るという運用を無理なく習慣に変えています。管理者にも担当チームの平均点に応じた評価を用意し、事故や違反が起きれば評価をリセットする厳格さも併せ持たせた点は、個人の頑張り任せにしない仕組み化として読めます。
制度の外側にある、経営層の関与の仕方も見逃せません。社長が全社会議で方針を語るだけでなく、全社員向けのグループLINEでの注意喚起や個別のヒアリングまで踏み込み、頭ごなしに否定するのではなく事故が起きたときのリスクを説明する形をとっています。車内を映すインカメラへの抵抗も、AIが拾うのはリスク運転の場面に限られるという仕組みの説明と、社員を事故から守るという目的の共有によって受け入れられました。他社の事故動画によるケーススタディと、自分の検知映像の振り返りを組み合わせた二枚看板の教育は、他人事を自分ごとに変える回路を二重に用意した工夫といえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入を通知せずに実施した2024年12月の1か月テストでは、約4,000件のリスク運転が検知されていました。そこから導入1か月で88.3%、1年で99.7%が削減され、月間の検知件数はほぼ20件を切る水準まで下がっています。リスク運転項目の延長線上にある大きな事故はほとんどなくなり、残る自損事故も軽微なものにとどまっています。2025年末には月次・日次ともに満点のドライバーが初めて1名現れ、朝礼の発言も「今週は脇見の満点を目指す」といった具体的な目標に変わりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、現場の行動が映像やセンサーで自動的に記録でき、その良し悪しを項目ごとに分けて点数化できる業務です。運転のように「何が減点なのか」を全員が同じ基準で理解できる領域であれば、評価と報酬をつなげる設計はそのまま持ち込めます。
一方で、成果が複数人の連携や当日の顧客都合に大きく左右される業務では、同じ形は作りにくくなります。個人のスコアが本人の努力と結びつかないまま評価に反映されると、納得感が失われて制度が逆効果になりかねません。常時記録される機器を入れる場合も、何が記録され何が記録されないのかを具体的に説明できなければ、現場の抵抗は残るでしょう。
最初の一歩としては、すでに自社で記録しているデータの中から、8割程度の人がいま達成できている水準に基準線を引けるものが1つでもあるかを見てみるのが現実的です。届かない目標ではなく、届いている状態を可視化するところから始める。その線が引ければ、制度設計の議論は一気に具体化します。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:動画AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社クロス企画
支援ベンダーについて
本事例の開発・支援を担当した企業名は公開されていません。
※WarpBiz編集部による公開情報リサーチに基づくこの取り組みに関心があれば 支援企業の公式情報をご覧ください
出典・参考情報
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