実施 2024.12 ・ 更新 2026.09.11
アパレル物流の倉庫で自律走行ロボット活用、ピッキング生産性が約2.3倍に
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 倉庫内の歩き回る作業が多い
- 繁忙期に人手が集まらない
- 新人教育に時間を取られている
どのようなAIの取り組み?
倉庫内を自律走行するロボットの活用で、ピッキング生産性を約2.3倍に高めたAI取り組み
業種
3PL・物流アウトソーシング(運輸・物流)
取り組み領域
物流センター/ピッキング作業
使ったAI
自律型協働ロボット「PEER 100」(AMR)
主な成果
ピッキング生産性が約2.3倍(145行/h)
千葉県成田市の物流センターでアパレル向けの3PL(物流業務の受託)を手がけるファインプラスが、GROUNDの自律型協働ロボット「PEER 100」を20台使う運用を始めました。商品の少量多品種化と高頻度・小ロット出荷で作業者の歩行距離が伸び、出荷がひっ迫していた現場に、SLAMと呼ばれる自己位置推定の技術で通路の障害物を避けながら走る搬送ロボットを組み合わせた形です。国の物流効率化先進的実証事業費補助金を活用し、2024年12月にテスト運用を開始、2025年1月から本格稼働へ移行。既設のWi-Fiを使うオンプレミス・買い取りモデルを選び、稼働後も現場の声を受けた設定調整が続けられています。
出典:ファインプラス、AMR「PEER 100」導入でピッキング生産性が約2.3倍に向上 │ ニュース | GROUND Inc. 発行元:GROUND株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
キャップなどのアパレル商品を扱うこの現場では、消費スタイルの変化で商品が少量多品種化し、店舗向け出荷もEC運用に近い高頻度・小ロットへと変わっていました。その結果、作業者がピックのために歩く距離が大きく膨らみ、出荷のひっ迫を招いていました。加えて空港近隣という立地の事情があり、コロナ禍に一時的に確保できていた労働力が空港の活気とともに流出し、人材確保が難しくなっていました。
注目したいのは、繁忙期に時間雇用のサービスで人を足しても生産性が安定しなかった、という記述です。膨大な商品と配置場所を覚えてもらうための教育コストが増え続けたことを踏まえると、この現場の困りごとの本質は人数の不足そのものではなく、「歩行距離と商品ロケーションの記憶」という、人を増やすほど教育負荷が比例して重くなる構造にあったのではないでしょうか。人員追加が解決策として機能しない以上、作業の中身そのものを組み替えるしか道はなかったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
数億円規模の投資を要する自動倉庫やGTP(棚ごと運ぶ搬送ロボット)を避け、既存の棚とレイアウトを残したまま入れられるAMR(自律走行する協働ロボット)を選んだ判断が、この取り組みの土台になっています。設備側に現場を合わせるのではなく、いまある現場に機械を寄せる方向を取ったことで、投資額と工期の両方を抑えられます。ランニングコストの面でもオンプレミス・買い取りモデルを選び、他社製品では難しかった既設Wi-Fi環境をそのまま使えるようにしたことは、費用対効果を判断軸に置いた設計の一貫性を示しています。
選定の決め手が、現場で使う75Lオリコン(折りたたみ式のコンテナ)を載せられる筐体サイズだった点は、導入の勘所として示唆的です。ロボットの性能表ではなく、日々の運用で実際に使う容器が載るかどうかという物理的な条件から機種を絞り込む考え方は、現場のやり方を変えずに済ませるための現実的な判断だと言えます。器具が合わなければ、どれほど高機能でも運用のどこかに手戻りが生まれます。
稼働開始後も現場管理者やスタッフの意見を吸い上げ、使いやすさに向けたシステム開発や設定調整を短い周期で繰り返す進め方が、立ち上がりの速さを支えたと見ています。ここでは、日々の運用と改善要望を出す側をファインプラス、開発と現場サポートで応じる側をGROUNDという役割分担が機能しました。導入時点の設計を完成形と見なさず、運用しながら詰めていく前提を最初から織り込んだことが、稼働初期での成果につながったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
ピッキング生産性は、導入前のKPI値である62.5行/hに対し、2025年2月時点で平均145行/hに到達しました。目標としていた100行/hを大きく超え、約2.3倍という水準です。ピッキング作業の総労働時間も、従来の月4,800時間に対して2025年1月実績で月2,685.3時間となり、約44%削減されています(ロボット使用を前提とした人員計画の見直しを含む数値です)。ピッキングから梱包までの作業時間は9時から17時30分までが16時までへ1時間30分縮まり、トラックへの貨物引渡しの完了も平均18時から17時30分へ早まりました。稼働エリアの1フロア全体への拡大や他拠点での活用は、いずれも検討段階にあります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、扱う品目が多く、商品ロケーションが広く散らばっていて、ピック1件あたりの歩行が積み上がっている倉庫です。既存の棚やレイアウトを大きく変えずに済む方式であれば、繁忙期の人員追加で吸収しきれない部分だけを機械に肩代わりさせる形が取りやすいはずです。逆に、通路幅や床面の状態が走行に向かない現場、扱う容器やケースの寸法が機体に合わない現場では、同じ効果は見込みにくいでしょう。無線環境が弱い倉庫では、その整備費用が投資判断に上乗せされる点も見落とせません。ボトルネックが歩行ではなく検品や流通加工にある場合は、そもそも打ち手の当て先が変わります。
まず試すなら、自社の倉庫で作業者が1日にどれだけ歩いているかと、その歩行が出荷全体のどの時間帯を圧迫しているかを、数日分だけ実測してみてはいかがでしょうか。歩行が原因だと数字で言えるかどうかが、判断の分かれ目になります。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
GROUND株式会社
「すべての人にとって永久に持続可能な物流の未来へ」をビジョンに掲げ、AIやロボットなどの先端技術を活用した物流ソリューションを開発・提供するLogiTech企業。自社開発の物流施設統合管理・最適化システム「GWES」や、自律型協働ロボット「PEER」シリーズなどのロボティクスソリューションを提供している。資本金1億円(2024年6月末)。
株式会社ファインプラス
出典・参考情報
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