実施 2025.01 ・ 更新 2026.09.09
問い合わせ93%減、自動販売機メーカーがチャット活用で電話対応を終了
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話がつながらず客を待たせている
- 1件の電話対応が長引き手が回らない
- 現場への連絡が伝言ゲームになる
どのようなAIの取り組み?
有人チャットとチャットボット、LINEでの一斉配信を組み合わせ、有人の電話対応の終了と現場連絡の省人化を進めたAI取り組み
業種
自動販売機・ショーケース製造(製造業)
取り組み領域
カスタマーセンター/現場担当者への情報連絡
使ったAI
チャットボット・有人チャット、LINEセグメント配信
主な成果
問い合わせ件数を約93%削減、現場連絡の人員を半減
自動販売機や冷凍・冷蔵ショーケースを製造・販売するSDRS株式会社(旧社名:サンデン・リテールシステム株式会社)は、モビルス株式会社の有人チャット「MOBI AGENT」とチャットボット「MOBI BOT」を2025年1月にカスタマーセンターへ導入し、同年3月には有人での電話対応を終了しました。平日の日中はオペレーターがチャットで修理受付や問い合わせに応じ、それ以外の時間帯はチャットボットが自動で対応する形です。さらに2025年6月からは、大手コンビニのコーヒーマシン刷新事業で、LINE公式アカウントから個別にメッセージを届けられるLINEセグメント配信「MOBI CAST」を追加しました。全国を回るパートナー企業の設置担当者数百名に対し、本部からマニュアルの更新情報や部品の欠品情報、災害時の注意喚起を直接配信する体制へ切り替えています。
出典:SDRS株式会社(旧社名:サンデン・リテールシステム株式会社)|全国の設置担当者にLINE公式アカウントで最新情報を一括配信し、情報展開の人員を約半分に削減 | モビルス株式会社 発行元:モビルス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
冷やす用途の製品を多く抱えるため、夏場になると問い合わせが増え、1日に数百件の電話が入る日もありました。件数には1日の中でも波があり、ピーク時には受電率(かかってきた電話のうちオペレーターが応答できた割合)が下がって顧客を待たせる。1件あたりの応対時間も長く、製品の状態を細かく確認する必要がある場合には約1時間におよぶこともありました。一方、コーヒーマシン設置事業の側では、本部から各支社、パートナー企業の窓口担当者を経て現場の設置担当者へ、という多段の伝達で情報が遅れたり正確に伝わらなかったりしていました。
編集部の見立てでは、この2つは別々の問題ではなく、同じ構造から生じた詰まりではないでしょうか。電話は一度に一人としかつながらず、支社経由の伝言も一段ずつしか進みません。どちらも一対一の口頭伝達しか経路がなく、件数や人数が増えても処理能力が線形にしか伸びない。その経路だけで業務が組み立てられていた点にこそ、困りごとの本質があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
電話という一対一のチャネルを、同時に複数の相手と並行して進められるテキストのやり取りへ置き換えた判断が、まず効いています。オペレーター一人が同時に何件を扱えるかは窓口の限界を直接左右する要素で、人を増やさずに処理能力を伸ばす手として選ばれたのがチャットでした。検討の段階では、先にチャットへ切り替えて電話相談窓口を終了した他社の実例を確認したうえで踏み切っており、2025年1月の導入から3月の有人電話終了まで併用期間を置いた進め方も、現場の不安を抑える現実的な段取りだったと言えます。
自動化と人の対応を、問い合わせの入口と中身で分けた設計も見逃せません。チャットボットが先に内容を振り分けるため、オペレーターは判断や確認が必要な部分から着手でき、聞き取りの立ち上がりが短くなります。写真や動画を送ってもらえるというチャットの性質は、製品の状態を言葉だけで探っていた工程をそのまま置き換えるもので、確認の往復を減らす方向に働きます。有人対応を平日9時から17時に絞り、それ以外をチャットボットに任せた線引きも、人の稼働を抑えながら窓口自体は開き続ける形をつくっています。
コーヒーマシン設置事業のほうは、ツールを足したというより情報の通り道を引き直した取り組みです。本部から支社、パートナー企業の窓口を経て現場に届いていた経路を、本部と設置担当者が直接つながるLINE公式アカウントに置き換え、欠品情報や災害時の注意喚起のように早く全員に届くこと自体に価値がある情報を一斉に流せるようにしました。運用面で興味深いのは、チャットボットのシナリオ(会話の流れをあらかじめ定義したもの)にマニュアルを通常のリンクで埋め込まず、格納ファイルを環境変数として設定した点です。マニュアルを更新するたびにシナリオを直す作業が消えるため、現場で起きたことをその日のうちに資料へ反映して配信するという回し方が、無理なく続く設計になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
電話で対応していた頃と比べ、問い合わせ件数は約93%減り、オペレーター人員は約75%の削減となりました。「待ち時間を含めて平均900秒以内」という応対時間の目標も、数カ月にわたって達成が続いています。テキストで1点ずつ確認できるようになったことでオペレーターの負担も軽くなり、切り替えは現場でも好評です。コーヒーマシン設置事業では、7年前の同種の業務に比べて約半分の人員で進められており、6種類の技術資料も更新のたびに全員へ届くため、どの版を見ているかを確認するやり取りが不要になりました。
うちでも使える?
応用しやすいのは、問い合わせの多くが状況の確認で成り立っている窓口です。修理受付やFAXの到着確認のように、写真や型番など手元の情報をやり取りすれば話が進む用件は、テキストのチャットに移しても失われるものが少なく、同時に複数を並行処理できる利点だけが残ります。同じ内容を何十人、何百人へ個別に連絡している業務も、一斉配信の仕組みに置き換える余地が大きいところです。
逆に、電話でしか受け付けない商慣行が残る取引先が多い場合や、相手が現場で手がふさがっていて文字入力そのものが負担になる場合は、有人の電話対応を終わらせるところまで踏み込むのは無理があります。この事例でも導入から有人電話の終了までは約2カ月の併用期間があり、配る相手が数人にとどまる連絡業務では、配信の仕組みを整える手間に見合わないこともあるでしょう。まず試すなら、直近1カ月に受けた電話を見返し、写真1枚か短い文章のやり取りで済んだはずの件がどれだけあったかを数えてみる。その比率が、切り替えで浮く時間のおおよその見当になります。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
モビルス株式会社
有人チャット「MOBI AGENT(モビエージェント)」、チャットボット「MOBI BOT(モビボット)」、LINEセグメント配信「MOBI CAST(モビキャスト)」など、顧客対応窓口向けのチャット・メッセージング関連システムを提供する企業。導入企業向けにカスタマーサクセスの「定着化支援」メニューを用意しているほか、CX(顧客体験)向上をテーマにトレンド記事や調査レポート、実証実験の成果を発信する「CX-Branding Tech. Lab」を運営している。
SDRS株式会社(旧社名:サンデン・リテールシステム株式会社)
出典・参考情報
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