実施 2025.09 ・ 更新 2026.09.08
電話応答の約8割を自動化、バス会社が音声AIで運行管理の時間を確保
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話が鳴り止まず本業が進まない
- 同じ質問の受け答えに人手を取られる
- 急ぎの電話を取りこぼしそう
どのようなAIの取り組み?
対話型音声AIで営業所の電話応答を自動化し、蓄積した問い合わせデータを人員配置の判断にも生かしたAI取り組み
業種
路線バス・観光事業(運輸・物流)
取り組み領域
営業所の電話対応/運行管理
使ったAI
対話型音声AI SaaS「アイブリー」(音声AI)
主な成果
電話応答件数の約8割を自動化
長野県を中心にバス事業と観光事業を手がけるアルピコ交通は、長野営業所の電話対応に、IVRyが提供する対話型音声AI SaaS「アイブリー」を導入し、本格稼働を開始しました。着信の大半を占めていた時刻・運賃・忘れ物に関する問い合わせを音声メニューの分岐で振り分け、AIによる録音と文字起こしで受け付ける形へ切り替えています。あわせて「AI解析ダッシュボード」で問い合わせの件数や内容を可視化し、折り返し対応の準備や人員配置を検討する材料として使う運用も始まりました。忘れ物については、利用者が路線や時間を音声で伝え、その文字起こしを見た管轄営業所が直接折り返す流れに改めています。
出典:アルピコ交通が対話型音声AI SaaS「アイブリー」を導入。 AIによるデータ解析で、折り返し対応や人員配置を最適化 〜安全運行体制の強化と長野県を中心とした地域住民・観光客へのサービス向上を実現〜 | アイブリー 発行元:株式会社IVRy
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前の長野営業所では、慢性的な人手不足のなかで電話が鳴り止まず、応答しきれない状況が続いていました。問い合わせは時刻・運賃・忘れ物の3種に集中し、さらに乗務員からの突発的な連絡も同じ回線で受けていたため、緊急度の高い電話を取りこぼすリスクを抱えていました。
編集部の見立てでは、この現場の困りごとの本質は着信の多さそのものではなく、答えの決まった案内と、運行の安全に直結する連絡とが、一本の回線と同じ担当者の手元で混ざっていた点にあります。運行管理は本来、遅延や事故への即応が求められる仕事です。そこへ定型の案内が絶え間なく割り込めば、業務が滞るだけでなく、どの電話を先に取るかという優先順位づけ自体が現場の負荷になっていきます。
どうやって、うまくいったのか
対応する用件を時刻・運賃・忘れ物という3つの型に絞り込み、音声メニューの分岐でAI側へ振り分けた設計が、この取り組みの起点になっています。件数が多く、かつ答え方がほぼ決まっている用件だけをAIに寄せれば、判断を伴う電話や乗務員からの連絡は人の手元に残ります。AIに任せる範囲を機能の広さではなく用件の種類で線引きしたことが、失敗の許されない公共交通の現場で稼働させる条件を満たしたのではないでしょうか。
忘れ物対応において、音声の録音と文字起こしを「人が動くための材料」に変換した点も見逃せません。利用者に路線や時間を音声で伝えてもらい、その文字起こしをもとに管轄の営業所が直接折り返す流れは、AIが回答まで完結させる発想とは異なります。従来は最初に受けた営業所が管轄を確認し、そこから改めて折り返すという受け渡しが挟まっていました。用件を最初から文字で残して担当営業所へ渡すこの組み替えは、AIの回答精度ではなく情報の受け渡し構造に手を入れた工夫として読めます。
蓄積した通話データを「AI解析ダッシュボード」で可視化し、折り返しの準備や人員配置の検討へ戻す運用も組み込まれています。電話を減らすだけなら稼働した時点で目的は果たされますが、問い合わせの件数や内容の傾向が見えるようになると、いつ誰を配置するかという管理側の判断に材料が加わります。自動応答で浮いた時間を、状況把握と先回りの準備に振り向ける構えです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
電話応答件数は約8割が自動化され、常時鳴り続けていた状態は解消しました。運行管理者が本来の業務に専念できる環境が整い、現場スタッフの精神的な負担も軽くなったと長野営業所の所長は述べています。忘れ物対応でも、営業所間の確認と折り返しに時間を要していた流れが短縮され、利用者を待たせずに案内できるようになりました。安全運行の面でも意義のある改善だという受け止めが、現場から示されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、着信の内容が数種類に偏っていて、答えが手元の資料で決まる窓口です。営業時間、料金、拾得物の確認のように聞かれる項目が定まっている用件は音声メニューの分岐に落とし込みやすく、上位の用件から順に寄せていけば手応えも出やすいと考えられます。反対に、一件ごとに事情が異なる相談や、その場で条件を詰める交渉が中心の電話では、同じ形は成り立ちにくいでしょう。
折り返しの受け皿が薄い職場も注意が必要です。この事例では文字起こしを見た管轄営業所が直接折り返す前提があり、渡された情報を処理する人と経路が用意されていなければ、用件はAIの手前で滞ります。まず試すなら、直近一週間の着信を用件ごとに数え、上位3つが全体の何割を占めるかを確かめてみてください。その割合が、AIに任せられる範囲の目安になります。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社IVRy
月額3,980円から利用できる対話AIプラットフォーム「アイブリー」を運営・開発する企業。24時間365日稼働するAIによる電話応答の自動化・標準化、通話内容の文字起こしや要約、分析機能を提供し、2025年8月時点で47都道府県・96業界以上、累計40,000件以上のアカウントを発行している。
アルピコ交通株式会社
出典・参考情報
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