更新 2026.09.08
物流会社の輸出入書類の入力をAI-OCRで効率化、未経験者が約1カ月で戦力に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 専門資格がないと任せられない業務
- 繁忙期の残業が常態化している
- 書類の手入力に時間を取られている
どのようなAIの取り組み?
船積書類をAI-OCRで読み取るクラウドサービスを使い、輸出入の申告業務の入力工数と属人化の解消に取り組んだ事例
業種
港湾運送・通関業(運輸・物流)
取り組み領域
通関申告業務/貿易書類の入力
使ったAI
Shippio Clear(AI-OCR)
主な成果
通関実務が未経験の派遣スタッフが約1カ月で即戦力に
物流事業者である名港海運の大阪支店では、通関管理チームの5名が、輸出入の申告書類の作成から許可取得までを担っています。特定の担当者に案件を固定しない運用を続けてきた一方、通関士の資格や実務経験が前提となる専門性の高さから採用も育成も難しく、繁忙期には残業が常態化していました。効率化の必要性はチーム内で共有されていたものの、何を導入すればよいかが定まらない状態が続きます。転機は年に一度の物流展示会で、Shippioが提供するクラウドサービス「Shippio Clear」の書類読み取り精度を目にしたことでした。導入後は大規模な研修や業務フローの作り替えを行わず、日々の使い方で得た気づきをチーム内で共有しながら定着させ、通関実務が未経験のスタッフでも短期間で処理を担える状態へと変わっています。
出典:未経験から1カ月で即戦力へ。名港海運がShippio Clearで解消した通関業務の属人化 | Shippio Platform 発行元:Shippio
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
通関の申告業務は、資格と実務経験が前提とされる領域です。大阪という本拠地から離れた場所での採用は年々難しくなり、人を確保できたとしてもすぐに任せられるわけではない。繁忙期の残業は、その積み重ねの結果として現れていました。
編集部の見立てでは、このチームが抱えていた困りごとの本質は人数の不足そのものではなく、業務の入口が高すぎて「新しい人が加われない」ことにありました。5名という規模で案件を個人に紐づけない運用を貫いてきたのは、人事異動のたびに知識が失われるのを避けるためでもあります。裏を返せば、誰かが抜ければ残る全員に負荷が跳ね返る構造でもある。入口の高さを下げない限り、採用でも異動でもこの構造は変わらなかったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
既存の業務フローを作り替えず、日々の仕事の中で使い方を覚えていく進め方が、まず効きました。大がかりな研修プログラムを組む代わりに、この書類はこう読み取れる、ここは苦手だ、といった気づきを近い席のメンバー同士で共有していく。こうした小さな共有の積み重ねは、配布されたマニュアルよりも現場の実感に沿った知見が残りやすく、5名という規模だからこそ回った運用です。
導入判断のハードルを下げたのは、初期費用を抑えた既製のクラウドサービスを選んだことです。大規模な社内稟議を通さずに決められたため、本社主導の全社的な取り組みを待たず、課題を最もよく知る現場が自分たちの裁量で着手できました。ここで効いたのは機能の多さよりも、現場が決められる規模で始めたことのほうではないでしょうか。効率化の必要性は感じていても何から手をつければよいか分からない、という足踏みを抜け出すには、判断そのものの重さを下げる設計が有効に働いたと考えられます。
精度への不安を時間の経過で解消していく仕組みも、定着を支えました。導入当初は読み取り精度を半信半疑で見ていた現場が信頼へ転じたのは、システム側の学習機能とバージョンアップによって、想定を上回る速さで精度が上がっていったからです。運用の中で見えた不具合や改善要望は、Shippioとの定例ミーティングだけでなく都度メールでも開発側へ渡され、改善サイクルが回る体制が組まれています。使い手の気づきが製品の精度に還元される経路を確保した設計が、初期精度への不信を抱えたまま利用が止まるという、書類読み取りの導入でよく起きる行き詰まりを避けています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
最も大きな変化は、通関実務の経験がない派遣スタッフが約1カ月で戦力として稼働できるようになったことです。1件あたりの作業時間の短縮は数分程度にとどまる一方、1人が1日に処理できる件数は40〜50件規模まで増え、チーム全体で見た負荷は着実に軽くなっています。残業削減の定量的な効果はまだ測定途上ですが、煩雑な計算作業に追われる場面が減り、心理的な負担が和らいだという声が現場から上がっています。属人化の解消に向けたデータ集約も進み、商品マスターの精査など、より広い範囲でのデータ一元管理にも着手し始めています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、様式がある程度決まった書類を、毎日まとまった件数で処理している業務です。輸出入の申告に限らず、受発注や請求まわりのように、読み取り、転記、確認という流れが繰り返される仕事であれば、同じ考え方が当てはまります。担当者ごとに手順が枝分かれしている少人数のチームであれば、効果はより出やすいでしょう。
一方で、書類の様式が案件ごとに大きくばらつく業務や、読み取った後の判断そのものに深い専門知識が求められる場面では、読み取りの自動化だけでは負荷は下がりません。この事例でも、AIが担ったのは入力にあたる部分で、申告内容が妥当かを確かめる役割は人が持ち続けています。加えて、精度が育つまでの期間を現場が受け止められるか、気づいた不具合を開発側へ返す窓口があるかどうかも、定着を左右する条件です。まずは自社で扱う書類を数枚持って、ツールのデモで実際に読み取らせてみるところから。カタログ上の精度を比べるより、自社の帳票を通したほうが向き不向きは早く分かります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
Shippio
国際物流の可視化を実現し、情報共有機能や貿易書類・請求書管理、納期調整を一元管理できるクラウドサービスを提供する企業。貿易業務の可視化・効率化を支援している。
名港海運株式会社
出典・参考情報
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