実施 2026.05 ・ 更新 2026.09.06
1~2時間のAI出荷予測を約5分へ短縮、日本通運の物流Webアプリ強化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 在庫が余ったり欠品したりする
- 需要の予測に時間がかかりすぎる
- 品目が多くて予測が追いつかない
どのようなAIの取り組み?
物流Webアプリの出荷予測機能を刷新し、1アイテムあたり1~2時間かかっていた算出を約5分に短縮したAI取り組み
業種
総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
倉庫・在庫管理/出荷予測
使ったAI
AI出荷予測(機械学習・統計的予測)
主な成果
予測算出時間を1~2時間から約5分へ短縮
日本通運は、倉庫内で蓄積されたオペレーションデータをもとに入出荷履歴や在庫明細をリアルタイムに確認できる物流Webアプリ「DCX」を提供しており、そのデータ分析オプション「Business Insight」で2025年4月からAIを活用した出荷予測を提供してきました。2026年5月、このAI出荷予測機能を刷新し、算出スピードと処理能力を引き上げています。計算プロセスを見直したことで1アイテムあたり1~2時間程度を要していた算出は約5分となり、あわせて複数アイテムの同時予測にも対応しました。予測は日別・週別・月別で最大半年先まで取得でき、統計的な確率に基づく10段階の予測値から、商品ごとの戦略に応じて選べる形になっています。
出典:日本通運、物流Webアプリ「DCX」のAI出荷予測機能を強化 | NIPPON EXPRESSホールディングス 発行元:NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
今回手が入ったのは、まったく新しい仕組みではなく、すでに2025年4月から動いていたAI出荷予測です。刷新の理由として挙げられているのは、変化の激しい市場環境のなかで在庫戦略をより迅速に立てられるようにすること。裏を返せば、予測そのものは出せていたものの、その出し方が現場が求めるスピードに追いついていなかったことになります。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは予測が当たるかどうかではなく、結果を手にするまでの待ち時間のほうにあったのではないでしょうか。1アイテムに1~2時間、しかも個別実行という条件では、条件を変えて何度も試すことも、多品目をまとめて眺めることも現実には難しくなります。結果として担当者は勘と経験で決めた発注をそのまま通し、予測は意思決定を動かす情報ではなく、あとから眺める参考資料の位置に落ち着いてしまう。
どうやって、うまくいったのか
今回の刷新でまず目を引くのは、予測モデルの賢さではなく計算プロセスそのものに手を入れた点です。精度を追う改良ではなく、同じ予測をどれだけ短時間で回せるかという方向に力が割かれました。この選択は、予測を「たまに作る資料」から「必要なときに何度でも試せる道具」へ位置づけ直す判断だと読めます。使う頻度が上がれば、条件を変えた比較や急な市場変化への追随といった、時間的に諦められていた使い方が視野に入ってきます。
単一の答えを示さず、統計的な確率に基づく10段階の予測値を並べて選ばせる設計も、実務の側から考え抜かれた形です。欠品を絶対に避けたい主力商品と、在庫を抱えたくない季節商品とでは、同じ数字が最適解になるとは限りません。幅を残したまま利用者に判断を委ねる作りは、AIに意思決定を代行させるのではなく、判断材料を厚くする方向へ寄せた設計といえます。しかも算出した値は実際の出荷実績と照合できるため、どの段階の予測値が自社の実態に近いのかを、回数を重ねながら見極めていけます。
複数アイテムを同時に処理できるようにした拡張と、エリア別出荷分析・滞留在庫分析・同時注文の明細分析といったメニューとの組み合わせも見逃せない工夫です。予測値を単独で眺めるのではなく、どの地域に需要が偏っているか、どの商品が滞留しているか、何と何が一緒に注文されているかという文脈のなかに置く。この配置によって、数字は発注量の根拠にとどまらず、販売施策や売場の見直しを考える材料にもなります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
計算プロセスの見直しにより、1アイテムあたり1~2時間程度を要していた予測算出は約5分まで短縮されました。あわせて複数アイテムの同時予測にも対応し、多品目を扱う利用企業でも主要な製品群をまとめて短時間で予測できるようになっています。10段階の予測値を実際の出荷実績と照合できるため、運用を重ねながら精度を高めていける点も効果のひとつです。なお本機能の利用にはDCXを通した一定以上の出荷実績データが必要で、効果はデータ量や条件によって変動するとされています。
うちでも使える?
前提として、この仕組みは一定以上の出荷実績データがあって初めて成り立ちます。裏返せば、同じ形式の数量データが日々たまり続けている業務であれば、業種を問わず考え方は応用できます。一方で、発売間もない新商品や、受注が単発で不規則な取引が中心の領域では、過去の実績から先を読むという前提そのものが弱くなります。数量の増減が価格交渉や商談の進み具合に左右される業務も、実績データだけでは説明しきれません。
参考にしやすいのは、予測をひとつの数字に決め打ちしなかった考え方のほうです。自社に置き換えるなら、いま在庫量を決めている担当者に「欠品と過剰在庫のどちらをより避けたいか」を商品グループごとに聞いてみるところから始められます。その答えが商品によって割れるようなら、単一の予測値を配るより、幅を持った選択肢を渡す設計のほうが噛み合うかもしれません。
この事例は2026年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日本通運株式会社
NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社のグループ会社。物流Webアプリ「DCX(デジタル・コマース・トランスフォーメーション)」と、そのデータ分析オプションサービス「Business Insight」を提供し、倉庫内で蓄積されたオペレーションデータの可視化・分析による顧客の意思決定支援に取り組んでいる。
出典・参考情報
日本通運、物流Webアプリ「DCX」のAI出荷予測機能を強化 | NIPPON EXPRESSホールディングス
発行元:NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社
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