実施 2024.10 ・ 更新 2026.09.06
日清製粉ウェルナ、AIで冷凍食品の生産・在庫計画を自動化し月50時間削減
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 計画づくりが特定の担当者頼み
- 毎日の計画作成に時間を取られている
- 担当者が休むと業務が止まる
どのようなAIの取り組み?
AIによる需給計画・在庫転送計画の自動立案で、計画策定にかかる期間を3日程度から1日程度へ縮めたAI取り組み
業種
冷凍食品・加工食品製造(製造業)
取り組み領域
需給管理/生産・在庫・配送計画
使ったAI
需給管理自動化システム(AIによる計画立案)
主な成果
計画策定が3日程度から1日程度に短縮、月間50時間程度の業務時間削減
冷凍食品を製造・販売する日清製粉ウェルナでは、工場での生産計画から各地の倉庫への配送、倉庫間での在庫の融通までを専門の担当者が組み立てていました。ここにAI開発を手がけるグリッドが加わり、両社は冷凍食品の需給管理を自動化するシステムを共同で開発、2024年10月から日清製粉ウェルナでの運用が始まっています。システムは過去の出荷実績と受注実績から月次の販売数量の見込みを立て、在庫数と工場の稼働スケジュールを踏まえた需給計画、各倉庫への配車計画、倉庫間の在庫転送計画までを順に自動で組み立てます。立案された計画は担当者が使い慣れた形式で出力され、日々の状況に合わせて手で書き換えられる余地が残されています。
出典:日清製粉ウェルナ向け AIを活用した冷凍食品の需給管理自動化システム開発完了のお知らせ | 株式会社グリッド 発行元:株式会社グリッド
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
日清製粉ウェルナでは、冷凍食品の需給管理と配送に関する各計画の立案を専門の担当者が担っていました。受注や出荷、在庫、工場の稼働状況を突き合わせて組み立てる計画予測の組み合わせは約1800パターンに達し、担当者一人にかかる負担は相当なものになっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は作業量の多さそのものではなく、1800通りの中から妥当な組み合わせを選ぶ判断が、特定の担当者の経験の中だけに置かれていた点にあります。実際この取り組みでは、業務時間の長さと並んで、担当者が不在になったときのリスクが解消すべき課題として位置づけられています。計画が止まれば製品の供給そのものが揺らぐ以上、負担を軽くするより先に、判断を人から切り離して形にすることが求められていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
まず効いているのは、計画づくりをひと続きの作業として扱わず、順序のある工程に分解した設計です。過去の出荷実績と受注実績から月次の販売数量の着地見込表をつくり、その見込みに現在の在庫数と工場の稼働スケジュールを重ねて需給計画を出し、そこから各倉庫への配車台数、さらに倉庫間の在庫移動数へと降りていきます。前の工程の答えが次の工程の入力になる形なので、どこまでが自動で決まり、どこから先が別の判断なのかが工程ごとに切り分けられます。出力もどの製品をどの倉庫からどの倉庫へ何ケース送るかという、現場がそのまま動ける粒度まで落とし込まれました。
二つめは、担当者が実際に踏んでいた作業工程をそのままシステムの手順として写し取る作り方です。AIに合わせて業務を組み替えるのではなく、すでにある業務ノウハウを設計図として扱う進め方であり、日清製粉ウェルナが培った業務知識とグリッドのAI技術を持ち寄る共同開発の形とも噛み合っています。立案された計画が担当者の使い慣れた形式で出力される点も同じ発想の延長にあり、受け取る側が中身を読み解ける状態を保っています。
三つめは、完全自動を目指さなかった割り切りです。計画を担当者自身が書き換えられるようにしてあり、急な需要の変動のような、過去の実績からは読み取れない事象への対応は人の手に残されています。自動化の範囲を欲張らずに線を引いたこの判断が、想定外の事態が起きた途端に仕組みごと使われなくなるという、計画系の自動化にありがちな行き詰まりを避けています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
各計画の策定に要していた期間は3日程度から1日程度へと縮まり、日々の在庫転送明細の作成時間も約2時間から約45分に短くなりました。合わせて月間50時間程度の業務時間削減につながっています。数字と同じくらい大きいのは、ノウハウが標準化されたことで業務の属人化と担当者不在時のリスクが解消された点で、緊急対応時のオペレーションリスクが下がり、より安定した製品供給が可能になっています。
うちでも使える?
応用の余地が大きいのは、判断の材料が受注や出荷、在庫といった数値データでそろっていて、担当者の頭の中にある手順を工程として書き出せる計画業務です。この事例で自動化されたのは、過去の実績から見込みを立て、在庫数と工場の稼働スケジュールという制約に当てはめて配分を決めるという、条件を数値で表現できる領域でした。同じ計画業務でも、取引先との交渉の経緯で毎回前提が変わるものや、担当者が電話でやり取りしながら落とし所を探すような調整は、そのまま同じ形には乗りません。
試すなら、自社の計画業務で担当者が何を見て、どの順番で決めているのかを、一度その人に手順どおり実演してもらう場を設けてみてはどうでしょうか。工程として説明できるところと、説明できずに経験の話になるところの境目が、そのまま自動化できる範囲の目安になります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
プロジェクト実施・導入企業
株式会社グリッド
AI技術を用いて、社会を支える企業のDXを推進する企業。日清製粉ウェルナと冷凍食品の需給管理自動化システムを共同開発した。
株式会社日清製粉ウェルナ
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
