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  5. 商船三井、40隻の試験で燃料6%削減した最適運航支援ツールを順次導入|株式会社商船三井の導入事例

✓ やさしく事例解説
運輸・物流
外航海運(船舶による海上輸送)

実施 2024.07 ・ 更新 2026.09.06

商船三井、40隻の試験で燃料6%削減した最適運航支援ツールを順次導入

開発(実装支援・AI搭載支援)
AIツール・サービス

※イメージ画像です

商船三井、40隻の試験で燃料6%削減した最適運航支援ツールを順次導入 のプロジェクト概要図解

取り組み概要

やさしく事例解説

プロジェクト解析

実施・導入企業

こんな方へおすすめのAI解説です

  • 天候まかせで燃料コストが読めない
  • 外部データを買っても現場で使われない
  • CO2削減の目標に打ち手が足りない
OVERVIEW

どのようなAIの取り組み?

海洋観測ブイと衛星のデータを組み合わせた気海象予測をもとに、毎日の航路とエンジン回転数を船と陸の双方へ提示し、40隻の試験運用で1航海平均約6%の燃料・GHG排出削減を確認したAI取り組み

業種

外航海運(運輸・物流)

取り組み領域

船舶の運航管理・航路最適化

使ったAI

最適運航支援ツール「Wayfinder」(気海象予測・航路最適化)

主な成果

40隻の試験運用で1航海平均約6%の燃料・GHG排出削減を確認

商船三井、40隻の試験で燃料6%削減した最適運航支援ツールを順次導入 のプロジェクト概要図解

商船三井は、米国のSofar Oceanが提供する最適運航支援ツール「Wayfinder」を、グループの運航船へ順次導入することを決めました。このツールは、海に浮かべた観測ブイが集めた波高や潮流のデータと衛星の天候データを重ね合わせて気海象を予測し、そこへ船ごとの燃費性能や航行が制限される海域といった条件をリアルタイムで反映したうえで、安全かつ効率のよいエンジン回転数と航路を毎日提示する仕組みです。提示先は本船の乗組員と陸上の運航担当者の双方で、同じ情報を共有する形が取られています。導入を決める前にはグループ運航船40隻を使ったトライアルが行われ、1航海あたり平均約6%の燃料・GHG排出削減が確認されました。

出典:最適運航支援ツール「Wayfinder」を導入 ~高精度の気海象予測を活用した効率運航により平均6%の燃料/GHG排出を削減~ | プレスリリース | 商船三井 発行元:株式会社商船三井

EASY GUIDE

やさしく事例解説

何に困って、AIを入れたのか

商船三井は2050年までのグループ全体でのネットゼロ・エミッション、2035年までに輸送におけるGHG排出原単位を2019年比で45%削減するという目標を掲げており、燃費効率の改善は目標達成に直結するテーマです。ところが船の燃費は波の影響を非常に強く受け、衛星データだけに頼っていた旧来の気海象予測では、その波の読みに限界が残っていました。

編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は運航技術の巧拙ではなく、判断の入力になる海の情報が粗かったことにあります。どの海域でどれだけ波を受け、その結果どれだけ燃料を余分に使うのかを事前に見積もりにくければ、船上でどれほど丁寧に操船しても、燃費改善は結果論の域を出ません。目標の数字を掲げる前に、判断材料の解像度を上げる必要があった、という構図です。

どうやって、うまくいったのか

予測モデルの改良ではなく、予測に入れるデータそのものを増やしにいった設計が、この取り組みの起点になっています。Sofar Oceanが開発した海洋観測ブイ「Spotter Buoy」は、波高や潮流といった海のデータを実際の海上でリアルタイムに収集しており、そのブイ網は各国政府機関にも利用されています。この実測値を衛星の天候データと組み合わせることで、衛星だけを使う旧来手法に比べ、波高を含む気海象予測の精度が約50%高まったと説明されています。海の上に観測点を置くという物理的な手当てが、予測という情報処理の質を押し上げている点は見逃せません。

予測を「その日の操作」の形に翻訳したことも、実運用を成り立たせた要因だと考えられます。提示されるのは予報図ではなく、最適なエンジン回転数と航路という、当直でそのまま実行できる単位の答えです。しかも船ごとの燃費性能や航行制限海域といった制約条件がリアルタイムで織り込まれるため、机上の最短距離ではなく、その船が現実に選べる案として出てきます。予測精度と現場の実行可能性を、別々の課題として切り分けずに一つの提案へまとめた点が効いているのではないでしょうか。

船と陸が同じ情報を見る構えを取ったことも、判断のばらつきを抑える方向に働きます。船陸共通のプラットフォームを通じて、本船と陸上の運航担当者の双方へ同じ提案が毎日届くため、燃費を優先するか到着時刻を優先するかといった調整を、同じ材料の上で行えます。加えて、いきなり全船へ広げるのではなく40隻という規模で試し、船長の評価まで確かめてから本格導入へ進める段取りを踏んでいます。

具体的に、どんな成果が出たのか

改善・向上したこと

コスト削減
品質・安全性向上
データ分析・意思決定支援
GHG排出削減

この事例で出た成果

グループ運航船40隻を通じたトライアルでは、1航海あたり平均約6%の燃料・GHG排出削減効果が確認されました。参加した船長の80%以上が、利便性と気海象予測の精度について高い評価を示しています。この結果を受けてグループ運航船への本格導入が決まり、今後はグループ横断で導入隻数を拡大していく方針が示されました。したがって現時点で確認されているのはトライアル段階での効果であり、船隊全体での削減幅は展開の広がりに応じてこれから積み上がっていくことになります。

うちでも使える?

この事例の考え方が効きやすいのは、成果が外部環境の変動に左右され、なおかつ自分たちの側に選択の余地がある業務です。配送ルートの選び方、設備の運転条件の決め方、繁閑に合わせた稼働計画などが該当します。逆に、予測の精度が上がっても選べる選択肢が実質的に一つしかない業務では、投資に見合う効果は出にくいでしょう。

応用が難しくなる条件も具体的です。この取り組みでは、外部から得た気海象予測に、自社の船の燃費性能や航行制限といった固有の条件を重ねてはじめて実行可能な提案になっています。裏を返せば、自社側の条件がデータとして整理されていない場合、精度の高い外部予測を買っても現場が使える答えにはなりません。また、海のブイのように狙った現象を実測する手段が存在しない領域では、そもそも入力データを増やす選択肢自体が限られます。

最初の一歩としては、外部環境に左右されている判断を一つ選び、その判断を実際に下している担当者に、いま何を見て決めているのかを一件だけ聞いてみるところから。見ている情報の更新頻度と、そこから生じている読み違いの幅が分かれば、データを足すべき場所が絞れます。

この事例は2024年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。

ANALYSIS

プロジェクト解析

プロジェクト内容

AI導入・支援形態

SaaS・AIツール導入
PoC(実証実験・概念実証)

AIツール・サービスの提供形態

トライアルで検証
自社データを設定
部門を越えて活用

導入部門・データ活用

導入部門:全社共通・汎用業務

専用AIツールの導入
意思決定支援
配送ルート最適化
輸配送コストの最適化

活用したデータ:数値・Excel・ログ

船舶の燃費性能データ
衛星・地図・空間データ
生体・環境・ウェアラブル
外部API・リアルタイムデータ

採用したAI技術・ツール

採用したAI技術:AIモデル・構築手法

機械学習(数値データからの予測・推論)

AIモデル・ツール

Wayfinder
Spotter Buoy

連携ツール

連携したシステム・外部サービス

エッジデバイス・IoT機器
COMPANIES

プロジェクト実施・導入企業

実施・支援企業 (VENDOR)

Sofar Ocean社

米国
米国

最適運航支援ツール「Wayfinder」と海洋観測ブイ「Spotter Buoy」を提供する米国企業。ブイが収集する波高・潮流などの海洋データは各国政府機関にも利用されている。

この取り組みに関心があれば Sofar Ocean社の公式情報をご覧ください

導入先企業 (CLIENT)
株式会社商船三井
業種:外航海運(船舶による海上輸送)

出典・参考情報

※本事例は以下の公開情報を元にWarpBiz編集部がリサーチ・作成しました。

最適運航支援ツール「Wayfinder」を導入 ~高精度の気海象予測を活用した効率運航により平均6%の燃料/GHG排出を削減~ | プレスリリース | 商船三井

発行元:株式会社商船三井

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