更新 2026.09.05
AIドラレコで危険挙動の警告を約87%削減、SBSロジコム850台の安全管理
企業規模:1,000人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 事故件数が何年も減らない
- 出発後の運転が本人任せ
- ベテランに指導が届かない
どのようなAIの取り組み?
AIドライブレコーダーの導入で危険挙動の警告件数を約87%削減した、850台規模の安全管理のAI取り組み
業種
総合物流・3PL(運輸・物流)
取り組み領域
運行管理/ドライバーの安全管理
使ったAI
AIドライブレコーダー「ナウト」(動画解析AI)
主な成果
危険挙動の警告件数を約87%削減
総合物流を手がけるSBSロジコムは、事業用トラック約850台、ドライバー約900人という規模で日々の運行を担っています。事故件数が数年にわたって横ばいのまま下がらず、営業所を出発した後の走行は管理者の目が届かない状態が続いていました。同社が選んだのは、Nauto JapanのAIドライブレコーダー「ナウト」を全35支店に展開する方法です。走行中の映像をAIが解析し、脇見やスマートフォンの使用・保持といった危険挙動を検知した時点で、その場でドライバーに警告を発します。管理者側には危険挙動や強い衝撃を検知した瞬間に映像付きの通知が届き、支店にいながら現場で何が起きたのかを確認できます。導入の過程では、自社で記録されたヒヤリハット映像を支店長やドライバーに共有し、監視ではなく身を守る仕組みであると説明を重ねる進め方が取られました。
出典:850台の安全管理を可視化|SBSロジコムのAIドラレコ導入事例 発行元:Nauto Japan G.K.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
事故件数がここ数年横ばいで減らない。未経験ドライバーの増加とベテラン層の高齢化という構造的な変化が重なる一方、朝の点呼で送り出してから車両が戻るまでの数時間は、安全が実質的にドライバー個人の資質に委ねられる時間帯になっていました。約850台の映像を管理者が24時間見続けることは、そもそも物理的に成り立ちません。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は事故の件数そのものではなく、組織として手を打つための材料が存在しなかったことにあります。従来のドライブレコーダーは事故が起きた後に何が起きたかを確かめる道具であり、扱える対象は結果に限られていました。脇見やスマートフォンの操作のように、事故に至る手前で起きている出来事は記録として残らず、指導しようにも「注意しろ」以上の言葉を持てない。安全管理が精神論に寄っていく構造が、そこにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
脇見の一種としてまとめられがちなスマートフォンの使用・保持を、独立した検知項目として切り出した設計が効いています。危険挙動を粗く一括りにすると、指導の場では「不注意があった」という曖昧な話に落ち着いてしまいます。ながら運転という物流企業が最も避けたい事象を単独で名指しできるようにしたことで、検知結果がそのまま指導のエビデンスとして使える形になりました。
現場のプロが抱く運転の巧拙の感覚と、算出される安全スコアが一致していたことも、選定における実質的な条件でした。膨大な累積走行データを土台にした判定は誤検知が少なく、AIの出力と現場の実感がずれないことで、指導の場が「そのスコアは正しいのか」という議論に消費されずに済みます。精度を多機能さより優先した判断は、性能の追求というより、運用を止めないための選択だったと読めます。
抵抗感への対処を、技術ではなく導入プロセスの側で設計した点も見逃せません。他社製の既製教材ではなく、自社の車両が実際に記録したヒヤリハット映像を突きつけたことで、支店長もドライバーも自分の死角として受け止めざるを得なくなりました。加えて、イベントが発生した瞬間だけを切り取って送る通信型であることを、常時見張られているわけではないという具体的な説明に結びつけたことが、心理的なハードルを下げる材料になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
導入当初は月曜の朝に週末分だけで80件の危険挙動アラートが溜まり、その対応で管理業務が圧迫される状態でしたが、現在は誤検知を含めて10件程度、約87%の減少になっています。速度が出ている状態での追突事故は導入以降発生していません。事故発生時も、SDカードの回収を経て早くて1時間かかっていた状況把握が5分から10分となり、約50分の短縮。警告数が減ったぶん、管理側は一件ずつ映像を見て具体的な指導に時間を使えるようになっています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、車両や重機のように動く現場を多数抱え、送り出してから戻るまで管理者の目が届かない時間が長い業務です。危険な行動が映像として外形的に判別でき、しかも現場が「たしかに危なかった」と認めやすい種類の事象であれば、検知結果はそのまま指導の材料になります。
一方で、何が危険かを検知項目として明文化しにくい業務では、同じやり方は成り立ちにくいと考えられます。検知の粒度が現場の実感とずれた瞬間に、AIの判定は説得の道具ではなく反発の的に変わります。台数が少なく管理者が一人ひとりの運転をすでに把握できている規模では、投じる手間に見合う可視化の効果は出にくいでしょう。
まず試すなら、直近で自社に起きたヒヤリハットを一件だけ取り上げ、その直前の数秒に何が検知できていれば警告を出せたのかを、現場の管理者と具体的に言葉にしてみる。検知したい行動が一つ二つに絞れるなら、可視化は成立する見込みがあります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:動画AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Nauto Japan G.K.
AIドライブレコーダー「ナウト」を提供する企業。走行映像のAI解析による脇見やスマートフォン保持などの危険挙動のリアルタイム検知、安全スコア「ベラスコア」の算出、イベント発生時のみ映像を送る通信型の記録などを備える。
SBSロジコム株式会社
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