実施 2024.04 ・ 更新 2026.09.04
JR西日本のECモール構築、AI商品検索と会員基盤連携で検索流入5.4倍
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- グループ各社でECがバラバラ
- 会員やポイントが販売につながらない
- ECを作ったが集客が伸びない
どのようなAIの取り組み?
AIによる商品検索やパーソナライズレコメンドを備えるEC基盤に、グループ共通の会員・ポイント基盤を連携させ、各社が共同で使える自社運営ECモールを立ち上げた取り組み
業種
鉄道・交通事業(運輸・物流)
取り組み領域
EC/自社運営ECモール
使ったAI
Salesforce B2C CommerceのAI商品検索・パーソナライズレコメンド
主な成果
デジタルマーケティング支援で自然検索流入が5.4倍
西日本旅客鉄道(JR西日本)は2024年4月、グループ会社が出店・出品する自社運営のECモール「WESTERモール」を開設しました。西日本を中心としたご当地グルメや土産、鉄道グッズなどを扱い、会員登録なしでも購入できる一方、グループ共通のWESTER会員であれば鉄道利用などで貯めたポイントを買い物に使えます。ECフロントにはAIを活用した商品検索やパーソナライズレコメンドを持つSalesforce B2C Commerce、バックオフィスには注文・在庫・価格管理を担うMiraklのマーケットプレイスソリューションが採用されました。開発パートナーのSCSKがフロント開発とMirakl連携、認証基盤・ポイント基盤・決済プラットフォームとの連携部分のカスタマイズ開発を担当し、公開後はデジタルマーケティングの伴走支援を続けています。
出典:「WESTER体験」を軸にしたJR西日本のデジタル戦略 ~グループシナジーを最大化する自社運営ECモールとは~|資料 | altcircle|SCSK株式会社 発行元:SCSK株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
JR西日本グループは駅や商業施設といったリアルの場では顧客との接点を数多く持っていた一方で、オンライン側の接点が不足していました。各社がそれぞれECを立ち上げる道もありますが、その場合は似た仕組みを何度も作ることになり、運用の手間も、守るべきセキュリティ上の対象も増えていきます。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは「ECがないこと」そのものではありません。鉄道、ショッピング、旅行といった各サービスで積み上がってきた顧客との関係が、オンラインでの購買へ流れ込む道を持たないまま、事業ごとに分断されていた点にあります。WESTER IDとWESTERポイントという共通の軸はすでにあったわけで、欠けていたのは、その軸に接続できるオンラインの売場のほうだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
グループ各社に個別のECを持たせず、共通プラットフォームへ集約した設計が、この取り組みの土台になっています。出店・出品する側は自前でサイトを構えずに済み、運営側は一つの売場を磨き込むことに力を集中できます。共通化によって各社の業務負担やセキュリティリスクを抑えられるという判断は、単なるコストの話ではなく、グループ横断でオンラインの顧客接点を一本にまとめるための前提だったと読めます。
もう一つの要点は、既製のソリューションで賄う範囲と、作り込む範囲をはっきり切り分けた構成にあります。商品検索やレコメンドといった売場の体験を左右する機能はEC基盤の標準機能に任せ、モール運営に必要な注文・在庫・価格の管理はマーケットプレイス向けの仕組みに委ねる。そのうえで、標準機能だけでは対応が難しい認証基盤・ポイント基盤・決済プラットフォームとの接続に開発の力を集中させています。1000万人を超える会員基盤を扱う以上、拡張性や性能を自前でゼロから確保するより、実績のある基盤に乗せて独自性のある連携部分に注力するほうが理にかなった配分と言えます。
公開をゴールにせず、その後のデジタルマーケティングまで支援の範囲に含めた体制も見逃せません。ECモールは作った時点では中身の薄い器で、検索からどう見つけてもらい、訪れた人にどう回遊してもらうかを継続的に手直しして初めて売場として機能します。SEOや特集ページの改善といった地道な運用改善を、開発を担った側が分析とセットで回し続ける形は、システム構築と集客が別々の担当に分かれて手が止まりがちな体制と比べると、改善の速度で差が出やすい構造です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
公開後のデジタルマーケティング支援では、SEO施策で指定キーワードのクリック数が16%増加し、特集ページの改善によって直帰率が改善、自然検索流入は5.4倍になっています。万博来場者向けのオンラインストアは、店舗とECで2820万人の来場という事前の想定どおりに売上が推移。注文した商品を駅の土産ショップで受け取れる店舗受取サービスは好評で、空港やホテルでの受け取りへ広げる計画も進んでいます。一方、商材が土産中心のためリピート利用にはつながりにくく、インバウンドからの注文もこれからという評価が示されており、成長の途上にある取り組みです。
うちでも使える?
この形が効きやすいのは、複数のグループ会社や事業部がそれぞれ顧客接点を持ち、共通の会員IDやポイントのような「つなぐ軸」がすでにある企業です。軸があれば、各社が個別にECを構えるより、共通の売場に集めたほうが顧客の利便性も運営効率も上がりやすくなります。逆に、単一ブランドで扱う商品が限られていたり、会員基盤やポイントが事業ごとに分かれたままだったりする場合は、共通化の効果が出る前に連携の作り込みばかりが膨らむ可能性があります。
もう一点、この事例自身が示しているとおり、土産のように購入の機会が旅行時などに限られる商材は、集客できてもリピートが積み上がりにくいという性質があります。扱う商材がその型に近いなら、開設時点から受け取り方法の工夫など再訪の理由を用意しておく必要があるでしょう。
まずは、自社の会員IDやポイントが今どのサービスまで通用しているのかを一枚の図に描いてみてはいかがでしょうか。線がつながっていない箇所こそが、オンラインの売場を置くと効く場所です。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
SCSK株式会社
WESTERモール構築の開発パートナー。Salesforce B2C CommerceによるECフロント開発とMiraklとの連携に加え、認証基盤・ポイント基盤・決済プラットフォームとの連携といったカスタマイズ開発を担当し、ローンチ後はデジタルマーケティングの伴走支援を提供している。
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)
出典・参考情報
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