実施 2024.01 ・ 更新 2026.09.03
AIドラレコの映像解析で前方不注意事故が0件になった物流企業の安全管理
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 運転の指導がベテラン任せ
- 危ない癖が見えないまま
- 映像の確認に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
AI搭載のドライブレコーダーで脇見や眠気の兆候を検知し、前方不注意による事故を0件にしたAI取り組み
業種
総合物流(運輸・物流)
取り組み領域
安全運転管理・運行管理
使ったAI
AIドライブレコーダー「ナウト」(映像解析AI)
主な成果
前方不注意による事故が年間0件
総合物流企業の丸全昭和運輸は、点呼や安全講習、熟練指導員による添乗指導を重ねてもなお、ながらスマホや脇見に代表される不安全行動のリスクを制御しきれないという課題を抱えていました。2019年にAIドライブレコーダー「ナウト」を試験的に使ったものの、当時は小型車のみの対応だったため全社展開は見送り。2023年9月に大型車への対応が完了したことを受けて再検討し、2024年1月に本格導入へ舵を切っています。車載カメラの映像をAIが解析して脇見やスマートフォンの操作、眠気の兆候を捉え、乗務員ごとの運転を100点満点のスコアとして可視化する仕組みで、不安全な挙動があったときだけ管理者にリアルタイム通知が届き、その場面の映像を確認できる運用としました。
出典:前方不注意事故が0件に!丸全昭和運輸のAIドラレコ導入事例 発行元:Nauto Japan G.K.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
丸全昭和運輸が直面していたのは、事故が頻発しているという状態ではなく、点呼、安全講習、熟練指導員の添乗指導と打てる手を打ち尽くしてなお、その先へ進む手立てが見えないという行き詰まりでした。スマートフォンの普及や道路環境の複雑化によって、脇見やながら運転のリスクは、管理者の目が届かない走行中の車内で静かに進行します。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は指導の量や熱意の不足ではなく、指導の材料が「誰かが見ていた時間」の中にしか存在しなかったことにあります。添乗指導は指導員が同乗している間しか観察できず、事故に至らなかった危険な兆候はどこにも記録として残りません。注意喚起という精神論に頼らざるを得なかったのは、そもそも語るべき具体的な事実が手元になかったからではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
全社導入の可否を、検知の細かさと対応車両の広さという二点で見極めた進め方が、この取り組みの土台になっています。2019年のトライアルでは有効性を認めながらも小型車のみの対応だったため全社展開を見送り、大型車への対応が完了した2023年9月に再検討を始めて、2024年1月の本格導入に至りました。判断の決め手となったのは、時速20km/h以下の低速走行時でもスマートフォンの操作やメーターへのわずかな注視を判別できる検知の細かさです。誤検知が多い機器は乗務員に余計なストレスを与えて形骸化を招くため、精度を確かめ、車両の種類で穴が空かない状態を待ってから広げた手順は、遠回りに見えて定着への近道だったと考えられます。
AIが算出する安全スコアを、熟練指導員の見立てと突き合わせて確かめた検証の置き方も効いています。AIが危ないと判断した箇所を指導員が見ても確かに危険だと納得できる。この一致が取れたことで、スコアは機械が勝手に付けた点数ではなく、プロの眼を数値に置き換えたものとして扱えるようになりました。AI導入で最も壊れやすいのは現場の納得感であり、そこを既存の熟練者の判断を物差しにして担保した設計が、指導の場そのものを成立させたのだと編集部は見ています。
監視ではなく、必要なときにだけ手を差し伸べる運用へ絞り込んだ点も見逃せません。常時映像を見張るのではなく、不安全な挙動があったときに限って管理者へ通知が届き、その場面の映像を確認する形をとっています。乗務員の側から見れば、前を見て安全に運転している限りAIは何も言わない仕組みであり、プライバシーへの配慮と安全管理を同時に成り立たせる線引きになっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
過去10年間で平均5件程度発生していた、「書類を見ていた」といった前方不注意に起因する事故は0件になりました。運転特性が100点満点のスコアで可視化されたことにより、特定の不安全行動は約80%削減されています。事故やクレームが発生した際に該当映像を確認できるまでの時間も、発生から10分程度に短縮されました。普段100点を出し続けていた乗務員のスコアが急に不安定になったことから面談を行い、本人も自覚していなかった睡眠時無呼吸症候群の兆候を早期に把握して、受診とシフト調整につなげた例も生まれています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、危険や品質の低下が人の動作として外に表れ、その動作をカメラで安定して捉えられる業務です。加えて、何が危険かを言葉にできる熟練者が社内にいることが条件になります。この事例で納得感を生んだのは、AIの判定と指導員の見立てが一致したことでした。突き合わせる相手がいなければ、スコアは現場にとって根拠のない数字にとどまります。
一方で、危険の芽が姿勢や視線ではなく判断の内側に留まる業務、たとえば書類上の意思決定や交渉のように動作へ表れにくい仕事では、同じやり方は成立しにくいでしょう。導入当初の1か月ほど現場に緊張感が漂ったことも示すとおり、点数化が評価と直結すると受け止められた瞬間に反発が生まれる点にも注意が必要です。
始めるなら、自社のベテランに直近のヒヤリハット映像を数本見てもらい、どこが危険で何点相当かを言葉にしてもらうところから。その基準と機器が出すスコアがどれだけ噛み合うかを見れば、自社で使えるかどうかの見当はかなりつきます。
この事例は2024年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Nauto Japan G.K.
AIドライブレコーダー「ナウト」を提供する企業。脇見・スマートフォン操作・眠気などの不安全行動を検知し、安全スコアやリアルタイム通知を通じて事業者の安全運転管理を支援する。
丸全昭和運輸株式会社
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