更新 2026.09.02
味の素冷凍食品が生成AIに任せる仕事と、人が担う「ノイズ」の見極め方
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- アンケートからは本音が見えない
- AIの分析が当たり障りない答えになる
- 顧客データが多すぎて読み解けない
どのようなAIの取り組み?
大量データの抽出と解釈を生成AIに任せ、人は行動データに残る個別の「ノイズ」からインサイトを組み立てる役割分担に取り組んだ事例
業種
冷凍食品製造(製造業)
取り組み領域
マーケティング/インサイト創造
使ったAI
生成AI(データ抽出・解釈・示唆出し)
主な成果
分析や予測はAIに任せ、人は個別の「ノイズ」発掘に集中する役割分担を整理
味の素冷凍食品では、2020年に立ち上げたマーケティングDX推進室が2024年から全社のDXを担う部署へと広がり、その流れの中で生成AIの使いどころが整理されています。大量のデータから必要な情報を抜き出し、関連付けて解釈し、示唆を導くところまではAIが担当し、データ分析や販売予測、生産計画も、人が手を動かすより適した領域として位置づけられています。人が向き合うのは、購買履歴やウェブの閲覧ログ、SNS上の発言といった行動データに現れる、一般化できない個別の行動や感情です。同社ではこれを「ノイズ」と呼び、多くの人に共通する中心的な傾向と掛け合わせることで、共感されるインサイトを組み立てる進め方をとっています。
出典:AIには「最大公約数」を、人は「ノイズ」を ——味の素冷凍食品が実践するインサイト創造の型 | Findy Insights 発行元:Findy Insights
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
アンケートや質問票の回答は、その時に本人が思っていたことである以上、嘘ではありません。ただ、そこには「こうあるべき」「こうありたい」という理想が入り込みます。答えられない本音こそがインサイトだという前提に立てば、質問への回答をいくら積み上げても届かない領域が残ります。生成AIの普及でリサーチや要約は速くなった一方、AIが返す答えは多くの人に共通する最大公約数であり、どうしても中心に寄ります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとはデータや回答の不足ではなく、集計という処理そのものの性質にあります。人数を重ねて傾向を取り出す作業は、外れた部分を誤差として落とすことで成り立っている。ところが商品や事業を動かすのは、まさにその落とされた側です。効率化が進むほど平均から外れた声に触れる機会が減っていく、という構造が課題の芯にあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
仮説を立てる段階では質的データを、その仮説が人に響くかを確かめる段階では量的データを使うという工程の切り分けが、この進め方の土台になっています。定量・定性という言い方を避け、量的データと質的データを対等な情報として扱う姿勢は、単なる言葉づかいの問題ではありません。どちらが客観的で正しいかを競わせず、使う場面をあらかじめ決めてしまえば、はっきりしない情報を扱うことへの後ろめたさが消えます。市場規模や購入率は数字で押さえたうえで、発想の入口だけは人の暮らしの側に置く配置です。
AIの出力をまず土台に据え、そこから外れる個別の行動や感情を意図的に拾い上げる組み立ても、この型の中心にあります。多くの人の行動データを重ねれば共通する特徴が中心に集まり、AIが返すのはその最大公約数の答えになります。これを否定せず共通傾向を押さえる材料として使い、そのうえで「なぜこの人だけこう動いたのか」という一人分の具体を掛け合わせる。手作り料理の例のように、中心にある「手作り=愛情」という解釈だけでは見えない葛藤まで含めて捉える手順が、共感の強さにつながる設計です。
人材育成を明文化された型に落とし込まず、読み解く経験の量に委ねている点も見逃せません。視点そのものは知識として先に渡し、そのうえで行動の足跡や購買データの軌跡を実際に追う経験を積ませる順番が取られています。3年分・1人あたり約2,000行という購買データを楽しみながら眺められるかどうかを重視する構えは、精神論のようでいて実際には適性の見極めに近く、続けられる人にしか蓄積が生まれない作業の性質を踏まえた割り切りではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
生成AIの活用範囲は、大量のデータから必要な情報を抽出し、関連付けて解釈し、示唆を得るところまで広がっています。データ分析や販売予測、生産計画は、人が担うと時間がかかり気づきにくい部分も残るため、AIに任せる領域として整理されました。一方、アイデア創出のようなクリエイティビティの高い業務をどこまで任せられるかは、まだ判断がつかない段階に置かれています。削減率や時間短縮といった定量的な成果は、本記事では示されていません。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、一人の顧客の行動が時間を追って残る事業です。購買履歴やウェブの閲覧ログ、SNS上の発言のように同じ人の変化を並べられる材料があれば、入学や引っ越しといった生活の節目が読み取れ、そこから外れる行動も見つけやすくなります。小売やEC、継続課金型のサービスは、データの条件としては近い位置にあります。
逆に、取引の回数が少なく一人分の軌跡が数行で終わる事業や、購入者と使用者が別で行動を追いきれない商材では、同じ手順はそのままでは成り立ちにくいでしょう。中心から外れた一件を「例外」ではなく「意味のある一件」として扱う判断も、担当者ひとりでは通しにくく、外れ値を持ち込める会議の空気が要ります。まず試すなら、直近で売れ方が読めなかった商品をひとつ選び、その購入者一人分の履歴を時系列に並べて、傾向から外れた一行に理由の仮説を書き添えてみる。要約だけでは残らない手触りが、そこで初めて手元に残ります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
味の素冷凍食品株式会社
味の素グループの冷凍食品事業を担うメーカー。2020年にマーケティングDX推進室を立ち上げ、2024年からはマーケティング分野に限らず全社のDXを推進する部署へと発展させている。
ファインディ株式会社
出典・参考情報
AIには「最大公約数」を、人は「ノイズ」を ——味の素冷凍食品が実践するインサイト創造の型 | Findy Insights
発行元:Findy Insights
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