実施 2026.01 ・ 更新 2026.09.01
ロート製薬、再生医療の人員配置をAIで自動化し配置時間75%削減
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- シフト作成が特定の人しかできない
- 人員配置に毎月何時間も取られる
- 誰が何をできるかExcel管理で限界
どのようなAIの取り組み?
人員配置を最適化するAIにより、配置作成の時間を75〜90%削減した再生医療の製造現場のAI取り組み
業種
医薬品製造(製造業)
取り組み領域
人員配置・シフト作成
使ったAI
人員配置最適化AIシステム「スキルパズル」
主な成果
配置作成時間を75〜90%削減
ロート製薬の再生医療事業開発部(セルファクトリー京都)では、細胞製造の現場でスタッフのスキルや保有資格、勤務条件、作業負荷を踏まえた日々の人員配置を、Excelと特定の管理者の経験に頼って組み立てていました。ここに、フツパーが提供する人員配置最適化AIシステム「スキルパズル」を、モニター段階から使い始めています。現場固有の制約条件を一つずつシステムに設定しながら、AIが配置案を提案する形へ切り替えていった取り組みです。導入前後を比べると、配置作成にかかる時間は月あたり数時間から数十分へと短くなり、特定の管理者しか担えなかった業務が複数名で回せる状態に近づきました。
出典:【ロート製薬・再生医療DX】75%工数削減の先にある価値。属人化解消と精神的負担軽減を実現したAI人員配置 | 株式会社フツパー Hutzper 発行元:株式会社フツパー
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
再生医療の製造現場では、工程の内容も必要なスキルも日々変わります。資格が要る業務とそうでない業務、工程の難易度、作業環境の負荷、そして誰がいつ休むか。これらを同時に満たす配置を、Excelの数式と頭の中の組み立てで解いていました。メンバーの予定や出勤情報を集めるのに約1週間、Excelで組むのに数時間、現場から「なぜ私ばかり大変な工程に入るのか」という声が上がれば、さらに数時間かけて組み直す。この業務は特定の管理者にしか担えず、不在時の対応が難しい状態でもありました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの芯にあったのは作業時間の長さそのものではなく、配置の根拠が一人の頭の中にしか存在していなかったことです。根拠が言葉になっていないから、他の人が引き継げず、現場から問われても客観的には説明できない。時間の重さ、属人化、そして「明日どうしよう」という精神的なプレッシャー。三つの症状は別々の問題に見えて、同じ一点から派生していたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、「この人は午前のみ出勤」「過酷な環境の工程に同じ人が連続で入らないようにする」といった、現場でしか出てこない制約条件を一つずつ設定に落とし込んだことです。従来のロジックベースの配置システムには、条件を積み上げるほど解が成立しなくなるという壁がありました。必要最低限の条件で成立させる手段としてAIを選び、そのうえで特定の個人に負荷が集中しないよう平均的にバランスを取る仕組みを求めた設計が、人間の意思ではなく客観的な基準による提案という納得感を支えたと考えられます。
二つ目は、AIを万能の箱として扱わなかった進め方です。「自動化は難しいのではないか」という地点まで行きながら、何が足りないのか、どうなれば仕組みとして成立するのかを一つずつ言語化する作業が続きました。その過程で、本当に必要な要件と、運用でカバーできる要件とが切り分けられています。この切り分けこそが実運用への分岐点で、要件を絞らないままAIに投げていたら、複雑さは人の頭の中からシステムの中へ移動しただけで終わっていた可能性が高いと見ます。
三つ目に、モニター期間という関わり方があります。開発途上のシステムを現場が使い込み、UIの使いにくさや不具合まで含めて評価する形を取ったため、現場の違和感がそのまま仕様やロジックの改善材料になりました。機能が多くても使いにくければ現場は使わない、という前提を置いて使いやすさの改善を継続した点も、標準化を成り立たせる土台になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
配置作成にかかる時間は、月あたり数時間から数十分へ、率にして75〜90%短くなりました。急な欠勤や工程変更があってもAIで数分で再計算でき、特定者しか担えなかった配置業務は複数名で対応できる状態へ近づいています(標準化そのものはまだ途上です)。スキル情報はシステムで一元管理され、配置の根拠をスキル習熟度や作業負荷で示せるようになったことで、「なぜ私がこの工程なのか」への説明にも客観性が生まれました。時間短縮以上に大きかったのは、「明日どうしよう」という管理者の精神的負担の軽減です。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、スキル・資格・勤務条件・作業負荷といった複数の条件を同時に満たす必要があり、その組み合わせを特定の人がExcelと経験で解いている業務です。工程が日々変わる製造現場に限らず、資格要件のある医療や介護のシフト、班編成が必要な保守・点検の現場も、構造としては同じ形をしています。
一方で、この事例が成立した背景には、現場の制約条件を言葉にして設定へ落とし込む作業を、導入する側がやり切ったという前提があります。配置の判断が担当者本人にも説明しきれないほど感覚的な場合や、日々の例外対応が多すぎてルールとして固定できない場合は、そのまま持ち込んでも解は出にくいでしょう。逆に言えば、条件が書ける業務であれば道はあります。
まず試すなら、先月の配置をひとつ取り上げて、担当者以外の人が「なぜこの人をこの工程に入れたのか」を本人に聞き取ってみる。答えが言葉になった分だけ、判断はシステムへ移せます。
この事例は2026年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社フツパー
人員配置最適化AIシステム「スキルパズル」を提供する企業。ロート製薬とは画像検査の案件でも以前から協業関係にあり、本事例ではモニター段階から現場の声を仕様やロジックへ反映する伴走型の支援を行った。
ロート製薬株式会社 再生医療事業開発部
出典・参考情報
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