更新 2026.08.26
基板の目視検査に画像AI、20名・月200機種の現場で誰でも良否判定
企業規模:50人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 検査が特定の人にしか任せられない
- 目視検査の記録がまったく残らない
- 検査装置が高額で手が出ない
どのようなAIの取り組み?
外観検査AIを仕分け工程に組み込み、経験の浅い担当者でも基板の良否を判別できるようにしたAI取り組み
業種
電子機器製造(製造業)
取り組み領域
基板の外観検査・仕分け工程
使ったAI
POKAMIRU(外観検査AI・画像AI)
主な成果
経験の浅い担当者でも検査に関われる状態に
プリント基板への部品実装から組立、検査までを自社で担う樋口電子は、20名ほどの体制で月におよそ200機種を扱う少量多品種の現場です。ロットは10枚程度が多く、5枚、3枚、1枚という案件もあり、検査は目視が中心でした。専用の外観検査装置は同業の事例で何百万円クラス、3D外観検査機なら何千万円という水準で、学習に百枚程度の画像を要する製品も多く、生産の形とかみ合いませんでした。そこで活用されているのが、外観検査AIを提供するアダコテックのPOKAMIRUです。はんだ付け後の基板を要修正か修正不要かに仕分ける工程に置き、電解コンデンサの極性やコネクタの向き、部品位置の正誤判定にも用いています。検査画像が残るため、NGの理由を示す教材としても使われています。
出典:株式会社樋口電子 -導入偏- - 株式会社アダコテック|外観検査AI 発行元:株式会社アダコテック
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
20名で月200機種、1機種あたりの生産枚数は10枚前後、時には1枚。この条件では、検査工程に人手を厚く割くことも、機種ごとに検査データを作り込むことも現実的ではありません。専用装置は高額なうえ、設定や画像収集の工数が別に積み上がります。目視検査は記録が残らないため、不良が流出した際も、社内で聞き取りをして記憶をたどるしかありませんでした。
編集部の見立てでは、この現場の困りごとは検査精度そのものより、検査という仕事が個人の経験の内側に閉じていたことにあります。誰がどう見たのか、そのとき基板がどんな状態だったのか、なぜNGなのか。判断も根拠も人の頭の中にしか残らないため、教育も顧客への説明も毎回ゼロから積み直すことになる。設備導入の条件を「負担も不良も同時に減らせること」に置いた同社の姿勢は、この構造を身をもって知っていたからこそ出てきた基準だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
AIに任せる範囲を良否の最終決定ではなく仕分けに絞った設計が、この現場では効いています。はんだ槽を通した後の基板を、要修正か修正不要かの二択に分けるところまでを担わせ、修正検査から最終検査に至る流れの中に組み込む。二択に落とし込めば、経験のない人がボタンを押すだけで工程が進み、熟練者の判断力は本当に必要な場面に回せます。検査専任者を置かず全員が製造と検査を兼ねる体制と、この割り切りは無理なくかみ合っています。
導入の可否を分けたのは、検出性能の高さよりも、必要な画像枚数や設定工数が生産形態とかみ合うかどうかだったと考えられます。1機種あたり数枚という生産では、学習用に百枚規模の画像を用意するという前提はそもそも満たしようがなく、費用を投じても運用に乗りません。月に200機種が流れる工程へ実際に置けたという事実そのものが、この選定で何が優先されたのかを物語っています。
検査画像を残すことを、判定の副産物ではなく運用の柱に据えた点も見逃せません。NGの理由をその場の言葉ではなく画像で示せるようになれば、教える側の説明は再現可能になり、判断の基準が個人の記憶から切り離されていきます。社員もパートも全員が触れる状態にしているのも、選別の担い手を増やす目的だけでなく、同じ画像を見て同じ基準を共有する場をつくる意味があるのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
同社が現時点で価値を置いているのは時間短縮ではなく、経験の有無にかかわらず検査に関われるようになったこと、そして選別と教育を同時に進められるようになったことです。NGの理由を画像を見せながら説明できるため、経験の浅い社員の理解も深まりやすくなっています。不良流出の連絡を受けた際も、記憶ベースの説明ではなく、どの工程でどのような状態だったかを画像という事実に基づいて顧客と検討できます。近代的なツールを使っていることが社内の士気や対外的な信用の向上にもつながっている、という受け止めも語られています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判断が「直す必要があるかないか」という二択に落とせて、対象を同じ条件で撮影できる工程です。少量多品種で1機種あたりの枚数が少ない現場ほど、大量の学習画像を前提とする仕組みは合わず、少ないデータで動かせるかどうかが選定の分かれ目になります。逆に、色味の微妙な差や手触り、動作音まで含めて総合的に見ている検査や、製品ごとに撮影条件を組み直さなければならない工程では、同じようには進みません。判定画像が残っても、それを見て教える人がいなければ教育の効果は生まれない点も、この事例が前提としている条件です。
試すなら、自社の検査項目を一つ選び、それが二択で言い表せるか、その判断根拠を画像1枚で他人に説明できるかを確かめるところから。説明できる項目が見つかれば、そこが最初の候補になります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社樋口電子
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