更新 2026.08.26
東洋鋼鈑がフィルム検査の欠点仕分けをAI分類で試験運用、判定のばらつきに向き合う
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 検査の判定が人によってぶれる
- 見つかった不良候補の確認に追われている
- 迷って止めた分のロスが積み上がる
どのようなAIの取り組み?
自動表面検査機が検出した欠点から有害なものを選り分ける工程に、外観検査AIによる分類を持ち込み、試験運用まで進めたAI取り組み
業種
光学用機能フィルム製造(製造業)
取り組み領域
品質管理/製品の外観検査
使ったAI
外観検査AIソフト『Shiwaketter』(画像分類AI)
主な成果
試験運用で、判定基準の統一と仕分け後の欠点数減による工数削減に手応え
東洋鋼鈑の化成品事業は、フラットパネルディスプレイ向けの光学用機能フィルムを手がけており、その品質管理部門が出荷検査の外観確認にAIによる分類を持ち込みました。従来は自動表面検査機が欠点の長さ・幅・面積・強度といった基準にもとづいて検出し、そこから有害なものを人が選り分けていましたが、装置の性能が上がるほど検出数が増え、判断の負荷が積み上がっていました。検討はまず、数千点以上の欠陥画像を使ってAIで分類できるかどうかを確かめる検証から始まっています。分類性能に加え、汎用PCだけで高速に処理できること、AIの性能調整を柔軟に行えることを評価し、アダコテックの外観検査AIソフト『Shiwaketter』が選ばれました。現在は、そこで作成したAIモデルを試験的に運用している段階です。
出典:東洋鋼鈑株式会社 - 株式会社アダコテック|外観検査AI 発行元:株式会社アダコテック
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
検査装置が高性能になるほど、拾い上げられる欠点の数は増えていきます。東洋鋼鈑の品質管理部門でも、あらかじめ設定した長さ・幅・面積・強度の基準で装置が欠点を検出したあと、そこから本当に有害なものを人が見極める工程が残っていました。判断に迷うグレーゾーンは必ず生まれ、人によって結論が揺れ、迷ったときは止める側に傾くため、余分なロスと工数が発生する。これが長年の課題でした。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は検出精度の不足ではなく、むしろその逆側にあったのではないでしょうか。装置が高性能化するほど最終判断の重みは人の目に集まり、装置の進歩がそのまま現場の負荷に転化してしまう構図です。ルールベースの基準は数値で書ける範囲しか表現できず、品質担当者が経験のなかで持っている「これは出荷して差し支えない」という線引きまでは写し取れません。その差分が、迷いと安全側への過剰な停止という形で現れていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
数千点以上の欠陥画像をそろえ、まず「本当に分類できるのか」だけを確かめたところから入っている点が、この進め方の要です。AIによる分類そのものが初の試みだったため、現場に組み込む前に、対象の欠点がそもそも機械的に切り分けられる性質のものかを見極める段階を独立させています。枚数を確保したうえで可否を判断したことが、その後の検討材料を厚くしたと考えられます。
選定の物差しを分類性能だけに置かず、運用条件まで並べて比較した設計も見逃せません。他社製品では専用サーバやGPU環境の準備が前提となり、現場への導入コストが障壁として挙がっていました。採用されたソフトはGPU不要の汎用PCにソフトを入れるだけで動くため、検査ラインの後段に置く際の設備追加が小さくて済みます。「精度が出るか」ではなく「どこに置いて誰が動かすか」まで含めて評価したことが、試験運用まで届く現実味を生んだと見ています。
AIの性能調整を柔軟に行えることを評価軸に入れた点も、この取り組みの性格をよく表しています。目指されたのは検出をさらに増やすことではなく、品質担当者と同じ判定基準で有害・無害を切り分けること。基準そのものが調整の対象になる以上、後から効き方を変えられる仕組みでなければ現場の感覚には寄せていけません。装置側のルールベース検出はそのまま残し、その後段に分類を重ねる構成をとったため、既存の検査の枠組みを作り替えずに試せています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
まだ試験的な運用の段階ですが、これまでのルールベースによる仕分けとは異なり、品質担当者と同じ判定基準で対象が弁別されること、弁別後に残る欠点数が大きく減り、負荷と工数の削減につながることに手応えが得られています。あわせて、有害と判定していないものの検出はできている埋もれた情報を分類してデータとして扱えれば、品質管理の幅が広がるという期待も示されています。効果を数値で示した情報は出ておらず、現時点では現場の実感として語られる段階にとどまります。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、検査や審査の工程で「機械が拾ったものを、最後に人が選り分ける」構図が残っている現場です。拾い上げるところまでは自動化できていて、その先の判断に人手と迷いが集中しているなら、判断の部分だけを切り出してAIに任せる余地があります。過去の判定結果が画像やデータとして残っていれば、検証を始める材料もそろっています。
一方で、そのまま持ち込みにくい場面もあります。今回は数千点規模の欠陥画像を用意できたことが検証の前提でしたから、不良の発生自体が稀で事例が集まらない工程では、同じ手順は踏めません。有害か無害かの線引きが顧客や用途ごとに動く製品でも、学習させるべき正解が一つに定まらない難しさが残ります。
まず動くとしたら、直近の検査記録から「人が迷った案件」だけを抜き出し、そこに共通する特徴があるかを眺めてみること。迷いが特定の欠点の種類に偏っているなら、そこが最初の検証範囲になります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社アダコテック
外観検査AIを手がける企業で、GPU不要の汎用PCで動作するAI分類ソフト『Shiwaketter』を提供している。
東洋鋼鈑株式会社
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