実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.26
ドローン撮影と検査AIで鉄塔のサビを判別、送配電設備の目視点検の代替を検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 点検の判定が人によってバラつく
- 屋外設備の見回りに時間を取られている
- 写真や動画で点検を済ませたい
どのようなAIの取り組み?
ドローンで撮影した鉄塔の映像を検査AIに学習させ、目視に頼ってきた発錆点検を代替できるかを確かめたAI取り組み
業種
送配電設備の保守・点検(エネルギー・インフラ)
取り組み領域
設備点検/鉄塔の外観点検
使ったAI
検査AI MENOU(画像認識による外観検査AI)
主な成果
チューニングにより錆と塗装剥がれの判別が可能と検証
住友共同電力が多数保有する送配電鉄塔は、これまで定期的な目視によって健全性が確かめられてきました。株式会社住共クリエイトサービスセンターは、この点検を画像で代替できるかを検証するため、対象の鉄塔をドローンで上端から下端まで様々な方向から動画撮影し、そこから抜き出した静止画を株式会社MENOUの検査AI MENOUに学習させています。処理は二段構えで、まず画像内の鉄塔部分を検出して鉄塔以外をマスクし、そのうえで錆の出ている箇所を検出する流れです。撮影条件の違いに耐えられるか、同じ赤茶色に見える錆と塗装剥がれを区別できるかといった論点をあらかじめ課題として立て、結果を突き合わせる形の検証として実施されました。
出典:【事例紹介】鉄塔発錆検出AIモデルの作成|株式会社住共クリエイトサービスセンター 発行元:株式会社住共クリエイトサービスセンター
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
送配電鉄塔の健全性は、これまで担当者が定期的に目で見て確かめてきました。錆と上塗り塗装の剥がれはどちらも似た赤茶色で現れるため、目視で判別できるとしても、その判断は見る人の目に委ねられます。
編集部の見立てでは、この取り組みが向き合っていた困りごとの本質は、鉄塔の数の多さそのものよりも、良し悪しの基準が人の中にしか存在しないことにあったのではないでしょうか。目視とAIを比べた整理のなかで、品質の欄に「検査者によってバラつきあり」と記されている点が象徴的です。多数の設備を、別々の担当者が、天気も光の向きも違う日に見て回れば、どこからを錆と呼ぶかは揺れます。点検対象の数を減らせない以上、揺れない基準をどこに置くかが問われていた、という構図です。
どうやって、うまくいったのか
まず効いていると考えられるのは、画像認識を一度で終わらせず、鉄塔を見つける工程と錆を見つける工程に分けた設計です。最初に鉄塔部分をアノテーション(画像に正解の目印を付ける作業)して検出させ、鉄塔以外の領域をマスクで塗り潰してから、発錆の検出に入っています。この切り分けにより、後段の判定は空や周囲の景色を一切見ずに済みます。背景や天候が変わっても判定を保ちたいという要件に対して、モデルの賢さで押し切るのではなく、見る範囲そのものを狭めて条件を揃えにいった点が要になっていると読み取れます。
二つ目は、出来上がったモデルを受け取るのではなく、扱う側がトライアンドエラーを回せる形にしたことです。当初は鉄塔も発錆場所も狙いどおりには検出されず、アノテーションを追加したりパラメータを調整したりする作業が重ねられました。マウス操作で目印を付けられるノーコードの環境だからこそ、思うような結果が出ないときに、その場で学習データを足すという打ち手を選べます。判定の外れを設計上の問題として自分たちの手で埋められる状態は、検証を前に進めるうえで大きかったはずです。
三つ目に挙げたいのは、着手前に確かめたいことを三つの問いに絞り、結果を一つずつ突き合わせた進め方です。撮影条件の違い、他の鉄塔への応用、錆と塗装剥がれの区別という論点が先に置かれているため、どこまで確かめられて、どこが手つかずのままかが、そのまま輪郭を持ちます。実際、学習に使ったのは一種類の鉄塔だけであり、他の鉄塔に応用できるかは今回検証していないと明記されました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
三つの課題のうち、背景や天候・順光逆光の違いによらず鉄塔を認識できるかという点と、同じような赤茶色である錆と上塗り塗装の剥がれを区別できるかという点は、いずれもチューニングにより認識可能という結果が得られています。一方、様々な鉄塔への応用は今回検証されていません。目視との比較では、AI側には四人日程度の事前準備が必要になるものの、検査そのものはリアルタイムで検出でき、品質は検査者によらず安定すると整理されました。検査対象が増えるほど工数の削減効果が見込める、という見通しも示されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、劣化が見た目に現れ、決まった手順で繰り返し撮影できる対象です。鉄塔のように形が定まっていて、同じ角度・同じ順序で撮り直せる設備であれば、写す範囲を先に絞ってから判定させる進め方はそのまま持ち込めます。
逆に、このやり方を難しくするのは対象の多様性です。学習に使われたのは一種類の鉄塔であり、形状や塗装、設置環境が変われば同じモデルが通用する保証はなく、その点は今回も確かめられていません。撮影対象がその都度違う現場や、劣化が表面に出ず打音や手触りでしか分からない点検では、この延長線上では届きにくい領域が残ります。
始めるなら、いま点検で撮っている写真の中から「これは要注意」「これは問題なし」と即答できる一枚ずつを並べてみるところから。人が見て一瞬で区別のつかない写真は、AIにとっても同じ難所になります。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社MENOU
AIを用いた外観検査における課題を解決するためのソリューションの開発および販売を手がける企業。提供製品は検査AI MENOU、MENOU-QC。
株式会社住共クリエイトサービスセンター
出典・参考情報
【事例紹介】鉄塔発錆検出AIモデルの作成|株式会社住共クリエイトサービスセンター
発行元:株式会社住共クリエイトサービスセンター
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