更新 2026.08.18
薬局の受付をAIに一本化、薬剤師の業務中断が約8割減った現場の運用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 作業中に受付へ呼ばれて手が止まる
- 特定の時間帯だけ窓口が混み合う
- 人を増やさずに受付を回したい
どのようなAIの取り組み?
対話形式のAI受付で来局対応を代替し、薬剤師の業務中断を大きく減らした調剤薬局のAI取り組み
業種
調剤薬局(医療・ヘルスケア)
取り組み領域
薬局の来局受付業務
使ったAI
薬急便 遠隔接客AIアシスタント(対話型のAI受付)
主な成果
受付に伴う業務中断が体感で約8割減少
埼玉県を中心に薬局を運営する株式会社エフケイは、人材確保が難しくなる環境でも地域医療を支え続けるため、人に依存しない仕事のあり方を掲げてデジタル活用を進めてきました。導入店舗のエース薬局 豊玉店は皮膚科・小児科・アレルギー科の門前で月3,000枚以上を応需し、スタッフ8〜9名(うち事務3名)で運営しています。特定の時間帯に患者が集中すると、薬剤師が調剤を止めて受付に入る状態が常態化していました。そこで導入されたのが、MG-DXが提供する調剤DXプラットフォーム「薬急便」の遠隔接客AIアシスタントです。来局受付をAIとの対話に一本化したうえで、受付シナリオは店舗の実情に合わせて調整され、モバイルオーダーとの連携によって患者が待ち状況を確認できる形も整えられました。
出典:薬剤師の業務中断が8割減少 薬剤師が「対人業務」に専念できる環境へ 地域密着型薬局が挑む次世代DXの姿 - 調剤DXプラットフォーム 薬急便 発行元:MG-DX
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
小児科の門前という立地から、エース薬局 豊玉店では特定の時間帯に患者が一気に集まり、事務スタッフだけでは受付を捌ききれず、薬剤師が調剤や監査の手を止めて窓口に回る日が続いていました。作業の途中で呼ばれれば、どこまで進んだかが曖昧になり、確認漏れや取り間違いを招きかねません。本来なら時間をかけたいかかりつけ業務も後回しになります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は受付件数の多さではなく、割り込みが「いつ来るか分からない」ことにあったのではないでしょうか。調剤や監査は、途中で中断すると再開時に確認をやり直さなければ安全を担保できない種類の作業です。しかも、常に受付の気配をうかがっていなければならない状態は、実際に呼ばれていない時間の集中力まで削り取ります。人を一人増やしても、割り込みが不規則に飛び込んでくる構造が残る限り、この負荷は消えません。
どうやって、うまくいったのか
受付をシステムに一本化し、スタッフが応答するタイミングを自分で選べる形にしたことが、この取り組みの中心にあります。患者が来局しても、通知を確認して作業の区切りが良いところで対応すればよい。これまで即座に応じるしかなかった割り込みを、後から処理できる仕事へ置き換えた設計です。中断そのものをゼロにするのではなく、中断のタイミングを現場側が握る。この一点に絞った切り分けが、調剤の安全性と受付対応の両立を可能にしたと考えられます。
受付フローを店舗専用に作り込んだ導入プロセスも、この形が現場に根づいた要因でしょう。エフケイ側は選定の決め手として、要望への対応スピードと現場への歩み寄り、そして運用に合わせたシナリオのカスタマイズ性を挙げています。案内の言葉づかい一つに至るまでやり取りを重ね、患者が迷わない順序へ徹底的に簡素化した結果、この店舗専用と呼べる受付が組み上がりました。AI受付は患者自身が操作する接点であるため、標準のシナリオをそのまま当てはめれば、使いにくさは患者の不満と、それを説明するスタッフの手間に跳ね返ります。
経営と現場の温度差を対話で埋めながら進めた点も見逃せません。事業部長が店舗に足を運んで実機の動きを検証し、スタッフと直接言葉を交わす。現場の側も、長く通う患者から「面倒になった」と言われる場面で、安全な医療を提供するための時間を作っているという趣旨を伝えています。同じ機能を入れても、なぜこれを使うのかが現場の言葉で共有されているかどうかで、定着の進み方は変わってくるはずです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
受付に伴う業務中断は現場の体感で約8割減り、調剤の安全性が高まっています。通知を見て自分のペースで対応できるようになったことで、スタッフの心理的負担も軽くなりました。想定外の効果として現れたのがマイナ保険証の利用率で、導入前の約15%から約50%へと3.3倍に伸びています。有人対応では案内が漏れることもありましたが、AI受付は毎回一律に尋ねるため、患者の側に「ここでは使うもの」という認識が定着したという受け止めです。経営側は現在、事務1人分の年収に相当する業務量をシステムで代替することを目標として掲げている段階にあります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、来店や来局の受付が特定の時間帯に集中し、その対応のために別の作業を中断している職場でしょう。受付で確認する内容が毎回ほぼ同じで、手順として書き出せる程度に定型化しているなら、対話型のAIに置き換えたときの効き方は読みやすくなります。
一方、この事例のように受付が後工程と直結する業務では注意が要ります。豊玉店でも、有人ならその場で気づけた処方せんの不備や書類の入れ間違いが、後工程の負担として残る点が今後の課題に挙がっています。入口を自動化すると、確認の責任は後ろへ移動する。その移動先を誰がどう引き受けるかを決めないまま導入すれば、負担の総量はさほど変わりません。多言語対応のように、有人だからこそ柔軟に補えていた部分が浮き彫りになる面もあります。
試すなら、まずは直近一週間、受付に呼ばれて手を止めた回数と、そのとき何をしていたかを書き留めてみてはどうでしょうか。中断が集中する時間帯と作業が見えた時点で、自動化すべき入口の範囲も自然と絞れてきます。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
MG-DX
調剤DXプラットフォーム「薬急便」を提供する企業。薬局・ドラッグストア向けに、遠隔接客AIアシスタントやモバイルオーダーなどのサービスを展開している。
株式会社エフケイ
出典・参考情報
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