実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.18
AI在庫管理で発注業務を事務へ、事業承継した調剤薬局の基盤づくり
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 発注や在庫管理に時間を取られている
- 専門職に事務作業が集中している
- お客様と話す時間が足りない
どのようなAIの取り組み?
AI在庫管理と患者向けの処方箋・メッセージ機能を組み合わせ、在庫業務のタスクシフトと収益基盤づくりを進めた調剤薬局のAI取り組み
業種
調剤薬局(医療・ヘルスケア)
取り組み領域
医薬品の在庫管理・発注/患者対応
使ったAI
AI在庫管理システム(Musubi AI在庫管理)
主な成果
在庫業務を事務スタッフへ移し、地域支援体制加算1の要件を満たす基盤を整備
福岡県朝倉市で1店舗の調剤薬局を営む有限会社タイヨウ(渡辺調剤薬局)は、開業30年ほどの薬局を2022年に事業承継しました。承継直後は在庫管理に業務マニュアルがなく、医薬品が「出たら発注」というアナログな方式で回っていた状態です。そこで薬局向けサービスを提供するカケハシの『Musubi』『Pocket Musubi』『Musubi AI在庫管理』を導入し、在庫管理は新たに採用した事務スタッフが一手に引き受ける体制へ切り替えました。あわせて医薬品売買サービス「ファルマーケット」に登録してデッドストックのうち売却できるものを手放し、調剤室を整理しています。薬剤師は常勤3人とパート1人、事務スタッフ3人という体制で、月間処方箋枚数は1200〜1300枚の薬局です。
出典:事業承継後の経営基盤を安定させたのは「Musubi製品の積極活用」と「仲間づくり」 発行元:KAKEHASHI Inc.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
事業を引き継いだ時点の薬局は、在宅訪問にまだ着手しておらず、在庫管理も「出たら発注」というその場しのぎの方式で、地域支援体制加算1の施設基準にも届いていませんでした。採用を強化したくても、まず業務の平準化と収益の基盤づくりに道筋をつけなければ求職者に声をかけられない、という順番の問題も抱えています。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは作業量の多さではなく、在庫管理という日々の判断が、誰にも渡せない形で経営者に張り付いていたことにあります。業務マニュアルが存在しなかったという記述が示しているのは、手順が言葉になっていない状態であり、そうなると引き継ぎは「覚えてもらう」しかありません。承継したばかりで人も基準もそろっていない薬局にとって、その引き継ぎにかかる手間は、事実上「渡さない理由」として働いてしまいます。
どうやって、うまくいったのか
在庫の判断そのものをツール側に持たせた設計が、服薬指導を担当しないスタッフへのタスクシフトを成立させた要になっています。手順書のない業務を引き継ぐには、普通はまず手順を書き起こす工程が必要ですが、『Musubi AI在庫管理』を挟むことで、そこを通らずに担当を移す道筋ができました。事務スタッフが直感的に操作でき、後から仲間入りしたスタッフも難なく使えている点は、引き継ぎの再現性が個人ではなく仕組みの側に置かれたことを意味します。
導入の前にデッドストックを売却し、調剤室を整理した順序も見落とせません。「ファルマーケット」で売却できる医薬品を手放す作業は、在庫の実態と管理上の姿を一致させる下ごしらえにあたります。前提となる在庫が乱れたままではツールの示す発注も現場の感覚と噛み合いにくく、先に棚を整えたことが、その後の運用を素直に立ち上げる助けになったのではないでしょうか。
患者接点の側では、業務を来局前に前倒しする組み立てが効いています。『Pocket Musubi』で処方箋が事前に届けば薬局側に余裕が生まれ、朝の時点で患者の気になることや聞きたいことがアラートとしてつかめるため、次回来局時の指導に織り込めます。空いた時間を何に使うかを「対話が生まれる場をつくる」と先に定めていたことで、効率化で生まれた余白が、別の作業に静かに埋め戻されずに済んだと読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
経営者は医薬品在庫に関する多くの業務から離れ、経営者としての仕事に力を入れられるようになっています。必要な品目数も確保できたことで地域支援体制加算1の要件を満たし、安定した薬局経営の基盤が築かれました。発注は「絶対に必要という分だけ」に絞り、週1、2回にとどめる運用へ。在庫管理を担う事務スタッフは、SNSを使った広報活動や物販のPOP作成といった業務にも手を広げています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判断の基準を数字で表せる業務が、特定の人の頭の中だけに置かれているケースです。在庫と発注はその典型で、扱う品目と在庫の動きさえそろっていれば、判断をツールに預けたうえで担当者を替えられます。人数の少ない事業所ほど、一人が抜けられない業務を減らす効き目は大きく出ます。
一方で、同じやり方が通りにくい場面もあります。この薬局で在庫管理を移せたのは、発注の作業自体が資格を必要としない業務だったからであり、判断に専門資格や個別の交渉が絡む業務では、ツールを入れても担当を替えることはできません。手元の在庫データが実際の棚と食い違っている状態も同様で、その場合は提案の精度以前の問題になります。
小さな一歩としては、直近の発注1回分を選び、その数量にした理由を数字で説明できるか確かめてみてください。説明が詰まった部分こそ、ツールに渡す前に整理しておくべき場所です。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
KAKEHASHI Inc.
薬局向けサービス『Musubi』『Pocket Musubi』『Musubi AI在庫管理』を提供する企業。
有限会社タイヨウ(渡辺調剤薬局)
出典・参考情報
事業承継後の経営基盤を安定させたのは「Musubi製品の積極活用」と「仲間づくり」
発行元:KAKEHASHI Inc.
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