更新 2026.08.18
生成AIが服薬指導の会話を要約、薬剤師の残業を月40時間から7時間に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録の入力が後回しで残業が続く
- 接客中に記録を取る余裕がない
- 手書き入力を音声で楽にしたい
どのようなAIの取り組み?
服薬指導の会話を音声で取り込み、生成AIが要約して薬歴の下書きを作る仕組みを薬局2店舗で使い、薬剤師の記録負担の軽減に取り組んだ事例
業種
保険薬局(医療・ヘルスケア)
取り組み領域
薬歴作成/服薬指導の記録
使ったAI
生成AI薬歴入力支援サービス(音声認識+生成AI要約)
主な成果
管理薬剤師の残業時間が月40時間から7時間へ(8割以上減)
富山県内で6店舗の薬局を運営する株式会社フィオーレが、そのうち薬局あこーれとクロベ調剤薬局の2店舗で、ウィーメックスの生成AI薬歴入力支援サービスを利用しています。服薬指導中に薬剤師と患者が交わす会話を音声で取り込み、生成AIが要約したうえでSOAP形式のデータとして出力する仕組みで、薬剤師はそれを確認して薬歴を仕上げます。患者数が多く薬歴の作成が後回しになり、残業が発生していた状況に対して経営側が導入を決め、音声入力に慣れた薬剤師を推進役に、グループ会社の先行事例の共有や店舗研修を重ねながら運用を広げました。導入後は管理薬剤師の残業時間が大きく減り、新たにもう1店舗での利用も決まっています。
出典:薬局あこーれ様 | 導入事例「保険薬局編」| メディコム | ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社) 発行元:ウィーメックス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
薬局あこーれでは吸入指導が必要な患者が多く、一人ひとりの服薬指導に時間がかかる分、薬歴の作成が後回しになりがちでした。クロベ調剤薬局でも、次々と投薬を続ける中で記録が追いつかない状態が続き、どちらの店舗でも残業が積み上がっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「作業量が多い」ことそのものよりも、患者と向き合う時間と記録を書く時間が、同じ勤務時間の中で奪い合いになっていた点にあります。目の前に患者が待っていれば、優先されるのは当然投薬です。その結果、記録だけが一日の終わりへ繰り越され、残業という形で表に出る。「人を増やしてほしい」という声がたびたび上がっていたのも、純粋な人手不足というより、この繰り越しの構造が解けないことへの反応だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
服薬指導の会話そのものを入力データに据えた設計が、記録を業務の後ろに送らない構造をつくっています。薬剤師が後から思い出して打ち込むのではなく、患者と交わした会話を音声で取り込み、生成AIが要約する。会計を行っている間に処理が進むため、投薬が終わる頃には薬歴の下書きがほぼ整った状態になります。記録専用の時間をどこかに確保するのではなく、すでにある業務の流れの隙間へ処理を差し込んだところが、この設計の要点です。
出力をSOAP形式のデータに揃えている点も見逃せません。薬歴は薬剤師が日常的に扱う定型の記録で、書き方の型が決まっているからこそ、AIの要約結果がそのまま実務で使える下書きになります。自由な文章を生成して人が整形し直すのではなく、現場が使う型に合わせて出す割り切りが、確認と手直しだけで完結する運用を可能にしたと考えられます。
導入の進め方にも工夫が見えます。初期費用と月額基本料がかからず、追加で必要だったのは音声入力用のマイクだけという条件は、試すときの心理的な負担を小さくします。従量課金である以上、使うほど費用は増えますが、処方箋の枚数からあらかじめ試算し、全件で使っても問題ないと確認したうえで踏み切ったことで、コストを気にして使用を絞る運用に陥らずに済みました。音声入力やAIに慣れた薬剤師を推進役に立て、先行するグループ会社の事例を示し、店舗内で研修を行うという段取りも、後ろ向きな受け止めが残る中で浸透させるやり方として理にかなっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
投薬を終えてから薬歴を入力する場面はほとんどなくなり、業務終了の時間になっても未作成の薬歴が溜まっている状況も解消されています。管理薬剤師の残業時間は、導入前の2024年6月が40時間だったのに対し2025年6月は7時間と、8割以上の減少。現場からは負担が体感で4割ほど軽くなったという声も出ており、増員を求める声は上がらなくなっています。服薬指導の内容を記録に残すという意識が高まり、以前より要点を押さえた指導ができるようになった点は、時間短縮とは別種の効果として注目できます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、担当者が現場で交わす会話の内容がそのまま記録の中身になり、かつ記録の書式が決まっている業務です。薬歴のSOAP形式のように出力の型が定まっていれば、AIの要約は確認と手直しだけで実務に載ります。介護記録や設備の点検報告のように、話した内容と残すべき記録がほぼ重なる業務であれば、同じ考え方が当てはまるはずです。
一方、会話には現れない観察や判断が記録の中心を占める業務では、音声を取り込んでも埋まらない部分が残ります。録音を伴う以上、相手への説明や店内の騒がしさといった環境面の条件も避けて通れません。費用の面でも、この事例は従量課金を前提に処方箋枚数から試算したうえで全件利用に踏み切っており、件数の見通しが立たないまま始めると、使うたびに判断が揺れることになります。
まずは自社の記録業務を一件分だけ音声から文章化させてみて、それが記録としてそのまま通用する水準かどうかを、普段その記録を書いている担当者の目で確かめる。判断材料としては、それが一番早いはずです。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)
メディコムブランドで、診療所・病院向けの電子カルテやレセプトコンピューター、薬局向けの電子薬歴などの医療システムを提供する企業。服薬指導の会話音声を生成AIが要約して薬歴作成を支援する生成AI薬歴入力支援サービスを提供している。2023年4月1日にPHC株式会社メディコム事業部とPHCメディコム株式会社が統合し、ウィーメックス株式会社として事業を開始。
株式会社フィオーレ(薬局あこーれ・クロベ調剤薬局)
出典・参考情報
薬局あこーれ様 | 導入事例「保険薬局編」| メディコム | ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)
発行元:ウィーメックス株式会社
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