実施 2026.08 ・ 更新 2026.08.18
スポーツの競技データと生体データを統合し疲労・回復の解明に挑む産学共同研究
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 勘と経験だけで体調管理をしている
- 集めたデータが記録のままで使えていない
- 社員の疲労や睡眠の悩みに手が打てない
どのようなAIの取り組み?
競技データと心拍変動・睡眠などの生体データを統合し、疲労と回復の因果構造の可視化を目指して始まった産学共同のAI取り組み
業種
スポーツデータ分析(IT・通信)
取り組み領域
研究開発/健康・コンディショニング支援
使ったAI
AI・データ分析技術(競技データ・生体データの統合解析)
主な成果
疲労と回復の因果構造の可視化を目指し共同研究を開始した段階
データスタジアム、博報堂テクノロジーズ、東北大学大学院医工学研究科の三者が共同研究契約を締結し、スポーツ現場における疲労と回復の関係を科学的に検証する研究を2026年8月に開始しました。題材となるのは、データスタジアムが保有する競技データ(プレーの記録であるイベントデータと、選手の動きを追うトラッキングデータ)に、スポーツチームが蓄積してきたフィジカルコンディショニングデータ、そして心拍変動(HRV)や睡眠状態、筋疲労といった生体側の指標を重ね合わせたデータ群です。どのような負荷がどのような疲労を生み、どう回復して次のパフォーマンスに影響するのか、その因果構造の可視化を目指します。東北大学が研究基盤と専門知見を、博報堂テクノロジーズがAI・データ分析技術と生活者分析・行動変容設計の知見を持ち寄る体制で、得られた知見は働く人や高齢者の健康支援への展開が見据えられています。
出典:データスタジアム・博報堂テクノロジーズと東北大学大学院医工学研究科、 スポーツデータを活用した「疲労・回復」の共同研究を開始 | データスタジアム株式会社のプレスリリース 発行元:データスタジアム株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
スポーツデータは長らく、競技成績やパフォーマンスの分析を主な目的として使われてきました。今回の研究は、その用途の枠を明示的に超えるところから出発しています。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な課題はデータが足りないことではなく、蓄えられた記録が「何が起きたか」の説明で止まっていた点にあります。試合中の走りやプレーの記録がどれだけ精密でも、その負荷が選手の体にどんな疲労として残り、どのくらいの時間で戻るのかという体の側の応答が同じ時間軸に並んでいなければ、負荷と回復をつなぐ線は引けません。競技データと体調のデータが、別々の目的で別々に蓄積されてきたこと自体が、解けない問いを作っていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
三者を、保有データ・学術的な専門知見・分析技術という補完関係で組み合わせた体制設計が、この研究の土台になっています。競技データは取得の仕組みを持つ側でしか作れず、疲労や回復の解釈にはスポーツ健康科学や運動学の理論が要り、両者を突き合わせるには分析の実装力が要ります。どれか一つが欠ければ、データはあっても解釈できない、理論はあっても検証材料がないという状態に陥りやすいところ。役割を重ねずに切り分けた構成が、研究の初期から検証を回せる条件をつくっているように見えます。
「どのような負荷が、どのような疲労を生み、どう回復し、次のパフォーマンスにどう影響するのか」という問いの立て方も、この取り組みの特徴です。疲労度を一時点で数値化するのではなく、負荷から回復までを一続きの流れとして追う設計であるため、心拍変動や睡眠状態、筋疲労といった指標を連続的に取り続ける必要が生じます。分析の狙いを因果構造の可視化に置いたことが、集めるべきデータの粒度と期間を先に決めている、とも読めます。
出口を競技の外に置いた設計は、研究そのものの位置づけを変えています。働く人の睡眠・疲労回復支援や高齢者の健康増進といった応用先を初めから掲げれば、選手という特殊な集団で得た知見のうち、どこまでを一般の生活者に持ち出せるのかを検証項目として意識せざるを得ません。生活者分析や行動変容設計の知見が体制に組み込まれている点も、測って終わりにせず、人が実際に行動を変える形へ落とし込むところまでを射程に入れた構えと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
現時点で公表されているのは共同研究契約の締結と研究の開始までで、分析結果や効果は示されていません。掲げられているのは、疲労と回復の因果構造を可視化し、選手寿命の延伸、健康支援の高度化、社会的ウェルビーイングの向上という価値の創出を目指す方向性です。成否はこれからの検証に委ねられており、現段階の意味は、競技データを健康領域へ持ち出す枠組みが契約という形で整った点にあると考えられます。
うちでも使える?
応用の目安になるのは、二種類の記録を時間軸で結べるかどうかです。何をどれだけやったかという負荷側の記録と、その後に人や現場がどう反応したかという応答側の記録が、どちらも日付や時刻付きで残っているなら、この研究と同じ考え方は業種を問わず持ち込めます。勤務時間と体調申告、稼働量と欠勤、繁忙度と離職といった組み合わせが、その入口になります。
一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。この研究は、限られた人数の選手に測定機器を装着し、日々の状態を継続して記録できるスポーツ現場を実証の場に選んでいます。一般の職場で同じ密度の生体データを取ろうとすれば、測定そのものの負担と、体調という機微な情報の扱いが先に立ちはだかります。負荷と回復のような因果を読むには一度きりの計測では足りず、期間を通した記録が要る点も、着手のハードルです。
始めるなら、新しく計測を増やす前に、勤怠や作業記録のようにすでに手元にある時刻付きの記録を二つ選び、同じ表に並べて眺めてみる。それだけでも、負荷と応答の間にどれくらいの遅れがあるのかが見えてきます。
この事例は2026年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:経営・企画
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
プロジェクト実施・導入企業
株式会社博報堂テクノロジーズ
フルファネルマーケティング、生活者インターフェース市場、メディア・クリエイティブ領域をはじめとした各種テクノロジー戦略の立案・開発を行うテクノロジー戦略会社。博報堂DYグループの開発体制を集結し、体制強化・進化を目的として設立された。
データスタジアム株式会社
出典・参考情報
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