実施 2026.07 ・ 更新 2026.08.18
動物病院が電子カルテを移行、音声入力やAIを見据えたデータ活用の土台づくり
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録は残せても後から探しにくい
- 溜まったデータを経営判断に使えない
- 日々の記録づくりに時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
動物病院向けクラウド電子カルテへ移行し、診療データの抽出・分析と、音声入力やAI活用を見据えた記録の土台づくりに取り組んだ事例
業種
動物病院(医療・ヘルスケア)
取り組み領域
診療記録・カルテ/病院経営のデータ分析
使ったAI
クラウド電子カルテ Vet360+音声入力・文字起こしAI(カルテ上のAI機能は今後)
主な成果
導入半年で診療データを分析に活かす体制づくりが進行
東京都品川区で約40年続く古谷動物病院は、獣医師・看護師・トリマーを合わせて約12名の体制で犬猫の診療にあたっています。院内にはすでに電子カルテが入っていましたが、記録した情報を後から取り出して分析に回すには物足りず、動物病院向けクラウド電子カルテ「Vet360」へ移行しました。複数の製品を比較したうえで、必要なデータを抽出して自院で整理・分析しやすいこと、毎月払い続けるシステムとしての費用対効果、そして機能が継続して増えていく開発の進み方を判断材料にしています。院長は以前から、診察中の会話を音声入力で文字起こしし、診療記録の書式であるSOAP形式に整える運用を電子カルテの外で試しており、Vet360上でのAI音声カルテやVetsAskAIの活用は今後の展望として挙げられています。
出典:Vet360導入事例|古谷動物病院 電子カルテでデータ経営を実現 発行元:Vet360
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
紙のカルテでは検索や飼主さま全体の管理に限界があり、電子カルテ自体は院長の着任前から院内で動いていました。ところが日々使ううちに、診療記録を残すことはできても、後から必要な情報を取り出したり分析に回したりするには一手間かかるという、別の壁が見えてきます。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は機能の不足ではなく、記録が「入れる」ことに最適化され、「出す」ことが設計に入っていなかった点にあります。入力先としての電子カルテが十分に働いていたからこそ、データは手元にあるのに使えないという、紙の時代とは別種のもどかしさが生まれた。音声入力やAIを本格的に使おうとした場面で土台の物足りなさが際立ったのも、AIが扱う対象は結局、取り出せる形になったデータだからでしょう。
どうやって、うまくいったのか
電子カルテの比較で決め手になったのは、必要なデータを抽出して自院で整理・分析できるかという軸でした。診療の流れに沿った操作性や、API連携などの発展性を備えた基盤も候補として検討されていますが、最終的に重みを持ったのは、日々の入力がそのまま振り返りの材料になるかどうかです。入力画面の快適さは毎日の実感として比べやすい一方、データを取り出せるかどうかは使い始めてからでないと差が表れにくい。その見えにくい違いを選定基準の前面に置いた判断が、この移行の性格を決めています。
一度導入を見送り、開発が進むのを待ってから改めて判断した進め方も、この事例に固有の要素です。将来性への期待は、契約前の説明を聞くだけでは確かめようがありません。時間を置いて機能の増え方や使いやすさの広がりを実際に見比べ、期待した方向へ進んでいることを確認してから決める。開発姿勢に期待するという主観的な理由を、期間を置いた観察という検証可能な手順に落とし込んだ点は、システム選びの一つのやり方として参考になります。
AIを先に足すのではなく、記録の土台を先に入れ替えた順序も見逃せません。診察中の会話を音声入力で文字起こしし、SOAP形式に整える流れは、電子カルテの外ですでに試されていました。その経験があったからこそ、記録作成とAIへの相談が別々に分かれている状態が課題として輪郭を持ったのだと考えられます。AIが出した情報は獣医師が確認するという線引きを保ったまま、まず情報が集まる場所を整える進め方は、AI導入を急がない選択に見えて、その後の効き方を左右する順序です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
導入から半年の時点であり、院長自身は大きく変わったと言い切る段階ではないと述べています。それでも、必要なデータを抽出できるようになったことで、蓄積したデータを分析に回す体制は作りやすくなり、飼主さまごとの来院頻度や特定の処置を受けた後の来院傾向といった、感覚だけでは見えにくい情報を振り返る材料が増えてきています。売上や来院状況を整理して見る経営の振り返りにもつながっており、Vet360上でのAI音声カルテやVetsAskAIの活用は今後の展望として位置づけられています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、顧客一人ひとりに紐づく記録が業務の中で必ず発生し、その積み重ねが次の提案につながる仕事です。歯科医院や整体院、定期点検を伴う保守の現場などは、来店の間隔や施術後の経過といった情報が日々溜まっていきます。手元のシステムからそれを取り出せるかどうかで、次の打ち手を考えられるかが分かれます。
一方で、乗り換えさえすれば分析が始まるわけではない点は押さえておきたいところです。この事例でも半年かけてデータが溜まってきた段階であり、傾向を読めるだけの母数が揃うまでには時間がかかります。来店頻度が低い業態や顧客数が限られる規模では、蓄積を待つ間に何を見るかを決めておかないと、出力したデータがそのまま放置されかねません。移行そのものにも手間がかかるため、いまのシステムで十分にデータを出せるなら乗り換えは急ぐ必要がないでしょう。
まずは、いま使っているシステムから直近半年分の顧客ごとの来店履歴を実際に書き出せるか、試してみてはいかがでしょうか。出せなかったなら、それ自体が検討を始める材料になります。
この事例は2026年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
Vet360
動物病院向けのクラウド電子カルテサービス。カルテ・予約・会計・分析を1つに集約し、時代に合わせて機能を拡充する開発を継続している。AI音声カルテやVetsAskAIの提供も進めている。
古谷動物病院
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