実施 2025.11 ・ 更新 2026.08.18
自律飛行ドローンによるダム巡視点検、セコムとパスコが試験飛行で有効性を検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 点検にまわす人手が足りない
- 高所や水上の見回りが危ない
- 目視の記録が人によってばらつく
どのようなAIの取り組み?
自律飛行ドローンとAI解析で、ダムの巡視・点検をどこまで置き換えられるかを実際のダムでの試験飛行で確かめたAI取り組み
業種
ダム管理(公共・公益事業)
取り組み領域
ダムの巡視・点検業務
使ったAI
自律飛行ドローン+AI画像解析
主な成果
試験飛行で基盤技術の有効性を確認(実証段階)
舞台となったのは、国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所が管理する小里川ダムです。この現場を検証フィールドとして、巡視・点検の高度化・効率化を目的に、自律飛行ドローンによる試験飛行が実施されました。使われた機体はセコムが開発した自律飛行ドローン「セコムドローンXX」で、自律飛行と遠隔監視、ドローンポートと連携した自動離着陸の機能を備えます。取得したデータの解析・評価、三次元データ処理、運用モデルの設計は、グループ会社のパスコが担当しました。取り組みの母体は、名古屋大学・岐阜大学・愛知工業大学、庄内川河川事務所、一般社団法人パブリックサービス、セコム、パスコが2025年11月に設立した中部ダム管理DX研究会です。検証の結果は論文にまとめられ、河川技術シンポジウムでの口頭発表と論文集への収録に至りました。
出典:報道資料 2026年度版 - 7月7日 - セキュリティ(防犯・警備)のセコム 発行元:セコム株式会社・株式会社パスコ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
ダム管理の現場が抱えていたのは、災害の激甚化・頻発化とインフラの老朽化、そして技術者不足が同時に進むという状況です。従来の巡視船や目視による点検手法には安全性と効率性の面で課題があり、省人化と高度化の両立が求められてきました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「人が足りない」という数の問題ではなく、省人化と高度化が本来は相反しやすいという構造にあります。人を減らせば見る目が減り、見る目を増やせば人手が要る。だからこそ、人を減らしながら従来より細かく見る、という一見矛盾した要求に同時に応えられる手立てが必要になっていたのではないでしょうか。従来手法の延長線上で工夫を重ねても、この矛盾は解けません。
どうやって、うまくいったのか
検証の設計でまず目を引くのは、実際に運用されているダムを検証フィールドに選び、学・官・産をひとつの研究会として組成したうえで臨んだ点です。名古屋大学をはじめとする大学が検証の妥当性を、庄内川河川事務所が実務側の要件を、セコムとパスコが技術を持ち寄る構図になっています。社会実装できるかどうかは技術の性能だけでは決まらず、管理者側が結果を実務の判断に使えると認めるかで決まります。実験室ではなく管理者のいる現場を舞台に据えた設計は、その合意形成を検証と同時に進める狙いだったと考えられます。
役割を「飛ばす側」と「使える形にする側」で切り分けた分担も、この検証の芯にあたる部分です。機体側は自律飛行、遠隔監視、ドローンポートと連携した自動離着陸という、人が張り付かなくても飛ばし続けられる条件を担い、データ側は解析・評価と三次元データ処理、さらに運用モデルの設計までを引き受けています。点検業務で本当に重いのは撮る行為そのものではなく、撮った後の判断と記録の部分です。この切り分けは、機体の性能検証で終わらせず、業務として回るかどうかまで射程に入れるための組み立てだったと読めます。
撮り方そのものを作り込んでいる点も見逃せません。のり面に正対して撮影する方式は、人の目視を機械でなぞるのではなく、後段の三次元解析や変状の検知に耐えるデータを取るために飛行計画の側から逆算した設計です。さらに、得られた成果を「小里川モデル」として標準モデル化し全国へ広げることを当初から掲げており、一度きりの実証で終わらせない前提が検証の組み方に織り込まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
試験飛行では、のり面正対撮影による広範囲かつ効率的な状況把握、自律飛行の安定性、取得データの実務への活用可能性を通じて、基盤技術の有効性が確認されました。ドローンを使ったダム点検の高度化・効率化という新たな手法の可能性が示された段階であり、その成果は論文として河川技術シンポジウムで口頭発表され、論文集にも収録されています。今後は飛行から撮影、データ蓄積、解析までを一体化した巡視の自動化と、三次元解析やAIによる変状検知技術の高度化が進められる予定です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、点検する対象物が動かず、毎回ほぼ同じ経路と同じ角度から繰り返し記録する種類の業務です。工場の屋根や外壁、貯槽、法面、長い構造物の外周など、人が近づきにくく、しかも見るべき場所が決まっている現場であれば、撮影位置を固定して比較できるという同じ考え方が効いてきます。
一方で、この事例をそのまま持ち込むのが難しい条件もあります。今回は実際に運用中のダムでの試験飛行であり、管理者との合意や飛行の安全確保が前提になります。屋内や狭所、風の影響が読みにくい環境では自律飛行そのものが成立しにくく、変状を見つける部分は今後さらに高度化を進める段階にあるため、判断を機械に任せきる想定は現時点では置きにくいでしょう。
手をつけるなら、いま現場で撮っている点検写真を数枚並べ、撮影位置や角度が毎回そろっているかを見比べるところから。そろっていないなら、機材を検討する前に撮り方を決めるほうが先です。
この事例は2025年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
セコム株式会社
自律飛行ドローン「セコムドローンXX」を開発したセキュリティ事業者。グループ会社に空間情報技術を持つ株式会社パスコ(本社:東京都目黒区)があり、両社で中部ダム管理DX研究会に参画している。
国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所
出典・参考情報
報道資料 2026年度版 - 7月7日 - セキュリティ(防犯・警備)のセコム
発行元:セコム株式会社・株式会社パスコ
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