実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.20
園児1人3か月2万字の保育記録を生成AIで要約する保育ICTの取り組み
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録や書類づくりに時間を取られている
- 過去の写真や記録を探すのに手間がかかる
- 事務作業で現場に向き合う時間が削られる
どのようなAIの取り組み?
センサーと生成AIで保育記録の作成・検索を支え、保育者の事務負担軽減に取り組んだAI取り組み
業種
保育施設(介護・福祉)
取り組み領域
保育現場の記録・書類作成業務
使ったAI
保育AI™(生成AI・画像チェック・体動センサー)
主な成果
「すくすくレポート®」は約5か月で600施設以上が申し込み
ユニファが提供する保育総合ICTサービス「ルクミー」は、登降園や検温、睡眠、食事、排便といったこどもの情報と「ルクミーフォト」で撮影した写真を自動で集約し、帳票や連絡帳へ転記します。午睡の見守りではセンサーが体動を検知し、アプリが体の向きを自動で記録します。さらに「保育AI™」として、連絡帳やおたよりの文章作成を支援する「たよれるくん」、写真の写り方の偏りを見る「ばらつきチェック」、目視確認を補助する「センシティブ写真チェック」を用意。2025年3月には、過去の記録から期間ごとの成長を要約する「すくすくレポート®」の先行利用募集を始め、2024年10月からはこども家庭庁の公募要領に基づく生成AIの実証実験を自治体の保育施設で進めています。この一連の取り組みが、日本生産性本部の「日本のサービスイノベーション2025」に選出されました。
出典:保育総合ICTサービス「ルクミー」、「日本のサービスイノベーション2025」に選出|ユニファ株式会社 発行元:ユニファ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
保育者の仕事は、登降園の管理、午睡時の見守り、保育日誌や保育計画の作成、保護者や自治体へ提出する書類づくり、シフト管理と広い範囲に及びます。しかも記録の量そのものが大きく、園児1人あたり3か月で約2万字の書類と600枚を超える写真が積み上がるという概算が示されています。
ここで見落とされやすいのは、負担が「書くこと」だけでは終わらない点です。書いた記録は連絡帳や帳票、保育計画、要録へと形を変えて再び使われ、そのたびに転記と探索が発生します。編集部の見立てでは、困りごとの本質は記録の多さそのものではなく、せっかく蓄えた記録が探しにくい形で眠り、次の保育に還元されないまま保管物になっていた構造にあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
登降園や検温、睡眠、食事、排便といった日々の情報と撮影した写真を、同じ仕組みの中で自動的に集約し、帳票や連絡帳へ転記する構造が土台に置かれています。書き残す作業と別の書類へ書き写す作業を切り離さず一本化した設計は、入力の手間を減らすと同時に、あとから機械が扱える形でデータが残ることを意味します。生成AIによる要約や写真の検索が後から成立したのは、この「最初から構造を持たせて溜める」順序を守ったからだと考えられます。
AIの役割を、保育者の判断を置き換える方向ではなく、その手前と後ろを支える位置に限定した切り分けも効いています。文章作成を支援する「たよれるくん」、写真の偏りを見る「ばらつきチェック」、目視確認を補助する「センシティブ写真チェック」は、いずれも最終判断を人に残したまま、下書きと確認の手間だけを引き受ける形です。保育者の想いがあってはじめて保育が成り立ち、AIはアシスタントに徹するという前提をサービス側が言葉にして示している点も、この役割分担と一貫しています。現場での受け入れやすさに関しては、個々の機能の賢さよりも、この線引きの明快さのほうが大きいはず。
膨大に溜まった過去の記録から、指定した期間ごとの成長を要約し、印象的な出来事を可視化する「すくすくレポート®」は、記録が溜まる仕組みが先にあったうえで重ねられた層です。先行利用施設を募って対象を限りながら出し、生成AIについてはこども家庭庁の公募要領に基づく実証実験を岩手県北上市、神奈川県横須賀市、東京都狛江市の保育施設で進めるという二段構えは、こどもの記録という慎重さが求められる領域で全面展開を急がない進め方の一例といえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
「ルクミー」シリーズの導入は累計20,000件超、全国70か所以上の自治体に広がっています(2024年9月時点、自社調べ)。2025年3月10日に先行利用の募集を始めた「すくすくレポート®」には、約5か月で600施設以上の申し込みが集まりました。日本生産性本部の「日本のサービスイノベーション2025」では、DXと生成AI活用によって保育者の業務効率化と保育の「質」の向上に貢献し、こどもと向き合う時間を増やす利用価値の共創を実現している点が評価されています。生成AIの実証実験は現在も進行中の段階です。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、日々の記録が絶え間なく発生し、その記録を後から探して別の書類や計画に作り替える工程がある仕事です。介護、医療、教育、店舗運営など、現場の観察や対応履歴が資産になる領域では、要約や検索の前段として「どの情報を、どの形で残すか」を決めておくだけでも効きます。逆に、記録が紙のノートや個人の端末に散らばり、書き方が担当者ごとに違う状態では、AIに要約させても元データの粒度が揃わず、期待した精度は出にくくなります。
もう一つの分かれ目は、扱う情報の性質です。この事例のように、こどもの写真や個別の記録といった慎重な取り扱いが必要な情報を含む場合は、外部に出してよい範囲と、人が必ず確認する箇所を先に決めておく必要があります。まずは直近1か月で「過去の記録を探した場面」を一つ思い出し、どこを何回開いたのかをたどってみてください。その道筋そのものが、自社で自動化すべき場所を教えてくれます。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
ユニファ株式会社
保育・育児関連の社会課題解決を目指すChildcare-Tech領域のスタートアップ。保育AI™を中心とした技術を活用し、保育総合ICTサービス「ルクミー®」を開発・提供する。「スマート保育園®・スマート幼稚園®・スマートこども園®」構想を掲げ、2021年にJ-Startup、2023年10月にJ-Startup Impactへ選定。2023年2月設立の一般社団法人こどもDX推進協会の理事も務め、2025年8月には経済産業省主催「日本スタートアップ大賞2025」で審査委員会特別賞を受賞。代表取締役CEOは土岐泰之。
保育施設(岩手県北上市・神奈川県横須賀市・東京都狛江市ほか)
出典・参考情報
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