実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.20
商業施設の転倒検知をAI映像解析で、カメラ9台に絞り込んだ警備の高度化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 高齢のお客様の転倒が心配
- 警備の人手と人件費が重い
- カメラの目視確認に頼りきり
どのようなAIの取り組み?
行動認識AIによる映像解析で転倒やふらつきを検知し、商業施設の警備体制を高度化したAI取り組み
業種
ショッピングセンター運営・ビル管理(不動産)
取り組み領域
施設警備・来館者の安全管理
使ったAI
MIMAMORI AI(骨格推定による行動認識AI・映像解析)
主な成果
エスカレーター・エレベーター付近で大きな怪我につながるトラブルの減少を実感
東京都荒川区の町屋駅に直結するショッピングセンター「サンポップマチヤ」を運営する株式会社サンポップは、来館者の高齢化にともなう転倒事故のリスクと、警備人員の不足および人件費の上昇という二つの圧力に向き合っていました。同社は2021年からNTT東日本のクラウド型カメラサービス「ギガらくカメラ」を使って施設管理体制を強化しており、2024年9月からは、その映像を人の姿勢や動きから解析する行動認識AI「MIMAMORI AI」の実証実験に着手します。約5カ月かけて検知精度と検知条件を詰めたうえで、2025年6月、エスカレーターやエレベーター付近を中心にカメラ9台分での運用を決めました。転倒やふらつき、異常な行動を自動で捉え、警備員へ即時に通知する仕組みです。
出典:サンポップマチヤさま:安全・安心を守る新たな挑戦「MIMAMORI AI」と人が創る次世代の施設運営|導入事例|法人のお客さま|NTT東日本|導入事例|法人のお客さま|NTT東日本 発行元:NTT東日本
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
杖をついて来館する人が増え、常に動き続けるエスカレーター付近ではバランスを崩しやすい。エレベーターの利用を促しても、動線や利便性の問題から思うようには進まない。当時の体制は、警備員が防犯カメラの映像を確認しながら定期的に巡回し、転倒などが起きた際は発見した従業員や店舗からの連絡を受けて駆けつけるという、人の目と経験に支えられたものでした。
編集部の見立てでは、この施設が抱えていた困りごとの核心は「監視の量が足りない」ことではなく、異常の発見が誰かの気づきという偶然に左右されていた点にあります。危険が生じやすい場所はエスカレーター周辺だとすでに分かっているのに、その瞬間に人が居合わせるかどうかは運任せになる。だからこそ安全水準を上げようとすれば人を増やすしかなく、人件費の高騰と正面からぶつかる。安全とコストが二者択一になってしまう構造こそが、見直しを迫った本当の要因だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、当初2カ月の予定だった実証実験を約5カ月まで延ばし、自館の映像で条件を詰め切った進め方です。2024年9月から実際の館内カメラの映像をリアルタイムに解析し、3週間に1度の打ち合わせで情報を交換しながら、検知条件の調整と運用フローの確認を重ねています。過剰に反応すれば運用が回らず、見逃せば意味がない——この兼ね合いは人の流れや設備配置によって施設ごとに違うため、製品仕様の精度だけでは判断できません。現場の意見を反映させながら検証を続けたことが、その施設固有の最適点を探る作業になっていました。
もう一つは、施設全体で約110台あるカメラのうち、重要性の高い9台に絞り込んだ設計です。設置位置や台数、検知エリアの設定を個別に検討し、対象をエスカレーターとエレベーター付近というリスクが集中する場所に限定しています。全台へ一気に広げず、すでに稼働しているカメラ資産の上に解析機能を重ねる形を選んだことで、投資も運用負荷も抑えたまま、最も守りたい場所の守りを厚くできた。守備範囲を狭めることが結果的に実効性を高めた例だといえます。
AIの担当範囲を「検知して通知する」ところまでに切り分けた点も見逃せません。異常かどうかの最終判断と、駆けつけて声をかける対応は引き続き人が担います。判断を機械に委ねない切り分けだったからこそ、警備スタッフにとっては仕事を奪う存在ではなく、目の届かない場所を補う道具として受け止められたと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現場の警備スタッフからは、異常があればすぐに通知を受けて駆けつけられる点を心強いとする声が上がりました。初動対応の迅速化が期待できるようになり、心理的な負担の軽減にもつながっています。導入後はエスカレーターやエレベーター付近で大きな怪我につながるトラブルが減ってきている、という手応えも語られています。警備員の負担が軽くなった分、これまで以上に館内を巡回し来館者へ声をかける時間が増えたことも変化の一つです。今後については、夜中0時まで続く警備を23時30分までに短縮できれば働き方改革につながるとの期待や、住宅フロアの郵便受け付近での防犯活用も視野に入っています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、すでにネットワークカメラを設置していて映像が一か所に集まっており、なおかつ危険が生じやすい場所がある程度絞り込める施設です。エスカレーターの乗降口、段差、駐車場の出入口のように「ここで起きやすい」と現場が言い当てられるなら、少数のカメラから始めて効果を測りやすくなります。
一方で、通知を受けても駆けつけられる人がその時間帯にいない現場では、検知できても対応が追いつきません。リスクが建物全体に薄く分散している場合や、カメラの画角が人の姿勢を十分に捉えられない場合も、絞り込みの効果が出にくくなります。検知条件の詰め方次第で使い勝手が大きく変わる性質もあるため、短期間の試用で判断を急ぐのは避けたほうが無難です。
まず手をつけるなら、過去に転倒やヒヤリハットが起きた場所と時間帯を、いま設置しているカメラの画角と重ねてみるところから。重なりが多い場所が、最初の一台を選ぶ候補になります。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTT東日本株式会社
法人向けにネットワークやICTサービスを提供する通信事業者。クラウド型カメラサービス「ギガらくカメラ」と、そのオプションであるクラウド型異常検知サービス「MIMAMORI AI」を提供している。
株式会社サンポップ(サンポップマチヤ)
出典・参考情報
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