実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.25
カメラAIでネズミと虫を常時監視、月1回の点検に頼らない工場の衛生管理
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 月1回の点検では発見が遅い
- 現場の見回りに人手を取られる
- 対策の効果を客観的に示せない
どのようなAIの取り組み?
AIとセンサーカメラによるネズミ検知・捕虫器の自動撮影で、月1回の定期調査に頼っていた衛生管理をリアルタイム監視へ切り替えた事例
業種
ペストコントロール・環境衛生管理(生活関連サービス・その他)
取り組み領域
害虫・ネズミ対策/現場の衛生モニタリング
使ったAI
Pescle・Pescle Insects(AIとセンサーカメラによる画像監視)
主な成果
数か月かかっていたネズミの活動把握がリアルタイム検知に
食品や医薬品の工場などで異物混入や汚染を防ぐ「総合環境衛生管理」を手がけるアース環境サービスでは、ネズミや飛ぶ虫の発生状況を月1回の定期調査で把握してきました。同社名古屋支店の名古屋営業所・名古屋西営業所は、RYODENが提供するPescle(Rodents:ネズミ検知)とPescle Insects(飛翔虫監視)を導入し、AIとセンサーカメラでネズミの侵入を検知するとともに、捕虫器の状況を1時間ごとに自動撮影して捕虫数を把握する運用へ切り替えました。現場へ足を運ばなくても発生状況を映像で確認できるようになり、従来の目視調査やモニタリング調査と組み合わせる形で、害虫・ネズミ対策(ペストコントロール)の品質向上に取り組んでいます。
出典:リアルタイム監視とデータ証明(エビデンス)によるペストコントロールの革新 発行元:株式会社RYODEN
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
従来のモニタリングは、月1回の調査で捕虫シートを回収して虫を数え、種類を見分け、ネズミの餌の食べ跡や粘着トラップの状況を確認する形でした。得られるのはあくまで一か月分の結果であり、そこから侵入や発生のタイミングを推測するしかありません。早期に手を打とうとすれば点検回数を増やすほかなく、人海戦術になっていました。
編集部の見立てでは、困っていたのはデータの量ではなく、データが持つ時間の細かさだったのではないでしょうか。月次の数値は「起きたあとの記録」であり、発生した瞬間から対策までのあいだに必ず空白が生まれます。しかも食品工場や医薬品工場のように高い衛生水準が求められる現場では、防除をきちんと行ったという事実を客観的に示せるかどうかまでが業務の一部です。痕跡と推測に頼る方法では、発生の把握が遅れるだけでなく、対策が効いたことの説明にも根拠が残りにくかったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
観察の対象を「痕跡」から「その瞬間の映像」へ置き換えた設計が、この取り組みの起点になっています。ネズミは警戒心が強くトラップ類に容易に近づかないため、喫食状況や粘着トラップ、ラットサインと呼ばれる痕跡から動向をたどる方法では、把握までに数か月を要することもありました。センサーカメラとAIによる検知は、この「痕跡を見つけてから推測する」という手順そのものを省く発想であり、時間のかかっていた工程を迂回した点に意味があります。
映像を遠隔で受け取れる構成にしたことも、省力化を成立させた条件です。カメラを使う調査自体は以前からありましたが、従来のトレイルカメラは映像を確認しに現地へ出向く必要があり、天井裏のようなアクセスの難しい場所では、カメラを置いてもなお点検の負担と労働安全上のリスクが残りました。撮影と伝送を切り離さずに設計したことで、はじめて「行かずに見る」が成り立ったと言えます。
従来手法を置き換えず併用する運用も、見逃せない工夫です。自動撮影から読み取れるのは捕虫数とおおよその種類までで、正確な同定は担当者や専門検査員が担う領域として残されています。速さはリアルタイム監視に、精度は人の分析に割り当てるという役割分担が、判断の質を落とさずに初動を早める形につながりました。さらに、誤検知の低減、捕虫サイズの判定機能、防水機能の強化、画面の使いやすさといった現場からの要望が開発側へ渡り、ハードウェアとソフトウェアの両面で改善が続けられています。使う側の気づきが製品に戻る経路が確保されている点は、道具を入れて終わりにしない仕組みとして働いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
ネズミについては、侵入の動向をリアルタイムで検知できるようになり、従来数か月かかっていた活動の把握が迅速になりました。映像という客観的な証拠が残ることで、対策の有効性をより明確に示せるようになった点も効果として挙げられています。アクセスの難しい場所でも安全に調査できるようになり、作業員の負担軽減にもつながりました。飛翔虫では1時間ごとの自動撮影により発生タイミングの特定が可能になり、毎日のように捕虫器を確認していた工場スタッフの業務負担も軽くなっています。
うちでも使える?
この進め方が生きるのは、いつ起きたかが対策の質を左右し、しかも対象が決まった場所に現れる業務です。定点に置いた機器を人が定期的に見に行っている作業、そして点検の記録が「確認した日」の記録にとどまっていて「起きた日」が分からない作業は、監視を常時化する余地があります。一方で、対象が定まった場所に現れない、映像では種類や状態まで判別できない、あるいは月次の集計でも判断が間に合う業務では、常時監視に投資しても得られるものは限られるでしょう。この事例でも正確な同定は人が担っており、AIの判定だけで完結させない前提が置かれています。誤検知をどこまで許容し、誰が最終判断するかを先に決めておかないと、通知が増えただけという結果になりかねません。
まず試すなら、直近1か月の点検記録を開いて、異常を確認した日付と、実際に発生していたと推定される日付を並べてみることです。その差が何日あるか。そこが常時監視で埋められる幅の目安になります。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社RYODEN
ペストコントロール向けのリアルタイム監視サービス Pescle(Rodents:ネズミ検知)および Pescle Insects(飛翔虫監視)を提供し、導入先からのフィードバックをもとにハードウェア・ソフトウェア両面の機能改善を行っている企業。
アース環境サービス株式会社
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