実施 2026.06 ・ 更新 2026.08.25
商業施設の警備、AIの侵入検知と同時に自動音声で初動を約5分短縮
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 広い建物で駆けつけに時間がかかる
- 立ち入り禁止エリアの見張りが手薄
- 警備の人手が足りず負担が重い
どのようなAIの取り組み?
既設の防犯カメラ映像を解析するAIと館内スピーカーを連携させ、立ち入り禁止エリアへの侵入を検知と同時に自動音声で注意喚起し、初動対応を約5分早めた商業施設の警備AI取り組み
業種
複合商業施設運営(不動産)
取り組み領域
施設警備/防災センター
使ったAI
行動認識AIの警備システム「AI Security asilla」+IPスピーカー連携
主な成果
注意喚起までの時間を約5分短縮
大阪・梅田の複合商業施設「HEP FIVE」で、警備システムを手がけるアジラの行動認識AI「AI Security asilla」と館内のIPスピーカーをつなぐ運用が、検証段階から本格運用へ切り替わりました。対象となったのは、立ち入り禁止の制限区域と、フロアごとに異なる営業時間の外に人が入ってしまう場面です。既設の防犯カメラ映像をAIが解析し、侵入を検知した瞬間に現場のスピーカーから自動音声を流して注意を促します。1階の防災センターから該当場所まで警備員が向かうには通常およそ5分かかっており、その間の第一報をAIが肩代わりする設計です。取り組みはアジラと、施設を手がける阪急阪神不動産が共同で進めてきました。
出典:大阪梅田のランドマーク「HEP FIVE」がAI Security asillaとスピーカー連携を正式運用〜AIが検知と同時に第一報する「スマートな警備運用」を実現、初動対応を約5分早期化〜 発行元:株式会社アジラ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
HEP FIVEは若年層を中心に来館者が多く、制限区域への立ち入りや、フロアごとに営業時間が異なることで生じる誤侵入をどう防ぐかが、運営上の重要な論点になっていました。従来は事象を確認したうえで防災センターから警備員が現場へ急行する流れで、館内が広いぶん到着までに時間を要し、その往復自体が警備員の負担にもなっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの中心は「異変に気づけないこと」ではなく、気づいてから人が現場に立つまでに空白の時間が必ず生まれる、という構造のほうにあったのではないでしょうか。カメラも防災センターも整っており、監視の目は届いている。それでもトラブルの芽が育つ余地が残るのは、確認と到着のあいだに誰も声をかけられない数分が挟まるからです。館内の距離と動線が変えられない以上、人員を増やしても縮められる幅にはおのずと限界があります。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、AIに任せる範囲を「発見と同時の第一報」だけに絞った切り分けだと考えられます。asillaは検知した事象の判断や、その後の対処まで引き受けるわけではなく、現場のスピーカーから自動音声で注意を促すところで役割を終え、確認と実際の対応は従来どおり警備員が担います。声をかけるという行為自体は、人が到着していなくても成立する。この一点を見抜いて機械側に渡したことが、警備体制そのものを組み替えずに空白時間へ手を入れることを可能にしたのではないでしょうか。
対象を制限区域と営業時間外フロアという二つの場面に限定した設計も、実運用に耐える条件を整えています。どちらも「そこに人がいてよいか」の基準が場所と時間で機械的に決まるため、検知結果をそのまま自動音声の起動につなげても判断がぶれにくい。自動で音声が流れる仕組みは、誤って作動すれば来館者の体験を損ないますが、ルールが明快な場面に絞り込めば、そのリスクを抑えたまま自動化の利点だけを取り出せます。
もう一つ注目したいのは、既設の防犯カメラをそのまま入力に使い、出力先として館内のIPスピーカーを接続した構成です。設備を新たに敷き直すのではなく、現場にすでにある「見る装置」と「伝える装置」のあいだにAIを挟む発想であり、施設側の投資判断のハードルを低く保ちます。加えて、いきなり全館へ広げず館内の複数箇所で連携の実証を重ね、抑止策として実効性があると確認できてから正式運用へ移した段取りも、この種の自動化を現場に根づかせる順序として理にかなっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
館内の複数箇所で重ねた検証により、自動注意喚起が実効性の高い抑止策になることが確認され、スピーカー連携は正式な運用に移りました。防災センターから現場まで通常およそ5分を要していた第一報をAIが検知と同時に代行することで、注意喚起までの時間を約5分短縮できるようになっています。アジラと阪急阪神不動産は、警備員の負担軽減と即時性の高い警備運用の両立を目指しており、「阪急西宮ガーデンズ」やHEP FIVEでの実績をもとに、同社が手がける他施設への導入拡大を進める方針です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、監視カメラがすでに入っていて、かつ「その場所に人がいてよいかどうか」が区画や時間のルールで明確に決まる現場でしょう。工場の立入制限区域、営業時間外のテナント区画、機械まわりの安全柵の内側などは、判定条件が単純なぶん自動音声との相性がよいと考えられます。反対に、その場の様子から危険かどうかを人が読み取って判断するような場面では、自動で音声を流す仕組みは扱いが難しくなります。声かけが空振りしたときの気まずさは相手側に残るため、誤作動の許容度が低い場所ほど慎重な設計が求められます。
まず試すなら、自分の現場で「気づいてから人が着くまで何分かかるか」を、実際に一度歩いて測ってみるところから。その数分の中身が声をかけるだけで足りるのか、人の目視確認が欠かせないのかを見極めれば、機械に渡せる範囲の輪郭が見えてきます。
この事例は2026年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社アジラ
行動認識AIをベースとした各種プロダクト・ソリューションの開発・提供を行う企業。既存の防犯カメラ映像をAIが24時間365日解析し、異常行動や注意行動を検知するAI警備システム「AI Security asilla」を展開している。
阪急阪神不動産株式会社(HEP FIVE)
出典・参考情報
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