更新 2026.08.24
AI-OCRとRPAで入力作業を約8割削減、自治体の紙業務自動化が広がる背景
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 紙の書類の入力に人手を取られている
- 職員が減っても事務量が減らない
- 手入力の転記ミスが怖い
どのようなAIの取り組み?
AI-OCRとRPAの組み合わせで、紙帳票の入力作業時間を約8割削減した自治体のAI取り組み
業種
市町村行政(公共・自治体)
取り組み領域
窓口・事務の入力業務
使ったAI
AI-OCR(文字認識AI)+RPA
主な成果
入力作業時間を約8割削減(岩手県久慈市)
NTT東日本が公開する法人向けの導入事例一覧には、自治体が紙の帳票の入力作業をAI-OCR(紙の文字をAIが読み取る仕組み)で自動化した事例がいくつも並んでいます。岩手県久慈市はAI-OCRとRPAを組み合わせて入力作業時間を約8割削減し、茨城県大子町は職員数減少による業務負担増への対応として紙帳票の入力業務を自動化しました。福島県福島市はマイナンバーに対応したAI-OCRとRPAの連携で介護保険業務を効率化。埼玉県川口市は自治体専用ネットワークであるLGWANに対応したAI-OCRを導入し、利用を16の課へ広げながら庁内業務の内製化を進めています。いずれも職員規模301人以上の自治体で、ICT・クラウド活用の枠組みのもとで実施された取り組みです。
出典:導入事例|法人のお客さま|NTT東日本 発行元:NTT東日本
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
一覧に並ぶ自治体の事例には、共通した書き出しがあります。茨城県大子町は職員数減少による業務負担増への対応として、岩手県久慈市も職員減少が進むなかでの業務効率化として、この取り組みを位置づけています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「入力する紙が多いこと」そのものではありません。行政の事務は、住民から届く申請の様式も、処理しなければならない期限も、自治体側の都合では減らせない構造にあります。人が減れば仕事も減る民間の一部業務とは違い、人員が細っても総量は同じだけ残る。だからこそ、負担を減らす手立てが「人を増やす」以外の方向に向かわざるを得なかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
読み取りと入力を別々に考えず、AI-OCRとRPA(画面操作を自動で再現するソフト)を対にして扱った構成が効いていると考えられます。紙をデータ化するだけでは、そのデータを既存の業務システムへ打ち込む作業が職員の手元に残ります。福島県福島市の事例がAI-OCRとRPAの連携として説明されているように、読み取りから入力までを一続きの流れとして設計したことが、削減の実感につながる形をつくったのでしょう。
行政側の制約に合わせた提供形態も見逃せません。埼玉県川口市ではLGWAN対応、福島市ではマイナンバー対応という前提が明記されています。自治体の事務は扱う情報の性質上、外部ネットワークへ自由にデータを出せません。この制約を満たす形が用意されていなければ、どれほど読み取り精度が高くても検討の土俵にすら上がらなかったはずです。技術的な性能ではなく、使える場所を先に揃えた点が実装の可否を分けたと見ています。
広げ方にも特徴があります。川口市は入力業務の自動化を16の課へ拡大し、庁内業務の内製化へとつなげました。一つの業務で手順の型をつくり、それを他部署が自分たちで再現していく進め方は、業務ごとに外部へ依頼を重ねるやり方と比べて、庁内に運用の知見が残ります。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
岩手県久慈市では、AI-OCRとRPAの活用で入力作業時間の約8割削減に至っています。埼玉県川口市は入力業務の自動化を16の課へ広げ、庁内業務の内製化と自治体DXの加速につなげました。福島県福島市では介護保険業務の効率化、茨城県大子町では紙帳票入力業務の自動化が実現しています。同種の取り組みが規模の異なる複数の自治体で成立している点は、この手法が特定の組織の事情に依存しにくいことを示す材料になります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、様式が決まった紙が繰り返し届き、その内容を既存システムへ転記している業務です。申請書、点検シート、注文票のように、書かれる場所と項目があらかじめ定まっているものほど、読み取り後の処理を自動化しやすくなります。逆に、届く書類の様式が取引先ごとにばらばらだったり、記載内容を見て担当者が例外判断を重ねている業務では、読み取れた先で結局人が止まるため、効果は限定的になりがちです。
もう一点、ここでの成立条件には情報の取り扱いルールが含まれます。自治体の事例が閉域網や個人番号への対応を前提にしていたように、機微な情報を扱う業務では、精度より先に「その環境で使えるか」が検討の入口になります。手始めとしては、直近1か月に届いた紙をそのまま積み上げて、様式が何種類あるかを数えてみる。種類が少ないほど、この方式との相性は良好です。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
NTT東日本
法人向けにフレッツ光などの通信回線、ひかり電話・クラウド電話、ICT・クラウド活用(AI・IoT、クラウドサービス、映像・防犯など)、情報セキュリティ、アウトソーシング・業務サポートを提供する通信事業者。自社サイトで業種・課題別に200件の導入事例を公開している。
岩手県久慈市、埼玉県川口市、茨城県大子町、福島県福島市
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