実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.21
AIの画像認識で薬の数量を同時確認、ミス防止と対話時間を生んだ薬局の工夫
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 確認しているのに数え間違いが起きる
- チェック作業に時間を取られている
- お客様と話す時間が確保できない
どのようなAIの取り組み?
AIの画像認識で複数の薬剤を一度に識別・計量し、調剤の数量ミス防止と患者との対話時間の確保につなげたAI取り組み
業種
調剤薬局(医療・ヘルスケア)
取り組み領域
調剤業務・調剤監査
使ったAI
audit-i(画像認識AIによる調剤監査システム)
主な成果
数量の誤りが減り、患者との対面時間を確保
広島県東広島市の調剤薬局「オール薬局ゆめモール西条店」(マイライフ株式会社)が、株式会社コンテックの調剤監査システム audit-i を使い始めた事例です。同薬局ではもともとバーコードを読み取る方式の監査システムを使っており、薬剤の取り違えは大きく減っていた一方、数量の誤りだけが残り続けていました。audit-i はAIの画像認識でトレイに置かれた複数の薬剤を一度に識別し、あわせて計量まで行います。導入前には現場の薬剤師が実機を試し、取り扱う薬剤の種類などから効果が出やすいと判断された同店に一台目が置かれました。薬をそろえる担当者と機械による二重の確認が日常業務として回るようになり、薬剤師が患者と向き合う時間の確保が進んでいます。
出典:オール薬局 ゆめモール西条店 - 数量・種類を同時に判別 調剤監査システム audit | 株式会社コンテック 発行元:株式会社コンテック
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
店舗ごとにヒヤリハットの件数を集計してきた同薬局が突き当たったのは、監査システムを入れても数量の間違いだけが減らない、という壁でした。バーコードの読み取りによって薬剤の取り違えはほとんど姿を消したのに、「いくつあるか」の誤りは以前とほとんど変わらないまま残っていたのです。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は注意力の不足ではなく、チェックの網の張り方そのものにありました。バーコードが答えられるのは「それが何の薬か」までで、数を確かめる工程は人の目と手に置き去りにされていた。しかも数量の確認は、丁寧にやるほど時間を食い、患者と向き合う時間を削っていきます。ミスを減らそうとするほど対人業務の余裕が痩せていく——この二律背反こそが、解くべき課題だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、複数の薬剤を一度に識別し、同時に計量するという処理の組み立て方です。現場には「薬剤の識別は一種類ずつやるもの」という前提が染みついていて、本部の責任者も一見ただの箱にしか見えない機器を前に半信半疑だったと語られています。それでも実際に複数の薬剤をまとめて精確に見分ける様子を体験したことで、仕組みへの納得が先に立った。監査のために作業を一種類ずつ分解し直す必要がないぶん、調剤の流れを止めずに確認だけを足せる構造になっています。
もう一つの要因は、機械の癖に人の動きを合わせにいった運用側の調整です。一度にたくさんの薬剤をトレイに載せるとエラーが出やすいと現場が気づき、違う薬剤はできるだけ離して置く、数が多いときは二回に分ける、といった置き方の工夫が生まれました。画像で見分けるAIの得手不得手を機器側の限界として抱え込まず、トレイの並べ方という現場の手数で解いた点が実務的です。この歩み寄りがあって初めて、確認は「速いまま精確」になります。
数量の誤りを「×」という形ではっきり返す表示も、監査を最終関門から手前のフィードバックへと性格を変えました。0402通知を受けて薬をそろえる業務を担うようになった事務スタッフにとって、それまで数量ミスは避けきれないものとして受け止められていた領域です。判定がその場で目に見えると、機械に見つけてもらう前に間違えないでおこうという意識が働き始める。人の代わりに確認する道具ではなく、人の手元の精度を引き上げる道具として設計が機能した、と読めます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
薬をそろえる段階と機械の判定という二重の確認が成立し、数量の誤りに対する現場の不安は目に見えて軽くなりました。ピッキングを担当する事務スタッフのミスも減り、患者の待ち時間短縮と薬剤師との対話時間の確保につながっています。薬剤師が調剤作業に割く時間が減った結果、対人業務の実績が問われる地域支援体制加算区分4の要件を満たす環境づくりにも寄与したと評価されており、同社は必要性を見極めながら他店舗にも広げていく方針を示しています。
うちでも使える?
応用が効きそうなのは、「何を」ではなく「いくつ」を人が目で数え続けている現場です。検品や仕分け、部材のセット組みのように、対象が定型的な形状で、限られた面積に並べて確認できる業務であれば、同じ発想を持ち込める余地があります。逆に、袋詰めや液体のように形が一定しないもの、一度に扱う量が多くて分割すると流れが滞ってしまう作業では、この事例のようにはいきません。装置は基本的に台数単位で入るため、一日に扱う件数や品目の幅によって効果の出方が大きく変わる点も、この事例で店舗を選んで一台目を置いた経緯がそのまま示しています。
まず試すなら、ミスの記録を「取り違え」と「数の誤り」に分けて数え直してみてはどうでしょうか。この薬局が新しい課題に気づけたのは、ヒヤリハットを集計し、種類ごとに減り方の差を見ていたからです。どの種類の誤りが手つかずで残っているかが見えれば、そもそも機械に任せるべき工程かどうかの判断が付きます。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
マイライフ株式会社(オール薬局ゆめモール西条店)
出典・参考情報
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