更新 2026.08.25
小規模保育園が保育記録をAI要約、新人職員が担う月1回の振り返り運用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録や書類づくりに追われている
- 振り返りの時間が取れない
- 記録が担当者の主観に偏りがち
どのようなAIの取り組み?
日々の記録をAIに要約させるレポート機能を活用し、入社1年目の職員を担当に据えて月1回の振り返りを習慣化した保育現場のAI取り組み
業種
小規模保育(介護・福祉)
取り組み領域
保育記録の作成・振り返り
使ったAI
保育AI「すくすくレポート」(記録の自動要約)
主な成果
AIの客観的な要約が保育の新たな視点につながった
埼玉県で小規模保育を営む保育室びおもすが、保育ICTサービス「ルクミー」の新機能「すくすくレポート」を使い、こどもの記録をAIに要約させる運用を始めた事例です。取り組みの中心にいるのは入社1年目の職員で、園長がデジタルに明るい若手を「すくレポ担当」に任命し、全クラス分のレポート作成を任せました。作成頻度は月1回、毎月最初の週に前月分を出力する形に固定されています。利用当初はレポートの内容が似通うという課題があったため、連絡帳だけでなくルクミーの個別日誌も読み込ませる運用へ切り替えました。AIによる要約は書類作成の負担を軽くする用途にとどまらず、保育者の主観から離れてこどもの行動を捉え直すための材料としても使われています。
出典:保育AIが導く「客観的な保育」とは?新人先生が担う、ICT活用による保育の質向上と負担軽減の両立|保育ICTの活用事例|ルクミー 発行元:ユニファ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
保育室びおもすでは以前から「働きやすさ」の向上を掲げ、事務作業にあてるノンコンタクトタイムの確保に努めてきました。それでも書類作成にかかる時間は重く、こどもの成長を記録して次の保育につなげるという肝心の振り返りに、十分な時間を割けない状態が続いていました。
ここで目を向けたいのは、困りごとの中心が作業量そのものではなかった可能性です。記録は毎日残されているのに、それを読み直して意味を取り出す工程だけが後回しになる。不足していたのは記録を書く時間ではなく、たまった記録を扱いやすい形にまとめ直す手間の受け皿だったのではないでしょうか。加えて、園長が自らを「アナログ世代」と位置づけていたことからも分かるように、ICTやAIの活用を園内の誰が引き受けるのかという担い手の空白が、着手を遅らせる要因になっていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
デジタルネイティブ世代で入社1年目の職員を「すくレポ担当」に任命し、全クラス分の作成を任せた体制づくりが、この取り組みの起点になっています。新しい機能を全員で少しずつ触る形にせず、役割を一人に寄せたことで操作の習熟が一箇所に集まり、運用が続くかどうかが個々の忙しさに左右されにくくなったと見ています。注目したいのは、園長がこの配置を「これからの時代に特化したICT・AIの活用を若い世代に託したい」「新人の自信や存在意義につながる」と説明していた点です。任せる側の意図が言葉にされているため、担当者にとっては押し付けられた雑務ではなく、自分の持ち場として受け取れる構造になっています。
毎月最初の週に前月分を出力するという頻度の固定も、定着を支えた設計といえます。振り返りは大切だと理解されていても、締め切りのない作業は目の前の保育に押し出されます。出力のタイミングをあらかじめ月初に決めてしまえば、実施するかどうかを毎回判断する必要がなくなり、判断の負荷そのものが消えます。
入力するデータを見直した点も見逃せません。利用当初はレポートの内容が似通うという課題が出ましたが、連絡帳だけでなく個別日誌も併用する運用へ切り替えています。出力が物足りないときにツールの性能を疑うのではなく、読ませている情報の側に原因があるのではと考えて手を打つ。この切り替えができたのは、使いながら調整する余地を最初から運用に残していたからだと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
個別日誌を併用する運用に切り替えて以降、少ない入力情報でも具体的に要約・分析が返るようになり、他の職員からも驚きの声が上がっています。保育者の主観が入りがちな個別記録に、AIのフラットな要約が加わることで、こどもの行動の意味を冷静に捉え直す材料が増えました。「よく一緒に写っている子」のキーワード機能では、これまで見ているようで捉えきれていなかったこども同士の関係性や興味の対象が、写真とテキストの連動によって可視化されています。
うちでも使える?
この事例の応用が効きやすいのは、日々の記録がすでにデジタルで蓄積されていて、しかも記録の書き手が複数いる業務です。介護や訪問支援、店舗の日報のように、一人ひとりの担当者が見た範囲を書き留めている業務では、書かれた内容をまとめ直して全体像を出す部分にAIの出番があります。
一方で、記録が紙のままだったり、チェック欄への丸付けだけで文章がほとんど残っていない場合は、同じ効果は期待しにくいでしょう。この取り組みでレポートの質が変わったのは、連絡帳に加えて個別日誌という別の記録を読ませたからで、そもそも読ませる文章の厚みがなければ出力も薄いままです。また、AIの要約はあくまで判断の材料であり、そこから何を読み取るかは現場の人が担う前提も外せません。
まず試すなら、いま社内にある記録のうち「書かれているのに読み返されていないもの」を1か月分だけ選び、要約させて何が浮かび上がるかを見てみる。担当を誰か一人に決めて月初に回す、という小さなリズムから始める手もあります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
ユニファ株式会社
保育施設向けICTサービス「ルクミー」シリーズやキッズリーを提供する企業。園の業務負荷軽減、保育の質・保護者コミュニケーション支援、園・施設の運営支援に関する機能を展開し、こどもの記録をAIが要約・分析する「すくすくレポート」を提供している。
保育室びおもす
出典・参考情報
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