実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.17
ヤマトコンタクトサービスのFAQ提案、生成AIで一致率85%まで高めたメール対応
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- FAQを増やしても検索で当たらない
- 同じ内容の問い合わせメールに毎日追われる
- 担当者ごとに回答の質がばらつく
どのようなAIの取り組み?
生成AIとベクトル検索を組み合わせ、FAQ提案の一致率を従来の約2倍となる85%まで引き上げた顧客サポートのAI取り組み
業種
コンタクトセンター・BPO(運輸・物流)
取り組み領域
顧客サポート/メール問い合わせ対応
使ったAI
OCI Generative AI・Oracle Database 23ai(生成AI/ベクトル検索)
主な成果
FAQ提案のマッチ率が従来の約2倍となる85%、メール問い合わせ対応の約20%を自動処理・抑制
ヤマトグループのコンタクトセンターとBPO業務を担うヤマトコンタクトサービスが、宅急便の配送に関するメール問い合わせ対応の効率化に取り組みました。使われたのは、日本オラクルの「OCI Generative AI」サービスと、ベクトル検索の機能を備えたデータベース「Oracle Database 23ai」です。問い合わせ文の意味をAIが読み取り、キーワード検索と意味検索を組み合わせて回答候補を即座に示す仕組みが構築され、顧客が使う問い合わせフォームのFAQ提案と、オペレーターが参照する社内向けFAQの双方で動いています。日本オラクルのコンサルティング・サービス部門は、提案段階からKPI(成果を測る指標)の設計までを担いました。自己解決できる問い合わせへのFAQ提案マッチ率は、従来の約2倍にあたる85%まで上がっています。
出典:オラクルの生成AIサービスでヤマトコンタクトサービスの顧客サポート業務を改善 | 日本オラクル株式会社のプレスリリース 発行元:日本オラクル株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
電子商取引の急速な拡大を背景に、荷物の配送状況を尋ねる連絡や、多様化するサービスへの要望が物流業界全体で増えています。ヤマトコンタクトサービスでも迅速で高品質な対応を安定して提供することが求められる一方、FAQのレコードが急増し、さらに物流特有の言い回しが検索精度に影響を及ぼしていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は問い合わせの件数そのものではなく、「答えはすでに社内にあるのに、その答えへたどり着けない」という状態が固定化していた点にあります。FAQを充実させるほど候補は膨らみ、顧客が使う言葉が少しずれただけで目的の一件が埋もれてしまう。ナレッジを積み上げる努力が、そのまま検索の難しさへ転化していたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
キーワードによる検索と、文章の意味をとらえる意味検索を並走させ、そのうえで属性による絞り込みを同時に効かせた検索設計が、この取り組みの核にあたります。物流の現場では、同じ状況を指すのに顧客ごとにまったく違う言い回しが使われます。意味検索だけでは候補が広がりすぎ、キーワード検索だけでは言葉のずれに弱い。サービスの種類やお客様属性でFAQをあらかじめ絞り込んだうえで両方の検索を重ねる構成は、この二つの弱点を互いに埋め合わせる狙いだったのではないでしょうか。
AIの役割を、回答の代行ではなく「FAQの提案」に置いた線引きも効いています。対象は自己解決が可能な問い合わせであり、AIが差し出すのはあくまで候補です。しかも同じ基盤が、顧客の使う問い合わせフォームと、オペレーターが参照する社内向けFAQの両方で動いています。顧客側で解決すれば問い合わせ自体が発生せず、それでも届いた分はオペレーターの手元で同じ検索の恩恵を受ける、という二段構えの設計になっています。
ナレッジが随時自動でAIへ蓄積・共有される流れを組み込んだ点も見逃せません。FAQ検索の精度は、作った時点ではなく運用のなかで静かに落ちていきます。新しい対応内容がAI側へ自動で回る仕組みを最初から抱き合わせたことが、精度を保ち続けるための前提条件になっていると考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
メール対応業務では、自己解決が可能な問い合わせに対するFAQ提案のマッチ率が従来の約2倍にあたる85%まで向上し、宅急便の配送で生じるメール問い合わせ対応業務のうち約20%をAIが自動処理・抑制する状態に至っています。ヤマトコンタクトサービスの代表取締役社長は、対応精度の向上、リードタイムの短縮、顧客体験の向上を挙げ、顧客対応システムの導入・運用コストに対する費用対効果の高さにも言及しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、答えがすでにFAQや手順書の形で社内にあり、問い合わせの相当部分が定型的な確認で片づく業務です。加えて、サービスの種類や契約区分のように、問い合わせを絞り込める属性を手元のデータで持てているかどうかが分かれ目になります。属性で候補を狭められるなら、意味検索の精度が多少揺れても実用に足る提案へ届きやすくなるためです。
反対に、配送状況の確認のように答えを定型化できる領域と違い、個別の事情を調べたうえで判断が要る問い合わせや、そもそも回答がFAQとして書き起こされていない領域では、同じ構成をなぞっても提案は当たりません。その場合はナレッジの整備が先に来ます。
まず試すなら、直近1か月に届いた問い合わせメールを何通か選び、既存のFAQだけで答えられるかを人の手で当ててみてはどうでしょうか。答えられるのに現場が手作業で返している分が、この事例でいう自動処理の候補にあたります。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日本オラクル株式会社
オラクル・コーポレーションの日本法人。データ・ドリブンなアプローチにより情報価値を最大化するクラウドサービスと、その利用を支援する各種サービスを提供している。東証スタンダード市場上場(証券コード:4716)、資本金250億3300万円。
ヤマトコンタクトサービス株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
