実施 2026.02 ・ 更新 2026.08.17
日野自動車が最高物流責任者を設置、営業・調達・物流を横断する体制づくり
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 物流の課題が経営に届かない
- 部門ごとの最適で全体が回らない
- ドライバー不足で納期が読めない
どのようなAIの取り組み?
経営トップ主導でCLO(最高物流責任者)を設置し、営業・調達・物流を横断でつなぐ体制づくりに取り組んだ事例
業種
トラック・商用車製造(製造業)
取り組み領域
物流・サプライチェーン(全社横断)
使ったAI
動態管理サービス「MOVO Fleet」
主な成果
CLO設置と経営会議のフラット化で部門横断の議論体制を構築
日野自動車は、トラック・商用車をつくるメーカーであると同時に、完成車も調達部品も日々動かす大きな荷主でもあります。ドライバー不足や2024年問題が重くのしかかるなか、同社は上場メーカーとして早い段階でCLO(Chief Logistics Officer:最高物流責任者)を置き、経営トップ主導の全社横断な物流改革に踏み出しました。CLOにはグループ会社である日野グローバルロジスティクスの社長を迎え、現在はSCM本部長との兼務で物流現場と経営をつないでいます。あわせて経営会議から副社長などのレイヤーを外して議論をフラット化し、CLOと営業・調達のリーダー3人を半年間の教育イベントへ同時に送り込みました。導入製品としては、車両の動きを把握する動態管理サービスMOVO Fleetが挙げられています。
出典:日野自動車株式会社|物流効率化事例|物流が最後に価値を生む――日野自動車 小木曽社長が CLO 設置で示した経営の意思 発行元:Hacobu
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
同社が向き合ってきたのは、車両の作り方ではなく、作った後の流れの問題です。顧客の要望を受けてベースとなるシャシ(車台)を組み上げるまでは3日ほどで済むのに対し、荷台などを取り付ける架装の工程には平均3カ月ほどかかり、物流のキャパシティがボトルネックになっています。ディーラーが商談で握っている情報には不確かな部分が残り、架装を担うメーカー側も、デジタル化が進んだ企業からアナログな管理を続ける企業まで幅があります。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は輸送力そのものの不足というより、判断に必要な情報が社内外に散らばったまま、誰の責任範囲にも収まっていなかったことにあります。経営の議論はどうしても製造と販売の数字へ向かい、物流はその間の隙間に落ちる。数字として見えにくい領域は現場の頑張りで吸収され、議題に上がらないまま固定化していったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
最初の一手は、CLOを理論に強い人ではなく、実際に物流を動かしてきた人から選んだ人選にあります。グループ会社である日野グローバルロジスティクスの社長に本社CLOを担ってもらい、現在はSCM本部長との兼務としています。役職だけを新設すると、現場の実態は報告書に整えられた形でしか経営に届きません。現場の長と経営の役職を一人に重ねた設計が、課題を見つけた瞬間にそのまま声が上がる経路をつくったと考えられます。
二つ目は、経営会議から副社長などのレイヤーを外し、ロジスティクスを正面から議論できる場に組み替えた、構造の側の変更です。物流の話は階層を一段上がるごとに要約され、現場の切実さは平準化された数字に置き換わりやすい。中間を減らしたこのやり方は、物流を大事にするという方針を、言葉ではなく組織の形そのもので示す方法でもあります。
三つ目に効いたのは、CLOと営業のリーダー、調達のリーダーの3人を、半年間にわたる同じ教育イベントへ一緒に送り込んだ進め方でしょう。会議体を増やすのではなく、同じ時間を長く共有する関係を先につくる。加えて、市場のニーズや受注という下流側から遡って流れを組み立てるトヨタ生産方式の発想を物流に当てはめたことで、どこに滞留が生まれているかを部門共通の物差しで語れるようになったと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
体制を組み替えたことで、課題や問題点が見つかればCLOからすぐに声が上がり、まず何をすべきかという議論がその場で始まる状態が生まれています。物流というテーマを軸に部門をまたいで話すうちに、自分の部門ではなく全体最適で考える空気が全社へ広がってきました。定量的な効果は今回の講演では語られていませんが、経営会議でロジスティクスを真正面から扱えるようになったこと自体が、改革の土台としての成果です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、物流や購買のように複数部門をまたぐ仕事があり、そのわりに全体を見る人が置かれていない企業です。責任者を一人立て、その人が現場の長を兼ねる形は、組織の規模が大きくなくても再現できます。一方で、この事例の難所の多くはディーラーや架装メーカーといった社外との情報連携にありました。取引先ごとに管理方法や書式がそろっていない領域では、社内に責任者を置くだけでは流れは変わらず、相手側と形式をそろえる交渉が並行して要ります。役職の新設だけが先行すれば、肩書きが増えただけで終わる危険もあります。
最初の一歩は、直近の経営会議で物流や間接部門の話題に何分割かれたかを振り返るところから。小木曽社長が語る「手触り感のある情報」、つまりロジカルなデータと現場の熱量をセットにして、4回、5回と経営層へ持ち込む。その1回目をいつやるかを決めてしまうのが、案外の早道ではないでしょうか。
この事例は2026年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
Hacobu
物流DXサービス「MOVO」(トラック予約受付のMOVO Berth、動態管理のMOVO Fleet、配車受発注・管理のMOVO Vista、AI-OCRのMOVO Adapter、共同輸配送支援のMOVO X-Data、AI発注・輸送最適化のMOVO PSIなど)を提供する企業。物流DXコンサルティングのHacobu Strategy、SI・AI導入支援のHacobu Solution Studio、物流特化型人材紹介のHacobu Careerも手がけ、Data-Driven Logistics(R)を掲げている。
日野自動車株式会社
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
