実施 2020.10 ・ 更新 2026.08.17
AIスタッフが飲食店の予約電話に応対、電話対応が月間8時間減った現場
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ピーク時に電話が鳴りやまない
- 予約の電話を取り逃している
- 電話対応で接客が中断する
どのようなAIの取り組み?
AIが電話で予約を聞き取り、予約管理システムへの自動登録まで担うことで、店舗の電話対応時間を減らした飲食店向けのAI取り組み
業種
飲食店(飲食サービス)
取り組み領域
電話予約の受付・応対
使ったAI
AI電話応対サービス(対話型音声AI)
主な成果
電話対応の時間を月間8時間削減した店舗もある
飲食店にかかってくる電話のうち、席だけを押さえる予約の受け付けをAIが担う仕組みが、予約管理システム「ebica」の付加サービスとして提供されています。AIスタッフ「さゆり」が客と会話しながら日時や人数を聞き取り、そのまま予約データとしてebicaへ登録します。満席の場合は別の時間帯や近隣の系列店の空席を案内し、コース予約や予約以外の問い合わせは、希望日時と空席を確認したうえで店舗へ転送するという切り分けです。開発を手がけたのはエビソルとLINE CLOVAで、2020年10月の提供開始から約2年半で、AIが応対した電話は累計200万件を超えています。
出典:AIレセプション | 【ebica】飲食店の予約・集客・インバウンド対応を一元化 発行元:株式会社エビソル
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前の店舗が抱えていたのは、かかってきた電話に出られないという状態でした。通常でも5本に1本、繁忙期には4本に1本を取り逃していた店があり、しかも営業時間中の電話の3分の1が、もっとも忙しいピークタイムに集中していました。コロナ禍で限られた人数で店を回さざるを得ない状況も重なり、「取れない電話を無くしたい」という切実な要望が現場から出ていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は電話の本数ではなく、電話と接客がまったく同じ資源を取り合う構造にあったのではないでしょうか。予約の電話は将来の売上をつくる仕事で、目の前の接客も同じく売上をつくる仕事です。どちらも人の手と耳を占有するため、店が混み合うほど、取りこぼしても気づきにくい側、すなわち電話が犠牲になっていく。人を増やす以外に逃げ道がないという点が、構造としての難しさだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
電話の用件を「席のみの予約」と「それ以外」に二分し、AIが会話で完結させる範囲を前者に限った設計が、この仕組みの土台にあります。席だけの予約は、日時・人数・氏名という決まった項目を埋めていく会話で、聞き取りが不確かでもその場で言い直しを促せます。一方、コースの相談や予約以外の問い合わせは店側の判断が必要で、会話の筋道も一定しません。前者だけをAIに任せる線引きが、自然な会話という難易度の高い要件を、実運用に耐える水準まで引き下げたと見ています。
転送する電話の扱いにも独自の工夫が置かれています。店へ回す前にAIが希望日時を聞き取り、空席があることまで確認したうえで転送し、そこまでに把握できた内容をebicaの画面に映し出します。登録済みの電話番号と一致した場合は、該当する客の情報も並んで表示されます。AIを人の代わりではなく、人に渡す前の一次受けとして位置づけた結果、転送された電話でもスタッフの聞き直しが減る組み立てになっています。
導入の敷居を低く保つ判断も見逃せません。050から始まる予約専用ダイヤルを別に設ける方法と、現在の番号を通信会社の転送サービス経由でそのまま使い続ける方法の二択が用意され、工事は不要です。忙しい時間帯はONにしてAIに任せ、余裕があるときはOFFにして直接電話に出るという切り替えも、店側の手元に残されています。任せる範囲を店が自分で調整できるようにしたやり方は、AIに不安が残る現場でも試せる余地をつくったのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
通常時は5本に1本、繁忙期は4本に1本の電話に出られていなかった店舗では、導入後に出られない電話がほとんどなくなりました。電話対応の時間を月間8時間削減した店舗もあります。現場からは、電話に使っていた時間を開店前の準備に回せるようになった、ピーク時に目の前の客へ集中できる環境が生まれた、予約内容に間違いがないという安心感がある、といった評価が出ています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、電話の用件が数種類に分類でき、聞き取った結果をそのままシステムへ書き込める業務です。予約はその典型で、日時・人数・氏名という決まった枠があり、結果は予約台帳という一つの受け皿に収まります。逆に言えば、この事例が成立しているのは予約管理システムが先にあるからで、実際にこのサービスの利用条件にもebicaの導入が含まれています。台帳が紙や個人のメモに散らばった状態では、AIが受けた内容を戻す先がありません。
一件ごとに事情が違い、聞き取った内容をその場で判断しなければならない用件は、そのままでは任せにくい領域です。この事例でコース予約が転送側に回されているのは、まさにその境界を示しています。まずは自店にかかってくる電話を思い返し、日時と人数、そして「はい・いいえ」で答えられるやり取りだけで終わる会話がどれくらいあるか、実際の応対を口に出して再現してみてはいかがでしょうか。
この事例は2020年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社エビソル
飲食店向けの予約管理システム「ebica」を運営する企業。ネット予約の一括管理、電話予約管理、POS/CRM連携などの機能に加え、AI電話予約応対サービス「AIレセプション(AIスタッフ“さゆり”)」を提供する。代表取締役は田中宏彰。グループ会社に株式会社Japanticket、親会社に株式会社ジャパンチケットホールディングスがある。
株式会社南国酒家、俺の株式会社、やきにく倶楽部
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