実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
暗記の定着をAI学習アプリに任せ、朝15分を授業化した公立中学校の授業づくり
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 覚える作業に時間を取られている
- 一人ひとりの進み方の差に対応できない
- 新しいツールが現場に定着しない
どのようなAIの取り組み?
知識の定着を学習アプリに切り出し、通常授業を対話の場へ組み替えた公立中学校のAI取り組み
業種
公立中学校(教育サービス)
取り組み領域
授業設計・朝の学習時間(知識定着)
使ったAI
Monoxer(記憶定着の学習アプリ)
主な成果
教員の業務を毎日1時間削減(効果実感の段階、直接的な効果検証は未実施)
神奈川県横浜市の市立中学校である横浜市立鴨居中学校では、記憶定着を支援する学習アプリ「Monoxer」(モノグサ株式会社が提供)を、中学1年から3年の主要5科目に加え、保健体育や家庭科でも使っています。コロナ禍で50分から45分に短縮された授業時間をあえて元に戻さず、その代わりに5分だった朝学習を15分へ延ばし、モジュール授業として教育課程に位置づけ直しました。知識の定着はアプリ側の学習に任せ、通常の授業は話し合いや表現に充てるという役割分担です。出題する範囲や優先順位は各教員が決め、教科ごとに予習・復習・その両方と用途を使い分けています。校内での活用は、学習指導部長を中心とした教員同士の働きかけによって広がりました。
出典:横浜市立鴨居中学校様 活用事例 「Monoxerで知識定着、授業を対話型へ|自由度が高まる学びのデザイン」 | モノグサ株式会社 発行元:モノグサ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この学校には2つの小学校から生徒が進学してきます。育ってきた環境が異なる生徒それぞれに合わせて知識を身につけさせつつ、同時に対話を通じて考えや表現を深めさせる。この2つをどう両立させるかが、学校側の抱えていた課題でした。加えて、一部の教員を除けば授業は講義形式が中心で、学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」からは距離のある状態が続いていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は授業時間の絶対量ではなく、性質の違う2つの活動が同じ45分を奪い合っていた構造にあります。知識の定着は、生徒ごとに必要な回数も速さも異なるため、一斉授業のなかで最も進度差が表れる部分です。その差を授業本体で吸収しようとする限り、教室は説明と確認に埋まり、対話に回せる余白は生まれません。時間を5分戻すかどうかという議論では、この構造は動かなかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、朝の学習時間を「授業」として位置づけ直した設計です。学校としては、時間割上の授業と呼ぶ以上、扱う内容が明確で、学べたかどうかを評価できる状態でなければなりません。生徒自身が「学べているか」を把握できる仕組みだった点が、朝15分を授業として成立させる根拠になりました。縮んだ教育活動を元の形へ戻すのではなく、教育課程そのものを組み直す方向へ舵を切ったことで、45分授業の据え置きと朝学習の拡張が一つの設計としてつながっています。
もう一つの要因は、出題する範囲と期間を教員側が握り、その中での進み方を生徒に委ねるという切り分けです。苦手なところまで戻って学び直す形の教材では、どの生徒をどこまで戻すべきかを教員が把握し続ける負担が残ります。範囲と期限だけを教員が決め、順番や速さは生徒が決める形にしたことで、管理の負荷を増やさずに自由進度学習に近い運用へ寄せられました。この自由度があるからこそ、理科では単元分をまとめて配信する反転学習、保健体育では次回授業の予習、家庭科では小テスト対策と、教科の事情に合わせた使い分けが同じ仕組みの上で成り立っています。
浸透のさせ方にも独自の工夫があります。新しいツールに負担増の印象を持つ教員がいることを前提に、学習指導部長が目的と趣旨を繰り返し伝える役回りを担い、教務主任が他校の good practice を集めて共有する。さらに、操作に迷ったときすぐ聞ける相手が同じ職員室にいる状態と、「まず全員が1つ作ってみる」という小さな入口を用意した点が実際の着手を後押ししました。現場の教員が、難しさは「作るまで」と「配信して以降」に分かれると言語化できていることも、つまずきの位置を組織で共有できている証拠です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
学校側は、直接的な効果検証はまだ行っていない段階だと明言しています。そのうえで実感された効果として、教科に応じた自由な授業デザインが可能になったこと、知識の定着をアプリに任せることで自由進度学習が成り立ち、通常授業を対話的なものへ変えられるようになったことが挙げられています。記事では効果実感の見出しとして、生徒の主体的な学習の実践と、教員の毎日1時間の業務削減も示されています。教科レベルでは、保健体育で以前は教え直しが必要だった知識の習得が進む感覚、家庭科で小テストの得点が保たれている状況が語られました。今後は、生徒がCBT形式の問題に慣れる訓練としての活用や、教員のカリキュラム・マネジメント強化が視野に入っています。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、覚えるべき範囲を管理側が線引きでき、正誤の判定が機械的に済む知識がまとまって存在する領域です。そうした知識が本体業務の時間を圧迫しているなら、切り出して別枠に移す発想は業種を問わず応用できます。一方、うまくはまりにくい場面もあります。この事例で問題を作っているのは各教員であり、何を覚えさせるかを決める工数は消えていません。範囲の設計そのものが難しい領域、あるいは判断の根拠が言葉になっていない領域では、切り出す先を用意する前段で止まります。時間割の組み替えや費用負担の調整といった制度面の決定が伴った点も見落とせず、現場の工夫だけで完結する話ではありません。
最初の一歩としては、この学校が取った「まずは全員が1つだけ作ってみる」という入口が参考になります。担当業務のなかで、覚えていないと毎回説明のやり直しが発生している事柄を一つ選び、設問の形にしてみる。作ってみて初めて、切り出せる知識と切り出せない知識の境目が見えてきます。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
モノグサ株式会社
記憶定着を支援する学習アプリ「Monoxer」を提供する企業。学校向けに、教員が出題範囲や問題をカスタマイズできる学習環境を提供している。
横浜市立鴨居中学校
出典・参考情報
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