更新 2026.08.17
授業動画から子どもの視線と顔の向きを読み取るAI、教育スタートアップの検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの見立てに頼りきり
- 勘や経験を数字にできない
- 動画に残る様子を活かせていない
どのようなAIの取り組み?
授業やインタビューの動画から子どもの視線と顔の向きを推定するAIモデルをつくり、認知特性の可視化を目指した検証に取り組んだ事例
業種
学習支援システム開発(教育サービス)
取り組み領域
サービス研究開発/認知特性の可視化
使ったAI
視線・顔方向を推定する動画解析AI
主な成果
2つのAIモデルを各1ヶ月ほどで作成
株式会社SPACEは、一人ひとりの認知特性や興味関心を客観的に測り、その人に合った学びの環境づくりにつなげるシステムの提供を目指しています。経験を積んだ教師でなければ読み取れなかった子どもの反応を、データとして扱える形にすることが狙いです。この取り組みで株式会社マクニカが担ったのは、オンライン授業の動画から相手の心理状況を読み解く技術を土台に、視線がどこへ向いているかを推定するモデルと、顔がどちらを向いているかを推定するモデルを用意することでした。2つのモデルはそれぞれ1ヶ月ほどで形になり、素材には子どもたちへのインタビュー動画が使われています。表情や目線をセンシングすれば、現場で暗黙的に認識されてきたパターンが見えてくるのではないか、という仮説を確かめる土台づくりの段階です。
出典:株式会社SPACE:オンライン時代の教育業界に一石を投じる ~AIとともにつくり育てる新たな学びの場~ - AI事業 - マクニカ 発行元:株式会社マクニカ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
子ども一人ひとりに合った学び方は、長年の経験を持つ教師であれば類推できます。ただし、そうした教師に出会えるかどうかは運に左右されます。特性の調査にはアンケート形式の診断テストが一般に使われてきましたが、表情や視線、体癖といった本人も自覚していないサインは、そこには乗ってきません。現場で子どもたちを見ていれば暗黙的にパターンを認識できても、それを理論として説明できるところまでは至っていない、という状態も語られています。
編集部の見立てでは、困りごとの中心は「読み取れる人が足りない」ことよりも、読み取った内容が読み取った本人にも説明できない形のまま個人の内側に留まり、他者と共有することも、正しさを確かめることもできなかった点にあります。説明できない知見は、増やすことも改良することもできません。だからこそ、まず観測して記録に残す仕組みが必要だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
心理状況という輪郭のつかみにくい対象を、視線方向の推定と顔方向の推定という、機械が測れる2つの量に切り分けた設計が起点になっています。動画に映る範囲で観測できる指標へ翻訳したことで、理論としてまだ説明できていない領域にも手をつけられる形になりました。データ量を増やせば大きな塊として見えてくるものがあるはずだ、という仮説は、こうして観測値が積み上がる前提があってはじめて検証の対象になります。
2つのモデルを、それぞれ1ヶ月ほどの単位に分けて用意した進め方も見逃せません。パートナー選定の基準には、限られた予算でクイックに進められることと、伴走してくれるパートナーシップの2つが挙げられていました。完成形を作りきってから現場に見せるのではなく、小さく作った結果を現場の感覚と突き合わせながら次を決める。当初AIに懐疑的だった現場主義の立場からすれば、この距離の詰め方は納得の順序だったはずです。
モデルの素材に子どもたちへのインタビュー動画を選び、人間の温かみを持ったモデルを目指した点にも、この取り組み固有の思想が表れています。教師や人事の側が評価するための道具ではなく、学ぶ側・働く側に寄り添う立場を取るという方針が、素材選びとモデルの性格づけにまで一貫して降りている構図です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
視線方向を推定するモデルと顔方向を推定するモデルが、それぞれ1ヶ月ほどで作成されました。この先は、行動指標や脳波などの生理指標、アンケート結果も重ね合わせ、学習のレディネス(学ぶ準備がどれだけ整っているかの状態)を把握していく方向が示されています。課題を抱える現場へ、コンパクトなソリューションをいち早く届けることが目標に据えられています。
うちでも使える?
熟練者が現場で見ている「サイン」が映像として残る仕事であれば、この考え方は応用の余地があります。鍵になるのは、読み取っている対象を視線の向きや顔の向きのように、機械が測れる単位まで分解できるかどうかです。分解できれば、まず観測値を貯めるところから始められます。
一方で、注意すべき点もあります。視線や表情と特性の関係は理論として整理されていない段階にあり、モデルが出す数値は、そのまま人の評価に使える答えではありません。数値を解釈する現場の目とセットでなければ意味を持ちにくい性質のものです。顔や視線といった身体に関わる情報を扱う以上、本人や保護者への説明と同意、保管ルールの整理も先に必要になります。
はじめの一歩としては、社内のベテランが判断のときに実際どこを見ているのかを、本人に一つだけ挙げてもらうこと。それがカメラや記録に残る対象かどうかを確かめるだけでも、測れる部分と測れない部分の境目が見えてきます。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:経営・企画
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
プロジェクト実施・導入企業
株式会社マクニカ
AIの技術検証から運用開始までの投資金額と期間を明確化したAI運用支援サービス「Re:Alize」を提供している。本事例では、視線方向の推定と顔方向の推定という2つのAIモデルの作成を担当した。
株式会社SPACE
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
