更新 2026.08.17
ユナイテッドアローズ、面接の引き継ぎをAI自動生成し準備を2〜3ヶ月前倒し
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 面接官によって評価がブレる
- 面接後の引き継ぎ作成に追われている
- 少人数で大量の応募者をさばいている
どのようなAIの取り組み?
面接内容の要約と志向性の可視化をAIが自動生成し、選考の評価軸と引き継ぎ工数の見直しに取り組んだ事例
業種
セレクトショップ運営(小売・流通)
取り組み領域
新卒採用/面接の申し送り・評価
使ったAI
harutaka AI(面接内容の自動要約・志向性の可視化)
主な成果
次年度の選考準備を例年より2〜3ヶ月前倒し
セレクトショップを展開する株式会社ユナイテッドアローズは、2026年の新卒採用から、面接内容をもとにAIが申し送りを自動生成する「harutaka AI」を選考に取り入れました。提供元は株式会社ZENKIGENで、2022年から採用DXサービス「harutaka」を利用し、2024年には内定者・辞退者への調査も共同で進めています。今回の取り組みで特徴的なのは、既製の機能をそのまま使うのではなく、自社の選考基準に合わせて申し送りの型を作り込む伴走支援を組み合わせた点です。申し送りは、就活の軸や企業の印象といった面接内容の要約と、自社が重視する6項目の志向性を星の数で表す部分の二本立て。一次・二次のオンライン面接で作られた内容が、最終の対面面接へ引き継がれる流れになっています。
出典:AIで、一人ひとりに向き合う選考を実現。引き継ぎの質向上×工数削減で応募者体験を高める | 採用DXサービス harutaka(ハルタカ) 発行元:株式会社ZENKIGEN
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
採用課のメンバーは4名。一次面接は繁忙期になると30分枠を1日最大12本こなし、その日の終わりにまとめて引き継ぎを書き起こす運用が続いていました。まとめて処理するぶん面接直後の記憶は薄れ、工数だけでなく引き継ぎの精度そのものにばらつきが出ていました。評価が面接官や選考段階によって変わる属人化、志向性が多様化する学生への個別の魅力づけが届かないこと。この2つも、長く抱えていた課題です。
編集部の見立てでは、3つの困りごとは並列に存在していたというより、面接で得た情報をその場で共通の型に沿って残す手段がなかった、という一点に行き着きます。記録が個人の記憶と文章力に委ねられていれば、残る情報の粒度は面接官ごとに変わり、後段の面接官は受け取った情報の濃淡から評価を組み立てるほかありません。評価のブレは、見る目の違いだけでなく、情報の残し方の違いからも生まれていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
出発点になったのは、細かく定義していた求める人材要件を、そのままAIに渡さなかった判断です。「どこが本当に見るべき要素なのか」「どんな発言がそこに紐づくのか」をZENKIGENと一緒に整理し直し、6項目の志向性と推奨する魅力づけの内容を要件定義書としてまとめています。既存の要件を網羅的に翻訳するのではなく、判断の軸を選び直してから機械に渡すという順序が、この設計の肝でした。
出力の精度を、現場のフィードバックで詰めていった進め方も見逃せません。要件定義書をもとに過去の面接データでAI出力のたたきを作り、それに対して「この発言ならこの志向性ではないか」「ここはこう表現したい」と細かく返し、納得できる水準になるまでサイクルを重ねています。何が正解の出力かを、ツール側ではなく使う側が定義した形です。現場が違和感なく参照できる状態は、この手間を先に払ったことの裏返しだと考えられます。
学生を一つのタイプに当てはめず、志向性の強度を星1〜4で表した設計も効いています。合否のような二値ではなく段階で示すため、譲れない要素は押さえながら、人それぞれの凸凹が消えずに残ります。しかも同じ要素を一次・二次・最終で見ているので、星の並びが揃う人とばらつく人が読み分けられ、ばらついた場合は面接官の引き出し方の影響を疑って録画を確認する、といった次の動作につながります。可視化を評価の答えではなく、確認すべき対象を絞る手がかりとして位置づけた設計と言えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
一次から最終まで面接官が同じ軸で学生を捉えられるようになり、評価のブレと面接官同士のすり合わせの負担が減っています。申し送りは面接官の評価と大きく食い違うことがほとんどなく、人の手で修正せずそのまま使える状態です。面接中にメモを取る必要がなくなったことで、記録より対話に時間を使えるようになり、この変化を工数削減以上に大きいと現場は受け止めています。空いた時間は次年度の選考準備に回り、28卒の準備は例年より2〜3ヶ月前倒しで進行。一方、個別の魅力づけは方向性を押さえた段階で、さらに磨き込む余地があると位置づけられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、選考が複数段階に分かれていて面接官の間で引き継ぎが発生し、かつオンライン面接などで面接内容が記録として残っている組織です。評価軸を言葉にできること、そして「この発言はこの要素に当たる」という判定を現場が返せることが前提になります。この事例でも、要件を選び直して出力を作り込む工程に相当な時間がかかっています。
逆に、面接が1回で完結して引き継ぎ自体が発生しない場合や、採用要件が担当者の頭の中にしかなく言語化の議論から始めなければならない場合は、同じ効果は見込みにくいでしょう。年間の面接数が少なければ、作り込みの手間が回収できない可能性もあります。
まず試すなら、直近の面接の申し送りを数件並べ、面接官ごとに書かれている項目がどれだけ違うかを見比べてみる。ばらつきの正体が目線の差なのか、書き残し方の差なのかが見えたところが、検討の入り口になります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ZENKIGEN
採用DXサービス「harutaka(ハルタカ)」を提供。面接内容をもとにAIが申し送りを自動生成する「harutaka AI」のほか、内定者・辞退者調査や、自社の選考基準に合わせた申し送り最適化の伴走支援を手がける。採用学を研究する ZENKIGEN.Lab の研究員が調査設計や議論に参加している。
株式会社ユナイテッドアローズ
出典・参考情報
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