実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.17
箱根の混雑を避ける旅行プランをAIが提案、観光協会とスタートアップの共創
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 特定の時間帯に人が集中する
- 混雑でお客様の満足度が下がる
- 持っているデータを活かせない
どのようなAIの取り組み?
道路の混雑予測データと旅行者の興味関心をもとに、混み合わない周遊ルートを複数提案するウェブサービスを共同開発し、無料公開した AI取り組み
業種
観光協会・DMO(宿泊・観光)
取り組み領域
観光案内/旅行プラン提案
使ったAI
旅行プラン提案AI(データ分析AI)
主な成果
混雑を避けた周遊ルートを提案するウェブサービスを無料で提供開始
神奈川県が主催するオープンイノベーション促進プログラム「BAK2024」の採択プロジェクトとして、東京大学発のAIスタートアップである株式会社イージーエックスと、箱根DMO(一般財団法人 箱根町観光協会)が、旅行プラン提案AIサービス「はこタビ」を共同開発しました。箱根DMOが保有する道路混雑予測データや観光客へのアンケートデータに、イージーエックス側のデータ分析・AI技術を掛け合わせ、混雑を避けた周遊ルートを複数提示する仕組みです。利用者が年齢層、出発地・目的地、日時といった属性と、グルメや温泉、芸術といった興味関心を入力すると、その人に合う観光スポットを巡るルートが返ってきます。公開は2024年12月9日正午。アプリのダウンロードは不要で、ウェブ上から無料で使えます。プログラムの運営業務は、神奈川県から受託した株式会社eiiconが担っています。
出典:【 神奈川県 BAK × eiicon 観光DX 共創事例 】箱根のオーバーツーリズム解消に向けた旅行プラン提案AIサービス「はこタビ」の提供を開始! | 株式会社eiiconのプレスリリース 発行元:株式会社eiicon
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
箱根は日本有数の観光地でありながら、交通渋滞によって観光客の満足度が下がってしまうという課題を抱えていました。せっかく訪れても、移動そのものに時間を奪われてしまう。観光地としての魅力とは別のところで、体験の質が削られていた構図です。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は訪れる人数の多さそのものではなく、限られた時間帯と限られた道筋に人の流れが重なってしまう「偏り」にあったのではないでしょうか。渋滞は道路側の現象に見えますが、成り立ちをたどれば、旅行者一人ひとりの「どこへ、いつ向かうか」という個別の判断が積み上がった結果です。道路を増やすことも、来訪を抑えるよう呼びかけることも現実的な打ち手にはなりにくく、残された道は旅行者の選び方そのものに働きかけることでした。混雑の見通しを組織として持ちながら、それを個々の旅行者の行動に翻訳する経路がなかったこと。そこが、渋滞という現象の下にあった本当の詰まりだったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
地域側にしか集まらないデータと、外部の分析技術を切り分けて持ち寄った分担が、この共同開発の起点になっています。箱根DMOが握っていたのは道路混雑予測データと観光客へのアンケートデータという、その土地で長く観光に関わってきた組織だからこそ蓄積できた情報でした。一方でイージーエックスが持ち込んだのは、それを扱うデータ分析・AI技術です。どちらか片方だけでは形にならない構図を、最初から役割として明示した点が効いたのではないでしょうか。
提案の出口を単一の正解ではなく複数のルートに置いた設計も、実運用を支える判断だったと考えられます。年齢層や出発地・目的地、日時といった属性に、グルメ、温泉、芸術といった興味関心を重ね、その人に合った観光スポットを巡る快適なルートを複数返す。混雑回避を掲げた仕組みは、ともすれば旅行者に我慢を求める方向へ傾きますが、この設計では「混まない道」を「自分の好みに合う旅程」の形に包み直しています。旅行者側の利得を先に置いたからこそ、行動を変えてもらえる余地が生まれました。
使い始めるまでの摩擦を削ぎ落とした点も見逃せません。ダウンロードを求めず、ウェブ上で無料で使える形にしたうえ、箱根DMOが運営する「箱根観光デジタルマップ」にも導線が置かれています。旅行中に思い立った瞬間に触れる状態を先に用意したことは、利用者からのフィードバックを受けて継続的に更新していくという方針とも噛み合う組み立てです。
具体的に、どんな成果が出たのか
推進したこと
この事例で出た成果
「はこタビ」は2024年12月9日正午に公開され、ダウンロード不要のウェブサービスとして無料で利用できる状態になりました。現時点で示されているのは提供開始までの事実であり、混雑がどれだけ緩和したか、満足度がどう変わったかといった数値はまだ公表されていません。今後は利用者からのフィードバックを踏まえた継続的なアップデートを重ね、箱根エリアでの周遊観光を促して満足度の向上と観光消費額の拡大につなげること、さらに将来的には他エリアへ展開することが目標として掲げられています。
うちでも使える?
応用が利きそうなのは、混雑や需要の偏りをある程度先読みできるデータが手元にあり、かつ利用者の側に時間や順番を選び直す余地が残っている場面です。商業施設の回遊、イベントの入場管理、予約制サービスの時間帯分散などは、この事例と構造が近いと言えます。逆に難しいのは、予測の材料が乏しい場合。箱根の取り組みは道路混雑予測データという既存の蓄積が前提にあり、これに相当するものを一から集める段階から始めるとなると、話の難易度は大きく変わります。もう一つの壁は、利用者が行き先や時刻を動かせない領域です。旅行のように立ち寄り順を入れ替えられる行動とは違い、通勤や通院のように到着時刻が固定された用事が中心の場面では、いくら良い代案を出しても選び直してはもらえません。
まず試すなら、手元の予約データや来店記録を一日の時間帯ごとに並べ直し、山と谷の差がどれくらいあるかを眺めてみるところから。谷の時間帯に寄せられそうな余地が見えるなら、この事例の考え方は検討に値します。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:帳票・紙の資料
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社イージーエックス
観光産業におけるAIを活用したDXサービスの提供等を手がける東大発のAIスタートアップ。代表者は代表取締役CEO 西村拓人。神奈川県のオープンイノベーション促進プログラム「BAK2024」の採択企業。
箱根DMO(一般財団法人 箱根町観光協会)
出典・参考情報
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