実施 2026.03 ・ 更新 2026.08.17
契約書レビュー時間を約3分の1短縮、富士フイルムHD法務部の文書エディタ活用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 契約書の表記チェックに時間を取られている
- 画面上で長い文書を確認するのがつらい
- 細かい見落としや修正漏れが怖い
どのようなAIの取り組み?
Word上で動く法務向けの文書エディタを使い、契約書レビュー時間を約3分の1短縮した取り組み
業種
化学(製造業)
取り組み領域
法務部門/契約書レビュー
使ったAI
法務向け総合文書エディタ(Wordアドイン)
主な成果
契約書レビュー時間を約3分の1短縮
富士フイルムホールディングスの法務部は、M&Aや組織再編、資本業務提携、各事業の開発・製造・販売・ライセンスに関する契約書の審査を担う約30名の組織です。同部では、表記揺れの有無、定義語や条項番号の整合性、数字やアルファベットの全角・半角の使い分けといった形式面の確認をすべて目視で行っており、ペーパーレス化で画面上のレビューが増えたことも負担になっていました。そこで、法務・法律専門家向けの総合文書エディタ「BoostDraft」を導入します。Wordのアドインとして動き、変更履歴の統一や表記揺れの修正、離れたページの定義語や参照条文のポップアップ表示などを担うツールです。部内全員が参加したトライアルを経て本導入に至り、契約書レビュー時間は約3分の1短縮されました。
出典:「BoostDraft」導入事例|富士フイルムホールディングス株式会社 発行元:BoostDraft.Inc
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
契約審査の現場では、表記揺れ、定義語や条項番号の整合、全角と半角の使い分けまでを目視で追う作業が積み上がっていました。M&A案件では知財・人事・経理・経営企画など多部門のコメントが重なり、変更履歴を整えて統合するだけでも大きな労力がかかっていました。在宅勤務の増加とペーパーレス化で画面上のレビューが主になり、長文契約でページを行き来するたびに元の位置を見失う、という別の負担も生まれています。
もっとも、編集部が本質だと見るのは作業量そのものではありません。形式を整える作業は「避けては通れない、受け入れるべき試練」であり、解決できる課題とは認識されていなかった、と当時の受け止めが語られている点です。つまり困りごとは、負荷が大きいことではなく、負荷が課題として言語化されていなかったことにあったのではないでしょうか。誰も改善要求を出さない領域は、どれだけ時間を食っていても改善の対象になりません。
どうやって、うまくいったのか
契約書の内容審査には踏み込まず、形式を整える作業だけを対象にした割り切りが、この事例の起点にあります。契約審査の時間の中には、法的リスクを読み解く判断と、表記揺れや定義語・条項番号を揃える確認という、性質のまったく異なる作業が混ざり合っています。前者は担当者の専門性そのもので機械に委ねにくく、後者は判断を要さないのに手間だけがかかる。この二つを切り分けて後者だけを引き受ける設計にしたことで、法務部門の側に「渡しても困らない領域」がはっきりしたと考えられます。
Wordのアドインとして動く実装形態も、導入の速さを左右した要素です。外部サーバーへ契約書をアップロードする必要がないため、機密性の高い文書を扱う部門でありながら、セキュリティチェックの社内手続きが軽く済みました。クラウドサービスのようにサービスの仕様へ業務フローを合わせ直す必要もなく、これまで通りWord上で作業できます。導入の壁を、機能の魅力で押し切るのではなく「変えなくてよいものを増やす」方向から下げた点が効いたと見ています。
紙で契約書を読むときの動作を画面上で再現するという発想も見逃せません。38ページ目で定義語に出会ったら冒頭へ戻り、法令の引用が出るたびにブラウザで検索する。そうした往復をポップアップ表示で断ち切る機能は、読み手の集中が切れる瞬間を正確に狙っています。運用面でも、部内全員でトライアルして反応を確かめたうえで本導入し、その後は使い方のルールを定めず各自が好みの機能から使う形をとっており、定着を号令ではなく個々人の実感に委ねたやり方になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
体感ベースでは、3時間かかっていた長文契約のレビューが2時間程度に、1時間の通常契約のチェックが45分程度になり、レビュー時間は約3分の1短縮されました。ポップアップやハイライトの活用で修正漏れも大きく減り、旧法令名「下請法」の表記が残っていた見落としに気づけた場面もあります。形式面を整える時間が減ったぶん、法令検討など専門性の高い業務に時間を回せるようになり、導入当初は部門の約半数だった利用者は現在ほぼ全員に広がっています。今後は他部門や海外拠点、契約書以外の書類への展開が検討されています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、Wordのような共通のフォーマットで文書をやり取りし、守るべき表記ルールがある程度決まっている業務です。規程類、申請書類、仕様書、社外向けの公式文書など、内容の良し悪しとは別に「揃っているか」を人が目で追っている領域なら、同じ切り分けが成立します。逆に、文書が紙や独自システムに閉じている場合や、そもそも表記ルールが人によって違う場合は、機械に任せる対象を定義できず効果が出にくいでしょう。契約の中身の妥当性を判断してほしい、という期待で導入すると、この事例とは別の話になります。
まず試すなら、次に手がける文書レビューを1件だけ選び、内容を考えていた時間と、体裁や整合を確認していた時間をおおまかに分けて記録してみてはいかがでしょうか。後者が思ったより大きいと分かった時点で、それは試練ではなく課題になります。
この事例は2026年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:バックオフィス・管理部門(人事・経理・法務)
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
BoostDraft.Inc
法務・法律専門家向け総合文書エディタ「BoostDraft」を提供。法務の現場を熟知した弁護士が開発したツールで、Wordのアドインとして動作し、契約書の内容審査ではなく形式面を整える作業の効率化に特化している。
富士フイルムホールディングス株式会社
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