実施 2025.12 ・ 更新 2026.08.17
不動産管理会社がAIで500職務を定義、2,000名のスキル可視化を推進
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社員がキャリアの見通しを持てない
- 職務の洗い出しに人手が足りない
- 作る人によって基準がぶれる
どのようなAIの取り組み?
AIで500ポジションの職務記述書を作成し、2,000名規模のスキル可視化を半年で進めた人材データ整備の取り組み
業種
建物管理・不動産管理(不動産)
取り組み領域
人事/職務と人材スキルの可視化
使ったAI
ジョブマネジメントシステム「Job-Us」(AIによるJD作成・スキル判定)
主な成果
半年で500ジョブのJD作成と2,000名のプロファイル構築が完了見込み
野村不動産パートナーズは、ビル・マンション管理から改修・リフォーム、データセンター管理までを手がける野村不動産グループの運営管理会社です。新しい経営計画の人事戦略として社員の自律的なキャリア形成を掲げ、その土台となるジョブ(職務)と人材の可視化に着手しました。使ったのは、ジョブマネジメントシステム「Job-Us」。総合職2,000名を対象に、500を超える社内ポジションのジョブディスクリプション(職務記述書、以下JD)をAIで作成し、職務経歴書などの情報からAIが保有スキルを判定する社員プロファイル機能で個人の能力レベルを可視化しています。並行して、JDを作る目的やAIの仕組みを説明するワークショップを社内で開き、現場の理解を得ながら進めました。
出典:野村不動産パートナーズ株式会社 様 | ジョブマネジメントシステム「Job-Us (ジョブアス)」 | お客様の声 発行元:Job-Us Inc.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
入社の魅力として掲げてきた事業領域の広さが、社内では逆に働いていました。ビル、マンション、データセンター、リフォームと本部が分かれているため、他部署が何をしているのかが見えず、人事面談でキャリアプランを尋ねても「他の仕事を知らないので答えられない」という反応が返ってくる。人がスキルを使って稼ぐ管理会社にとって、これは人材の固定化とスキルの限定化に直結する問題でした。
編集部の見立てでは、この会社が抱えていた困りごとの本質は、情報が足りないことではなく、2,000名分の職務と能力を同じ物差しで測れる担い手が社内に存在しなかったことにあります。人事が全事業領域を把握するのは現実的に不可能で、現場に作らせれば作成者ごとに基準がぶれ、外部コンサルタントに委ねればコストと現場負担がのしかかる。通常の人事評価でさえ評価者の甘辛の調整に苦労している以上、規模を広げるほど公平性は崩れていきます。可視化の壁は作業量よりも、基準の一貫性のほうにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
判定そのものはAIに任せ、人は与える情報の修正に回るという役割分担が、この取り組みの土台になっています。当初は「AIの判定は70点程度なので、最後は上司と部下が話し合って調整する」という説明で進めていましたが、経営層のデモで「人が調整すると主観が入り、むしろ社員が不満を持つ。感情のないAIのほうが客観的に受け止められる」という意見が出て、設計が変わりました。機械が同じ基準で全員を見るという性質を、精度の限界ではなく公平性の担保として読み替えた判断であり、インプット情報を直せる仕組みとセットにしたことで、大人数を対象にした評価が現実的な手数で回るようになったと考えられます。判定に根拠が添えられる点も、この分担を裏側から支えています。
社内固有の前提をAIに読み込ませる設定作業に手をかけた点も、見逃せない要因です。本部や部店の方針、職能等級、レポートラインを整理して与えることで、生成されるJDの粒度や表現が自社の基準に寄り、夏頃から精度が大きく向上しました。汎用の生成AIに職務名だけを渡しても、その会社の等級感覚に合った記述は返ってきません。標準化をもたらしたのはAIの能力そのものというより、標準の中身を先に定義して渡した段取りのほうだと見ています。
現場の巻き込み方を、各部・支店を回るヒアリングからワークショップ形式へ切り替えた進め方も効いています。JDを作る目的、AIがどう動いているのか、なぜ今キャリア自律が求められるのかを先に説明する場を設けたことで、AIが人のスキルを判定するという事実への警戒が和らぎました。人事部長が統括し、リーダーと実務担当という少数の体制で全社規模を扱えたのは、説明の場を集約して個別対応を減らした設計によるところが大きいはずです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
AIが判定したスキルレベルに対し、「AIがおかしい」「納得できない」という否定的な声は現状で一件も出ていません。経営層はAIの客観性を信頼材料として受け止め、部長クラスの研修では「自分の社歴を棚卸しして市場価値やスコアが見えたのが良いきっかけになった」という反応が集まりました。サーベイ実施から半年で、500ジョブのJD作成と社員2,000名のプロファイル構築が完了する見込みです(2025年12月の取材時点)。本人・上司・AIという3つの視点が揃ったことは、次世代経営人材の発掘や1on1でのキャリア支援といった施策の出発点になっています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、職務の種類が多く、評価する人によって基準がぶれることが問題になっている組織です。職能等級やレポートライン、本部・部門の方針が文書として整理されていれば、それをAIに前提として渡すことで記述の粒度をそろえやすくなります。逆に、等級の定義が曖昧だったり、人材情報が個人管理のExcelや紙に散らばっていたりする状態では、この事例の実務担当者が既存サーベイ結果との整合調整に時間を要したように、AIに読ませる前の準備で手が止まりやすい点は見込んでおいたほうがよいでしょう。
もう一つ、納得感が生まれた条件を取り違えないことが大切です。ここで反発が起きなかったのは、判定に根拠が示され、元になる情報を人が直せる設計だったからで、スコアだけが降ってくる運用では同じ結果にはなりません。まず試すなら、自部門の職務を数件だけ選び、既存の等級定義と業務分担表をAIに読ませて職務記述の下書きを作り、上司と本人それぞれの読後感を突き合わせてみる。この小さな比較だけでも、自社の基準がどこまで言語化できているかが見えてきます。
この事例は2025年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
Job-Us Inc.
ジョブマネジメントシステム「Job-Us(ジョブアス)」を提供する企業。AIによるジョブディスクリプション作成や、職務経歴書等の情報から保有スキルを可視化する社員プロファイル機能などを備え、導入企業にはカスタマーサクセスによる支援も行っている。
野村不動産パートナーズ株式会社
出典・参考情報
野村不動産パートナーズ株式会社 様 | ジョブマネジメントシステム「Job-Us (ジョブアス)」 | お客様の声
発行元:Job-Us Inc.
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